王女メディアの評価
王女メディアについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に映画を観たレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
王女メディアの感想
女の恐ろしさと悲しさと、女の愛の業の深さとが、異様な美しさと緊張で迫ってくる、女の怨念のドラマ 「王女メディア」
この映画は、女の"怨念"のドラマだ。もっと遡って、女というもの、母というものの原型を描いていると言ってもいいと思う。原型だから、いっさいの夾雑物や、現代的な見せかけや、複雑さをはぎとって、女そのものがむき出しになる。女の恐ろしさと悲しさと、女の愛の業の深さとが、異様な美しさと緊張で、観ている私の胸に迫ってくる。それほど、息苦しいまでの凄みで、目がくらみ、打ちのめされるような映画だ。この映画は、「奇跡の丘」や「アポロンの地獄」や「テオレマ」等の問題作を撮ってきた、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の作品だ。例によって、荒涼たる砂塵に、パゾリーニ的な古代世界が現出する。ギリシャ悲劇や神話で知られる王女メディアを演じるのは、イタリアの世界的なオペラ歌手のマリア・カラス。マリア・カラスと言えば、億万長者のオナシスの愛人でもあった、欧州きっての"誇り高き女性"として有名だった人だ。そのマリア・カラスが、...この感想を読む