家族と恋人、選ぶならどちらか。 - おねがい☆ツインズの感想

家族を失った女の子が二人、残された写真を手がかりに、唯一の兄弟を訪ねてくる。集まったのは三人、でも写真には二人はしか写っていない。たった一人の家族を探しに来たのに、自分の居場所が見つかると思ったのに、どうして二人もいるのか。自分が、写真に写った一人じゃなかったらどうしよう。居場所だと思ったそこは、居場所ではないのか。 突然ハーレム状態に陥った主人公に、妹候補二人の絶望は計り知れなかったに違いない。 しかし、懐の広い主人公は二人を迎え入れる。そんな優しい主人公に、兄弟の可能性があるとはいえ、他人の可能性もあれば、ときめきもする、行き過ぎれば恋だってする。そうして二人は、家族になれる（確定）、恋人になれる（可能性）を抱いて恋愛同盟を結ぶのだ。 　私は「おねがい☆ツインズ」は妹の悲しい恋の物語だと思っている。兄がシスコンじゃない限り、妹は兄の人生のヒロインにはなれないのだ。物語が終わって、しばらくは「私のお兄ちゃんです！」と甘えていればいい。でも甘える以上のことは出来ない。なぜならヒロインの座は自分のものではないからだ。いつか、兄ともう一人がもっと深い仲になったとき、きっと妹は置き去りにされる。自分の華のような恋を忘れて、新しい恋を探す必要がある。大好きな兄の恋人は決してなれない。それに妹が気付いたとき、この話は素敵なラブストーリーではなくなってしまうのだ。物語に描かれていない「いつか」の結末を想像はしたくない、でもその可能性をはらんで終わったこの物語は、続きが気になってしまう一作でもある。