50年前の「世紀末」を、今こそ見るべし。
世界大戦の折りに使用された核兵器のため北半球は壊滅。死の灰から逃れるべく南半球に逃げ延びた人達。しのびよる死の灰の恐怖に怯え、逃れることのできない人々の姿が淡々と描かれる、SF作品。公開は1960年、50年も前の映画です。核戦争が起こった、都市が次々壊滅した、とはいってもCGがあるわけでも、大がかりなセットがあるわけでもなく、ちょっとした演技や映像の見せ方で、世紀末感をあらわしているのが、逆に、今見て、けっこう怖いです。グレゴリー・ペックの男前はもちろんですが、フレッド・アステアがなかなかいかした役どころ。抑制のきいたセリフ、展開で残酷な最後をじわじわと予感させる、地味ですがしっかりした脚本だと思いました。ラストは後生の我々に向けての警句(戦時中のプロパガンダを皮肉ったものですが)でしめくくられ、この部分は映画を映画らしからぬものにしていますが、この警句を活かし、受け止め切れているのか…はな...この感想を読む
4.54.5