重力ピエロの感想一覧
映画「重力ピエロ」についての感想が9件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
家族の絆と父親の強さ
この映画、根本となっている内容はとても重いんです。連続放火事件にレイプ事件、実は繋がっているんです。母がレイプをされ生まれたのが弟の春、しかし両親は兄弟隔てなく愛情を注ぎ育てていく。母は数年前に死亡、兄弟と父の3人で生活をしていた。そんな時に連続放火事件が発生。それが春が清掃作業をしている近所ばかりだった。そしてそれと同時に母をレイプした男が街にいるという情報が。兄・泉水はその男と春の遺伝子を調べてしまう。そこには親子であるという証拠が…泉水は母をレイプし、そして弟を苦しめる男を殺そうとする。しかしその前に春がその男に手をかけようとしていた…見ていて何があっても家族の絆が強ければ乗り越えられるという気がしました。そしてそれを支え続けて父親の強さも感じられる作品でした。泣けるとかではないけれど、何か心にずしっとくる作品です。
丁寧に描かれた悲劇なのかな
望んだ悲劇なのかなと思いました。私が母親の立場なら弟を生めないです。いや、決して本人達は悲劇と思ってもなくて、丁寧に描かれた世界観がもう…伊坂さんすごいよなぁ…と思ってしまう作品というか。兄弟2人が考えに考えて出した結果が、良かったのか悪かったのか、何だかめちゃめちゃ考えさせられて、モヤっとして終わりました。だからなのか何なのか、すごく印象に残っている映画です。他の家族には無い才能を持っている弟のエピソード、少し嘘くさいですが父親の包み込む懐のでかさが、印象深い作品かなぁと思います。何だか、終わり方が、それでええの?って感じで、気になります。まだ続きがありそうな、そんな感じがする終わり方です。
主演2人の透明感
伊坂幸太郎氏の原作も好きですが、この映画は主演2人、加瀬亮と岡田将生の透明感と作品が非常にマッチしていることで、とてもいいものになっていると思います。2人のお父さん役が小日向文世さんと言うのも違和感ないし、お母さんが鈴木京香さんというのもいいと思います。完全にキャスティングの勝利だと思います。加瀬さんが走るシーンがありますが、とても速くてかっこよかったですね。共演の吉高由里子さんも驚いていたようなことをどこかのインタビューで言っていました。ストーリーは原作と余り差がなかったように思います。主演の2人以外、それほど印象に残る映画ではなかったかもしれません。
ストーリーがフラットすぎて感情の起伏ができない
大好きな伊坂幸太郎先生原作の映画化だったのでかなり楽しみにしていたのですが、小説ほどの感情の起伏がうまく演出できていないように思えました。ストーリーがフラットな状態で淡々と進んでいくイメージ。もちろん色んな事件など起きるのですがなんか淡々と流れていってしまうのですよね。ただそのなかで加瀬亮さんの演技はさすが。ちょっと気弱な役だと「それでも僕はやっていない」などでも演じていますが、同じ気弱でも全く違う感じに見えます。どんな役をやっても全部同じ人にしか見えないどこかのアイドル俳優とは比べるのも失礼ですが違います。やはり伊坂作品は中村義洋監督で主題歌は斉藤和義さんに限り気がします。やはり監督も音楽も相性ってやつがありますからね。
理想の父親
ある事情で授かってしまった子供をうむのかうまないのか、この家族にとって大きな選択でした。その選択がその時に授かった子供を苦しめてしまう事になったのかもしれません。でもあの2人の兄弟愛を画面から感じその決断ももしかしたら間違いではなかったんじゃないのかと、そう思いました。常識というのはどういう事をさしていうのか、その基準は誰が決めているのか、その基準を決めている人は本当に常識ある人なのか。こういったループする考えがこの映画の中でいくつもグルグルと回っています。結局元に戻ってきてしまいます。ラストシーンはあれだけの事があったにも関わらず爽やかに描かれていて安心するというよりは違和感が残りましたがその違和感こそがこの作品の醍醐味の様な気もします。
原作が読みたくなりました
終始思い雰囲気が漂う作品なのですが重い内容だからこそ心に響く家族愛・兄弟愛がありました小日向さんが演じる父親がなんとも言えない不思議な雰囲気を醸しだしていてそれを取り囲む兄弟もそれぞれ何かを抱えている様な雰囲気でたまらない作品を観る前に抱いていたイメージとは全く違う様な作品で見始めは映画の重い空気感が窮屈でしたが見終わったあとは妙にスッキリした気持ちになりました「重力ピエロ」この映画のタイトル。どんな意味があるんだろうと思っていましたがラストにその意味を理解し泣いてしまいました。やっぱり全てを知る事ってものすごく残酷な事なんだと改めて思いました
家族の絆に涙
私は原作を先に読んでから映画を観たのですが、キャスティングが原作のイメージにピッタリでした!すごいと思ったのは主人公兄弟の子供時代を演じた子達の雰囲気がちゃんと加瀬さん、岡田さんに雰囲気が似てたところです。たまに、あまりにも雰囲気が違いすぎる時がありますよね。。伊坂幸太郎さんの原作はミステリーなのですが、この映画はミステリー色が薄く、どちらかと言うと家族の絆がメインテーマとなっているのでどんな方にも観やすいと思いますよ。特殊な家族だからこその絆に心を打たれます。※一応謎解きもあるのですが、そのあたりはそこまで丁寧に描かれていないので、ミステリー好きには少し物足りないかもしれません。
名セリフが詰まった映画
最初のシーン、「春が二階から落ちてきた」という台詞から世界観に引き込まれてしまった。この作品には他にも魅力的な台詞があって、例えば「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」「俺たちは最強の家族だ」など。特殊な家族だけど結束力は本当に強いことが伝わってくる。放火事件やレイプ事件が軸にあるために、どうしても物語は暗い。愉快に見る作品じゃないけど、突き刺さる台詞がたくさんある。伊坂幸太郎さんの映画化は3本目。『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』は音楽を重視しているけれど、本作はセリフや言葉、言い回しに力を入れている印象。
伊坂ワールド凄い!
伊坂さんワールドにやられたーといいった感じでした!小説を読んでから映画を拝見しましたが、キャストもイメージにピッタリで、見ていてかなり感情移入出来ました。兄が『遺伝子に関することを取り扱う企業』に務めていると言う事。連続放火が起こる場所の真実、ハルの出生秘話、泉水と春の両親の強さ! すべてが繋がっていき事件が解決へと導かれていくストーリー展開が、テンポよく繰り広げられます。 小説同様、映画を見ても色々考えさせられました。。 「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえるんだ」という父の言葉が、とにかく印象に残り、この作品のいろんな意味はこの言葉に集約されているような気がします。結構重たい内容ですが、是非お勧めです☆