手紙の感想一覧
映画「手紙」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
家族と言う絆を埋めた手紙と言うなの繋がり
手紙でなければならない理由相手との距離があるから手紙?相手に自分の思いを伝えたいから手紙?相手に会えないから手紙?そんな表面的な理由ではない、もっと深くて重くて辛い理由がこの手紙には込められています。兄が思う弟への愛。それは、弟を大学無事卒業させて立派な社会人になってもらいたいと言う親心にも似た兄弟愛でした。その思いが深く、重く、そして辛いものに変わってしまったのがとても残念です。ある時、近所の家に強盗に押し入りそれを発見した家の人を殺害。兄の性格上決して犯罪を犯すようには思えないのですが、単なる虐げが人を狂気へと追いやるという現代の日本では起こりうる社会問題の一つとも言えると思います。しかし、それがドラマの始まりと言うのなら、スタートを切ったなら振り返らずにただただゴールに向かうのみです。でもそこに気づくまでの人間模様と、現実の辛さが生々しく描かれています。その為刑務所に服役している...この感想を読む
原作の方が好き
東野圭吾の作品は、ほとんど好き。そして実写化されたものも好きなものばかり。ただ、この作品に至っては残念ながら今ひとつ。結末を知っているから、盛り上げて欲しい所が合わず、最後の最後に少し涙したが後は、淡々とストーリが進んだだけでした。自分のために犯罪を犯した兄を許せず、見放せず葛藤する弟。夢を諦め、恋人と別れ転職を繰り返す。自分のせいだと責めつづけた弟が、後半、身勝手な兄の行動だったと兄を恨む。たくさんの人に諭され、弟の感情が揺れるのだが答えがない。最後に、被害者遺族から兄の手紙を見せられ泣き崩れる。犯罪者家族のいつまでも続く苦しみの表現の仕方、考え方。新しい事を気づかせてくれる作品です。
家族の“縁”は切れないもの
弟の大学の学費のために強盗をし、そこの住人であるおばあさんを殺してしまった兄。弟のためにとしたことが弟をずっと苦しめる原因となってしまった。職場で何か事件が起こると「あいつの兄貴は刑務所で…」と一番に疑われ、そして人目につかない倉庫作業へ移されたり、大好きだった彼女とも兄のことで別れなくてはいけなくなってしまう。そんな中、兄のことなど関係なく自分のことを愛してくれる人が見つかり家庭を持つが生まれた子供でさえ「あの子のお父さんのお兄さんは…」と差別を受けてしまう。いくら弟が兄との縁を切ろうとしても周りはそういうことは関係なく「家族」として見ている。最後に兄のいる刑務所へ「漫才師」として慰問に行くのだが、兄が弟の姿を手を合わせ涙を流しながら見ているシーンは自然と涙が出てきました。
人を守る、ということを改めて考えました。
ラストシーンで、涙があふれるのを止めることができませんでした。弟のためを思い、犯罪に手を染めた兄。その兄に感謝の気持ちを持ちながらも、その兄の存在がゆえに、ひとつ、またひとつと自分の未来が閉ざされていく現実を目の当たりにするたびに、絶望感を覚える弟。「愛ゆえに」そんな聞き慣れたフレーズが似つかわしく感じる場面が、多々ありました。弟の苦しみに、兄は気付いていなかったかのように描かれているように私は感じましたが、実は気づいて、見て見ぬふりをしていたように思っています。兄にとって、弟はそばにいなくとも守るべきものだったから、きっと苦しみも感じていたと思います。人が人を思い、守ること、それぞれにそれぞれの形があります。それぞれの選択肢があります。それを考えることができる映画だったと思います。