東京タワーの感想一覧
映画「東京タワー」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
大人の愛
はじめにこの作品は「大人の愛」をテーマにしており、男女関係の縺れ、あるいは嫉妬などをうまく描いている。恋愛モノとはいっても豪華キャストによる熱演が見られるため非常に心に染みる一作となっている。透サイドでは......それではまずメインである詩史と透について見ていく。私はこの二人に関して、所謂一方通行の愛ではないことに大変驚いた。というのも序盤、高嶺の花のような存在である詩史をひたすら追いかける透、といった設定で描かれているように感じたためでる。例えば作中で引用されていた、「電車で乗り過ごし、隣の駅に行ってしまう」という表現を見てみよう。これはなぜ詩史が電車に乗っているという設定なのか。つまり、詩史がなんとなく歩いていたら隣街に来てしまった、というような設定では何がだめなのか。それは、詩史が「主体的に透を愛していない」ということを示唆させるためではないかと思うのである。つまり、自分で歩いて透の...この感想を読む
最高に美しく甘く、そして悲しい物語
ただ美しい、それだけでも見られるシーンたち私はこの映画を高く評価した。しかしこの映画が見る人によって多少評価の分かれるものだということは知っている。なぜなら、しつこいほどきれいな映像や甘すぎるストーリーを苦手とする人たち、また不倫というテーマ自体に嫌悪感を抱く人などがいるからだ。ただそれはただの好き嫌いの話で、私からすればそれは最早良さであるし、つまりこの映画が良い悪いという批評については、批判的な人とこれ以上論じることは出来ないのだ。それだけに残念である。これほどまでに美しくて甘い、そして物悲しい映画を彼らに理解してもらえないことが。宮崎駿は、ストーリーよりもその一瞬一瞬を感動するシーンとして作っていくことこそ映画だといった。そういう意味ではこの作品はまさしく「映画」だ。映画というものが映像と音楽によるものならば原作は江國香織の小説「東京タワー」である。時に小説家は自分の作品が映像化...この感想を読む
生命感のたりない主人公に激おこです
黒木瞳はあの容貌のせいなのか、屈折した愛情を扱う役をあてがわれることが多い。しかし大抵まったく演じ切れていないと感じる。テレビ版「白い巨塔」での財前の愛人役など、拍子抜けもいいところだった。本作でも、せっかくの無骨で不器用な岡田准一のいいところが、なにやらほんにゃらした黒木節で台無しになってしまった。いくらファンタジックなロマンチックな不倫といったって、もう少し生命的な「圧」がないと、好きでもなんでもないように見えてしまう。寺島しのぶと松本潤は、その意味でなんだかナマナマしくてせつなかった。結末がどうか、という話ではない。やはり岡田少年をプールで服のまま泳がせただけで満足していてはイクナイ。出番少ないが岸谷五朗は嫌〜なオトナの夫をしっかり演じていた。フンイキにながされちゃだめさ、な一本だ。
かっこいい恋愛
ジャニーズが好きな訳ではないが、岡田くんと松潤がとにかくかっこいい作品でした。そして、それぞれのキャラクターと相手役がぴったりで、見入ってしまった。寺島しのぶさんを初めてこの映画で知ったけど、かっこいいと思った。年齢が離れた、年下の男の子との恋愛の戸惑いと葛藤。若さゆえの勢いと、熱情。でも、不倫の映画なんですよね。ただ、かっこいい大人の恋愛に見える。目線が女性視点のストーリーだからかな。女子からすると仕方がないと思ってしまうシンデレラストーリー的な不倫。羨ましい。なんだか応援してしまうというか、自分では無理だけど願ってしまう気分に。岡田くん表情の演技がほんとにキュンとしました。