ブラインドネスの感想一覧
映画「ブラインドネス」についての感想が5件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
人間の剥き出しの本性が見える。
フェルナンド・メイレレス監督のパニック・ムービー。一人の日本人が突然原因不明の失明になる。そこから世界規模で感染が広がり、世間は大パニック、政府は患者を強制的に収容施設に隔離する。医師の妻は盲目のふりをして施設に潜り込むが、そこで彼女が見たものは地獄のような世界だった・・・よくある感染ものの映画ですが、失明の原因や解明などには全く触れられていません。この映画が訴えてくるのは、人間の剥き出しの本性の恐ろしさ。視力が奪われることイコール理性が奪われること。人間がいかに危ういバランスで創られているのかを痛烈に皮肉っています。現実にはありえない設定ですが、見終わったあとぞっとする作品です。
興味深い作品です
はじめは単純な細菌パニックモノなのかと手に取った作品だったのですが、実際に蓋を開けてみると、ちょっとしたシチュエーションスリラーを思わせるような、閉ざされた空間で引き起こされる様々な人間模様でした。単純なパニックものよりも、これはこれで新鮮だったのですが、出来としては正直今一つといったところです。この収容所、黒人や白人はもちろんアジア系からラテンといった多種多様な人種の人たちが閉じ込められて、狭いながらも小さな世界を形成しているのですが、なんというか、人間ドラマがが非常に希薄に感じるんですよね。あと、微妙に悲壮感が伝わってこない。人それぞれかもしれませんが、演技力という点ではあまりレベルの高い作品ではないように感じました。この作品、日本人として木村佳乃さんと伊勢谷友介さんのお二人が参加していて、それなりに見せ場も作ってくれていますから、そのあたりが日本人としては一番の見所かもしれませんね。この感想を読む
病める時も健やかなる時も、神との契約
いきなり目が見えなくなったら、もうお手上げじゃないかな。この映画は全世界に盲目感染が広がり、隔離したところさえ食料の配達も止まってしまう。全世界中感染で目が見えなくなってしまうのに、眼科医の奥さんだけが目が見える。これは映像がもわーんと薄く煙がかかったように撮られていて、目が見えない人たちの気持ちを映像化してましたが、これは万民に受ける映画ではないでしょう。結婚したときに神父の前で誓う言葉、病める時も健やかなる時もと言うのが、この映画のメッセージです。彼女は食べ物が無くなり、世界が混乱している中で、自分を頼ってる人たちを安全なところに置いて、彼女は教会の中に入っていきます。そこで彼女は言葉無く祈ります。死が分かつまで、共に生きる事を神の前で誓った神との契約の映画です。キリスト教のベースが在ると、よくわかる作品です。
目が見えなくなる謎の感染病
ある日、突然目が見えなくなった男が病院にいっても原因がわからないという。それから次の日、その病院の先生も目が見えなくなる。次々と失明者が増える一方、病院の先生の奥さんだけが感染せずにいた。失明者は他の人に感染を防ぐために、汚い隔離施設に移動させられる。その奥さんも目が見えないふりをして付いていく。日に日に食料のくれる量が少なくなると、施設内の人々は言い争いになり、しまいには、人殺しまで発生する。たまらなくなった人々は、無理やり施設から出ると、外の人間も全員失明していて荒れ放題になっていた。最初の感染者に日本人俳優の伊勢谷友介、その妻に木村佳乃が出ている。他の俳優に負けじと演技がよかった。ラストは、結局、原因がわからないまま終わってしまうので、モヤモヤが残る。
隔離施設は天国か地獄か
面白い映画です。ある日突然目が見えなくなる病気に侵される人々。どうやらこの病気は感染するらしいということで隔離施設に詰め込まれ、極悪な環境での生活を余儀なくされ、食料の奪い合いなど、狭い空間でさまざまな問題が起きていきます。人間の生存本能が倫理観や道徳観を超越し始めたり、新しく秩序を作ろうとしたりとかなり面白いです。施設を出る生存者たち、しかし外の世界も荒廃していて終わりがない。言葉が適切かわからないですけど、一種のディザスターユートピアといった感じでした。ジュリアン・ムーアだけ実は目が見えるという設定なのもこの映画が面白くなる原因の一つだと思いました。