失踪日記の評価
失踪日記の感想
彼の描く「美少女」を知らない人は、ネットで検索してからこの記事を読んでほしい!
吾妻ひでおともあろうものが!本作を、吾妻ひでおをあまり知らない人が読んだら、「何かダメなおっさんが、仕事を上手くこなせなくて失踪したりアル中になったりする話なんだな」、と思うだけだろう。しかし、吾妻ひでおをリスペクトする人が読んだら、彼の描く美少女を愛する人が読んだら… 天地を揺るがすような激しい衝撃を受けるだろう。本作はそんな作品だ。「あしたのジョー」のカーロス・リベラがパンチドランカーに蝕まれ、ホームレスの廃人となって現れた時の衝撃、「SPTレイズナー」のエイジ・アスカが第2部で物乞いとなって現れ、グラドスのさほど強くもない士官の靴を舐める衝撃、例えが分かりにくいだろうか、でもそれくらいの衝撃を私は受けたのだ。独特のエロスを持った美少女と、形容しがたいぐんにゃりしたSFセンスで、漫画の世界でオンリーワンのポジションを築いていた天才:吾妻ひでお、、そんな彼が、見る影もなく落ちぶれてい...この感想を読む
地獄をちょっとだけ味見する。
失踪、アル中、どうして地獄か。ハードな内容である!しかし、あまりにもソフトな表現により、失踪もアル中もまるでそこまで大したことないような雰囲気にすら感じるではないか。なんとすさまじいことよ。私事ではあるが、父がアル中であった(現在はアルコール依存症という名称で呼ばれる)。その体験から、失踪日記の特にアル中パートについて、どれだけ地獄かをご紹介したい。まず、アルコール依存症は病気だ。これが大前提だ。イメージとしては脳の一部がぶっ壊れて、一生涯戻らないと思ってもらっていい。ちょっと気が緩んで飲んじゃう、とかではないのだ。飲み始めたが最後、自分を肉体的、社会的に殺すまで飲み続ける。そうまでなってから依存症と呼ばれるようになる。そこまで厄介な病なのに、病気であるという社会的認識の低さ、そして本人の「病識のなさ」がさらに地獄を呼ぶ。病識とは自身が病気であるという意識。つまり病識がないとは、酒飲み...この感想を読む