お笑いへの思いを哲学にまで昇華させた作品
話題に上った作品だったので読んでみた私見ではあるけれど、又吉自身一風変わった感じの芸人であり、その漫才も他の芸人とはどことなく違った独特の世界観をもつような印象がある。又吉の文章を知ったのは「カキフライが無いなら来なかった」などの自由律俳句の本だ。せきしろとのコンビで、日々のなんでもないシーンを言葉と写真とともに切り取ったその作品は、もう一度読んでみたいような作品だった。しかしそれはあくまで俳句と短編という短い文章で、だからこそ又吉の長編が読んでみたくなった(それはせきしろも同じなのだけど)。そして一時話題に上ったこの作品を手にとってみたのだ。そこにはお笑いに対する真剣な思いが満ち溢れていた。真剣に考える抜くことでそれは哲学的に昇華している、そんな印象だった。皆が皆それなりにお笑いに対する思いはあるのだろうけれど、これほど真剣に生きるか死ぬかのような気持ちでお笑いに接しているのが純粋に...この感想を読む
3.53.5
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