陰翳礼讃の評価
陰翳礼讃についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が3件掲載中です。
各項目の評価分布
陰翳礼讃の感想
明快に指摘された日本の美のあり方の一つ
「日本建築とはどういうものか」「日本人が追求してきた美は何か」こうした問いがある場合に引き合いに出されがちなのが本書である。それまでなんとなく漠然と感じていた日本建築のあり方とか、特徴といったものを、ハタと膝を打つように明快に指摘してくれている。ただしこれはあくまで「谷崎から見た」日本建築の美である。正確と思いつつも、欧米建築が頭にあるせいか、少し特殊な点や、時代による差異、民家以外の大建築などにももっと目を向けて欲しかったと思う。一部で納得するものもあるが、どうしても偏りや一部を誇大しすぎているような気もする。近代の建築の変化を受けて、現代まで至る俯瞰的な立場から見れば、西洋建築でも差や似たような要素もある。一良書としてはともかく、盲信すべき文化論ではないと私は考える。