社会派、描写の美しさはピカイチ!
1993年放送のTBSドラマ「高校教師」は、当初、観月ありささんに主演のオファーを出したけれども、内容が「過激」であったために、観月さんが辞退したといわれるほどのドラマです。
近親相姦、同性愛、浮気、不倫、教師と生徒の愛、強姦・・
確かにかなり内容は濃く、野島ドラマの中でもかなり濃厚なものでしょう。
過激なものは後にも先にも多くありますが、このドラマが特に注目されたのは、当時タブーとされていた近親相姦や同性愛などを描いたことも大いにありますが、私は描写の美しさにあると思います。
というのも、強姦や近親相姦などの耳にするだけで生々しく忌むものの場面を一切描かず、前後の様子、表情などだけで表現しています。主人公繭(高校2年生の女子高生:桜井幸子さん)と、その父親の耕介(芸術家:峰岸徹さん)が近親相姦に及ぶシーンは、場面をあらわさず、繭が、うつ伏せで父のアトリエのベッドの上で横になり、彼女の腰の部分に白い布がかけてあるシーンで、さらに、それを、繭の担任教師の羽村(真田広之さん)が見て、驚愕の表情を浮かべる、ただそれだけの描写で、近親相姦、禁断の愛を非常にうまく表現しています。
加えて、森田童子の挿入歌、エンディングもちょっとした古さが哀愁を漂わせ、繭と羽村が回をおうごとに破滅へと向かっていることを視聴者に訴えかけています。
最終回のエンディングは、羽村と繭が、ローカル電車の車内で、手を握りながら、動かないシーンで終わります。
二人の結末は、見る者の判断に任される最後です。
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