封神演義の感想一覧
漫画「封神演義」についての感想が5件掲載中です。実際に漫画を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ジャンプに名を残す歴史風ファンタジー巨編
フジリューの一大傑作にして、ジャンプ最後の完全完結作品漫画家・フジリューこと藤崎竜版『封神演義』は、ジャンプ史においていくつかの大きな功績を遺した。まず第一に、長期連載でありながら、週刊少年ジャンプにおいては希少な完全完結作品であること。これは少々補足説明を要するだろう。週刊少年ジャンプは言わずと知れた人気少年漫画誌であるが、同時にアンケート至上主義で知られ、アンケートで評判の悪い作品は打ち切りになってしまうのである。故に、長期で連載したというのは、漫画家として大きなステータスになる。しかし、近年では長期連載作品が必ずしも名作であるとは限らなくなってきている。たとえ売り上げがあっても、読者からの評価が低い作品は、人気作であるとは思えないからだ(このあたりの売り上げ≠人気という構図は、関係者ではない筆者の想像でしかないのだが、漫画喫茶やレンタルコミックの存在が大きい気がする)。だが『封神...この感想を読む
藤崎竜先生は天才かと思う
中国の小説を、藤崎竜先生の独特な世界観で見事に少年漫画として馴染みやすく表現した作品だと思います。他にもよく漫画になっている三国志などは、とにかく絵が濃くかわいげのないおじさんが出てきて、漢字がおおくて、とっつきにくく、まともに読んだことはありません。友人に紹介されて読んだこれは、少し個性は強いけれど、少年漫画のバトルファンタジーっぽく、大きな敵がいて、その敵を倒すべく主人公が仲間を見つけたり、成長したりしていく物語。それでいて独創的な衣装を着ていて、完全にオリジナルの話かと思えるくらい絵やキャラクターがしっかりアレンジされていると思います。主人公の太公望は、少年漫画の王道主人公タイプとは違い、ずるがしこく、汚く、だらしない部分もあり、それが逆に親近感を感じました。また、長編漫画にしては、話がまとまっていてブレることなくきちんとまとまっていたので、読み終えたときにとてもスッキリした気分...この感想を読む
ジャンプ誌に残る名作
これは私が小学生時に初めて自分のお小遣いで全巻揃えた思い出深い漫画です。まずはじめに簡単な粗筋としましては、場面は中国において時代が殷から周に変わる頃、主人公である太公望を軸に、人間と仙人が入り乱れ、時代を正しき方向へと導いていく物語です。当時最も驚き、またこの本を買うきっかけになったのは、1話目で主人公の太公望が敵に負けたことです。確かに相手は仙人界最強の申公豹ではありましたが、まさか主人公が1話で負けるとは思わず、私がこれまで読んだ本の中でも後にも先にも、こんな始まりはこれだけでした。大概の少年誌の主人公は1話目では中堅の敵を倒すものと言うのが通説の中、これは違うな!と思ったのを今でも鮮明に思い出せます。そんな封神演義ですが、幼少の頃はただただ読んでいただけでしたが、大人になって改めて読むと違う発見もありました。まず、この漫画は一から十まできちんと考えて作られていることです。昨今の漫画...この感想を読む
歴史も分かるコメディバトル漫画
週刊少年ジャンプにて連載されていた藤崎竜先生による作品です。あのジャンプで引き伸ばしなどされずに円満完結した数少ない作品ですので、最後まで読む価値があります!舞台となるのは昔の中国で殷などの時代です。人間界と仙人界があり、主人公は仙人界の実力があり頭も切れる優秀な人物だがだらけたりめんどくさがりの性格であるために人間界でとある修行をするように言われます。師匠から言われた封神計画を進めながら国の歴史、問題にかかわっていきやがて大きな問題を知ることとなります。宝貝といった道具を使ったバトルもありますが、何より主人公である太公望のずる賢さ、先読みのすごさに驚かされます。各キャラ個性があって見ていて応援したくなります。コメディ要素が多くありながらもシリアスな部分には心が動かされる、そんな素敵な作品の第1巻です!
完成度の高い作品
中国における名作小説、「封神演義」を藤崎竜先生が漫画として新たに再構成した作品です。出てくるキャラクターはほとんど原作通りではあるものの、その役割や性格は大きく異なり原作とは全く別の封神演義であると言えるでしょう。さてこの作品における最大の特徴は、伏線の秀逸すぎる張り方にあります。漫画だけに限らず物語には伏線というものは当たり前のものではありますが、それら全てがまともに機能しているかというと必ずしもそうではありません。後付の伏線とも言えないような伏線すらあるほどなのですから。しかしこの封神演義においては後付の伏線はおそらくひとつとして存在しません。終盤を見てから序盤を読み返すと明らかにそれと分かる伏線が引かれており驚愕させられてしまいます。最初から最後まで作者の構想どおりに進んだ完成度の高い作品であると言えます。