犬神家の一族の感想一覧
映画「犬神家の一族」についての感想が6件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
リメイクされてもやっぱりこの作品が一番いい
金田一シリーズではこの作品が一番観ている回数が多いかもしれません。リメイクされましたが、この作品独特の性会館はやはりこちらの方が描き出されている気がします。やはり一番印象的な野は助清のあの白マスクと声。戦争で顔に大けがをしたという設定であの白マスクをしているのですが、この白マスクが実はすごい鍵を握っているという話。当主である犬神佐兵衛が亡くなり、その莫大な遺産を誰がどのように相続するのかで周りでいろんなことが起こるのだが、その金を巡る人間の汚さがよく描かれているし分かりやすい作品です。次々に殺されていく人の死に方も印象的でした。菊人形に切られた首をのせられていたり、屋根上で殺されたり。そしてなんといっても湖に頭から突き刺さっているあの足はとても印象でした。
有名なあのシーン。
横溝正史の小説、金田一耕助シリーズを巨匠市川崑監督が映像化した1作目。富豪の犬神家当主の死後、遺産をめぐって一族の間で争いが起きる。そこへやってきた名探偵・金田一耕助の推理は・・・金田一耕助は、歴代に様々な俳優さんが演じていますが、やはり石坂浩二さんの印象が強いです。ちょっととぼけた感じや、だらしない服装が良い味を出してます。ストーリーは旧家で起きる連続殺人という、王道の展開ですが、監督独特の斬新な演出が、他の作品とは一線を画しています。特に、有名なさかさまになった死体のシーンは、忘れられません!初めて見たときは、衝撃を受けました。日本映画史上に残る名作です。
古典ならではの恐怖
横溝正史の長編推理小説『犬神家の一族』を原作として映画化された作品です。『犬神家の一族』はこの作品を含め、何度も映画化、ドラマ化されており、また、強烈な設定ゆえにパロディー的にもあちこちで用いられています。この映画は、1976年に撮影されたもので、映像技術は現代の作品に比べると稚拙な面も多々あります。しかし、妙な迫力のある生首など、横溝正史作品らしいおどろおどろしさがインパクトたっぷりに伝わってくるあたり、さすがの一言です。物語としても、謎の多い成り上がりのお金持ちの遺産相続争いを描き、肉親だからこその深い憎しみや嫉妬が、恐怖を掻き立てます。一方、見るも無残な顔になっていても、慕っていた佐清の真偽を一番に確かめようとする珠世、珠世を助けるため匿名で電話する佐清といった、若い2人の愛あふれるシーンもあり、結末にほのかな幸せを漂わせているところも素敵です。
ミステリー
昭和を代表するミステリー。ミステリー好きでなくても知らないものはいないだろう。平成生まれの私であるが、リメイクを何度も繰り返されるこの作品は一番初期のものからしっている。遺産の相続をめぐるトラブルがおこる。その中にある憎悪、繰り返される殺人事件。ミステリーの一番の見所は、事件にからんでくる人間関係。私はこれほどまでに入り組んだミステリーを知らない。かなり、難解な関係もこの犬神家の一族の魅力である。映画を監督したのが大のミステリー小説ファンの市川監督が手がけたからかもしれないが、この作品の魅力的な部分がよく引き出され、また見たいと思える作品となっている。ぜひミステリーファンでなくとも見てもらいたい。
市川崑監督、金田一シリーズの第1作目!
言わずと知れた市川崑監督の代表作の一本で、ミステリー映画としても一級品です。横溝正史が生み出した名探偵・金田一耕助が数々の難事件を解決するという原作を、市川崑監督は忠実にその世界を映像化しています。知的で二枚目俳優の石坂浩二が金田一耕助を演じていますが、まさにピッタリの役どころだと思います。犬神製薬の当主・犬神佐兵衛(三国連太郎)の遺産をめぐって、三姉妹(高峰三枝子、三条美紀、草笛光子)の息子達が次々と殺されて、金田一耕助が謎を追っていくというミステリーです。原作の持つ複雑な人間関係などもすっきりとわかりやすく処理されているので、ミステリーの世界にスーッと入り込むことが出来ます。これに続くシリーズもぜひ観てほしいです。
マイ・ベスト・金田一
金田一耕助といえばこぎたない着物にヨレヨレのコート、ヘンな帽子を取ったらボサボサの頭、かきみだしたらフケが出る…これらのイメージをはっきり植え付けることになったのは本作でしょう!白いマスクのスケキヨ、湖に突き立つ死体など、引用されすぎて、映画を見ていない人でもよくわかるイコンをたくさん含んだこの作品。個人的にはマイ・ベスト・金田一な一作です。いろんなひとが金田一を演じていますが、やはり石坂浩二でしょう!戦死したはずの息子をめぐっての一族のドロドロした内紛、というテーマも実に日本的で、オドロオドロしていてたまりません。もう30年以上前の作品ですが、何度見ても見飽きない、ヘンに味わい深い逸品。リメイクもあるけど、やっぱり本作が一番です。