夫への究極の愛、自分への足りない愛 - 奇跡の海の感想

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夫への究極の愛、自分への足りない愛

4.04.0
映像
3.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
3.0
演出
4.5

ラース・フォン・トリアーの作品で初めて観たのが、

この「奇跡の海」だ。

苦しくて苦しくて、こんな展開耐えられない、と思った。

と同時に、すごく辛過ぎるモノっていうのは

誰の心にもある暗闇の中にズカズカ入ってきて

中毒性のある香りを残すのだ、と知った。

こんなにも苦しいのに何度も観てしまった。

観終わっても、暗い淵にしかいけないって分かってるのに

すっきりしないし、晴れやかな気持ちにもなれないのに

悔しくて、哀しくて、居てもたってもいられなくなる。

ベスのしたことは、究極の愛なのだろうか。

この映画を観た当時の私は、若くて、これが極めつけの愛なんだって

ベス、カッコいいと思う部分もあった。

ちょっと足りないベスだからこそ

すべての言葉を信じて

ある意味自分が正しいと思うことを

徹底的に貫いた。

でも、決してココロが喜ぶことでは無い。

やっぱり、それでは、ダメなんだって今は思う。

泣きながら、夫が喜ぶからって、知らない男に身をゆだねる姿が

何年たっても忘れられない。

誰かが言ったから、とか、そうした方が上手くいきそうだから、とか

誰かの言うまま、他人に判断をゆだねた行動なんかじゃ

自分のココロは喜ばない。

本当は、自分が何を望んでいるのかを忘れずに、

それに基づいて行動していれば

不幸な出来事の連鎖からは解放されるはず。

ベスは、夫を究極に愛しているようで、自分自身を愛してはいなかった。

今の私は、なんだか、そんな風に思っている。

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