心霊探偵八雲の評価
心霊探偵八雲についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
心霊探偵八雲の感想
子どもまで利用する冷酷非情な人間の闇
生まれつき死者の魂を見ることができる赤い目を持っている『斎藤八雲』を主人公としたシリーズの4作目です。強い思いに縛られて死後もさ迷う魂をテーマにしているだけに、暗く悲しい事件が多いこの事件ですが、今回は、悲しいというより恐ろしい事件です。とはいえ、虐待され、私生児としてつらい生活を送ってきたであろう犯人の人生を考えると、同情の余地がまったくないとは言えませんが、それでも純粋無垢な子どもを利用するのは許されないことです。その分、その子を全力で救おうとする八雲と晴香の姿勢には胸が熱くなります。そして、そんなつらい状況でも悲しみも罪悪感も自分の胸の内におさめている少年の姿は、あまりに切ないものです。暗い話ではありますが、八雲と晴香、後藤刑事と石井刑事という2組のコンビのやり取りは、いつものようにテンポよく、暗い中にも笑いもあります。この人たちがいれば、この世も捨てたものじゃないと思わせてくれ...この感想を読む