どちら側の人間が勝つのか
普段、警察関連の推理小説は読まないのですが、利用している電子書籍サービスで割引になっていたため購入。
1つの警察官OB殺人事件から、次々と芋づる式に発覚していく過去の不可解な事件。この事件の根幹を解明するために動く刑事と、それを阻止するために動く刑事。それぞれが思う自分の敵の動きを見計らい、ちょっとした穴を見つけては付込みながら進んでいくストーリーは非常にスピード感がありました。
登場人物が多いため、途中「あれ?この人はどちら側の人間だったっけ?」となることもありましたが、そこはスルーしても後々問題ない程ストーリー内に入り込めます。
学校であれば内申点のためだけに先生に媚を売る優等生、会社であれば出世だけのために上手く立ちまわる中間管理職・・・(全員がそうではないですが)を彷彿とさせる、警察内の風通しの悪い人間模様が若干嫌気が差すくらいしっかりと描かれています。
後半に差しかかった時点で、なんとなく事件解明の予測が立ってしまうのですが、どちら側の人間(刑事)が勝つのかという点では最初のスピード感のまま最後まで読み進めることができました。
が、ラストはケンカ両成敗というか何というか、私的にはスッキリしない歯切れの悪いものでした。悪は徹底的にやられ込む、とか、結局社会で生き残る人間はこっちだ、とか、もっと明確だと良かったと思います。
もしかしたら、私が前半は事件の解明についてばかり文章を追ってしまっていて、登場人物の内面をあまり見ていなかったのかもしれませんので、読み直してみたら、意外としっくりするラストだったのかもしれません。
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