華氏451度の評価
華氏451度についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
華氏451度の感想
模範生は幸せか
「読書」という概念がない本を読む。紙に触れ、ページをめくるという行為がない。すべてが高速。広告だって同じように。本は禁忌のものである。本を燃やす職業が存在し、本というそのものを世界から排除している。個人の思想の自由なんてものは存在しない。管理された社会。そんな社会で、本を焼いて、漫然と生きていた主人公の思考が徐々に変わっていくのが醍醐味である。本に価値を見いだしている人が圧倒的少数で異端児である社会において、本は禁断の果実そのものであった。そもそも読書という行為は何か。人の頭の中をのぞき見る行為だろうか。新たな価値観を発見する行為だろうか。自分そのものをみつけることだろうか。そういったことを問いかけられている。電子化していくことが良いとされる世界で、SF作家の大家であるブラットベリが投げかけたかったのは、すべてが制御可能な社会になっていくことによる個人の思想への制限だったのではないか。「...この感想を読む