狼たちの午後の評価
狼たちの午後についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に映画を観たレビュアーによる評価が3件掲載中です。
各項目の評価分布
狼たちの午後の感想
本当は「普通」じゃない事件
話の筋だけを追えば、二人の男が銀行強盗に押し入り、しばらく膠着状態が続いた後、特に死傷者もなく逮捕されるという、今で言えば新聞の小さな地方記事に載る程度の事件なのだが、この普通な事件が全然普通じゃないということを、精緻なリアリズムと人間の複雑さに対する分析的な姿勢でもって明らかにしていると言える。サスペンスを期待して観た人はさぞがっかりするだろう。若き日のアル・パチーノはこうした熱情型の役がぴったり来る。「アティカ!アティカ!」と叫んで現場を取り巻く見物者を扇動する様はなかなかかっこいい。しかしこの奇妙な事件もジョン・カザール演じる相棒の銃殺という暗鬱な事態で幕を閉じる。われわれが新聞やニュースで断片でしか知らない事件はこうした複雑な実態を有しているものなのだ。