悲しみよ こんにちはの評価
悲しみよ こんにちはについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
悲しみよ こんにちはの感想
時代を超えた“悲しみ”という名の孤独(本作にぴったりの一曲を添えてみた)
18歳という若さで、18歳という若さだからこその完成度私雨。わたくしあめ―地形の関係で、局所的に降る雨のこと、自分の周りにだけ降る雨のことをそう呼ぶ。またの名を、我が儘雨とも。緑多き日本ならではの、美しい日本語、私雨。私自身もそうだったけれど、とりわけ10代後半、自分を軸として回って当然だと疑いもしなかったころ、目のまえで起こることがすべてだった。ニューヨーク同時多発テロで、航空機がビルに突っ込んだって(超個人的、筆者19歳時の出来事)、私の悲しみは目下、祖父の発病と、ドラマのエンディングに終始。それがすべてだった。本書、『悲しみよ こんにちは』もそう。主人公セシルは、父親の再婚話に反応し、再婚相手をある企てにおとしいれる。恋愛あり、セックスあり、涙さえあっても、17歳のセシルにとってはそれがすべて。若さゆえの葛藤や倦怠、やがて向き合うこととなる“悲しみ”。そういうのを青春だと、ひと括りに言ってし...この感想を読む