アイズ ワイド シャットの感想一覧
映画「アイズ ワイド シャット」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
深みに落ちていく夫婦の関係
晩年のキューブリック自身はこの作品を「トムとニコールがダメにした完全な駄作だ」と大いに不満を漏らしていたが、俺の目にはなかなかの作品に見える。シュニッツラーの原作も読んだが、原作が幻惑的な世界を描いているのに対して、キューブリックの作品は夫婦間の埋めがたい溝を深める深刻な懐疑に焦点が当たっているように思える。とはいえトム演じる主人公が足を踏み入れた邪教の祝祭のシーンは、その露骨な性表現にもかかわらず、あまりの妖艶な美しさに思わず涙しそうになった。また、ニコール演じる妻が今すぐしなければならないことを問われた時に、一言「ファックよ」と答える場面は、もはやセックスすら欺瞞の具にしかならないことを示してはいないだろうか。
トムと二コルはこの後離婚した
Eyes Wide Shut 1999年製作のアメリカ映画。スタンリー・キューブリック監督の最後の作品。原作 1926年に発表されたアルトゥール・シュニッツラーの夢小説これは過去は変えられないが認識は変えられると言うメッセージを持っています。トム演ずる主人公の内科医は妻を置物ぐらいにしか、考えていない。妻はママになってしまって安心と安定の存在になっています。これは結婚したら妻は自分のことだけを考えているものだという、強い思い込みがあるわけですが、この相手を信じると言うコンクリートが壊れた時、人は自らの妄想で苦しみだす。この思い込みが強いと言うことは中々変えられませんが、一度パターン化した情報が入ると同じ答えを出すように情報を選択してしまいます。この典型が知らなければ良かった、と言うことです。
エロティックな映像美の中で
まず一言で表現するなら、この映画はエロティックなシーンが大きな位置を占めています。しょっぱなから扇情的なイメージで性的なシーンが頻出します。主要二人がハリウッドきっての美男美女であるため、見栄えすると同時に魅力にもなるかもしれませんが、ストーリーのメインの部分が性であるために、18禁指定は止むをえないところです。主人公の医師は妻の不倫を考えた経験を告白されてショックを受け、娼婦の誘いを受けそうになったり、金持ちの乱交パーティーに参加してしまいます。そこで命からがらの危険を味わったことで妻の元に戻り、再び二人の性に戻ろうとします。夫婦間の性の問題を扇情的で極めてエロティックに描いてありますが、決して下品な映画ではありません。キューブリックらしい表現手法で映画は形作られています。
スタンリー・キューブリック作品?
スタンリー・キューブリック監督の遺作であり、公開当時、トム・クルーズとニコール・キッドマンの大物俳優によるエロティックな表現と内容で話題だったのを覚えています。アメリカでは成人映画に指定されてた映画です。原作はアルトゥール・シュニッツラーの『夢小説』なのですが、こちらは中々読む機会はないでしょう。一見今までの「2001年宇宙の旅」や「フルメタル・ジャケット」を撮ったスタンリー・キューブリック作品と全然違う印象を受けますが、作品随所に見せる奇抜な発想や、演出、映像美はさすがスタンリー・キューブリックと言ったところです。エロス映画としてみると少し物足りないかもしれませんが、いい作品です。