厳粛な厳しい美しさを持って、キリストの愛と受難の姿を浮彫りにした作品 「偉大な生涯の物語」
キリスト伝を映画化することは、非常に難しいことだと思います。信者用の宗教劇を作る場合は別にして、映画ファンを含む、その他大勢の人々の楽しむ一般劇映画として、これを作る場合には、どうしてもキリストの真の姿は描きにくいような気がします。それは、彼が神と人間との間に存在するような人物であらねばならないからではないかと思うのです。昔の映画などでは、キリストが登場する時には、顔を見せなかったようです。顔のところを暗い影の中に隠したり、後ろ姿だけを映したり、体の一部分でキリストだとわかるようにしたりで、現実的な容貌を見せないように苦心していたようです。聖書にはキリストの容貌を説明した部分はなく、後世の人々は、宗教画などに描かれたキリストの像から、そのイメージを持つようになってはいますが、そのイメージに、映画の現実の顔をダブらせることは、キリストへの冒瀆だと考えられていたのです。それが次第に、キリス...この感想を読む
4.04.0
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