EXILEファンでも、そうでなくても楽しめる
ダンスや歌だけでなく、演技までできるとは
「ワイルド・ヒーローズ」を見た感想です。
この作品は、主演のTAKAHIROさんを始め、メインのキャストがEXILEのメンバーで構成されています。
ですので、正直「そんなに面白くないんじゃないかな?」と、演技やストーリーに期待をせずに観たのですが、予想に反して面白かったです。
俳優業ではない、アイドルや芸人が主演するドラマはたくさんあります。
しかし、多くの出演者は、「この人は俳優じゃないからな…」というような優しい目で観なければ、やはり本業の俳優とは見劣りします。
声が小さくてセリフが聞き取りにくかったり、滑舌が悪く、何を言っているのか分からないなど、演技以前の実力でドラマに出ている人は沢山います。
ですので、この作品に関してもハードルを下げて観ていたのですが、そんなことが必要ないくらいに、キャストの皆さんは演技がうまかったです。
主演のTAKAHIROさんも、堂々として華でがあって、主役の風格は充分という感じでした。
また、メインのキャストの方々も、各々のキャラクターを自然に演じていて、違和感なく観ることができました。
特にミッキーを演じた青柳翔さん、チョコを演じた岩田剛典さんは印象的でした。
青柳さんは、ミッキーというキャラクターの人間の肉付けをよくしているのが伝わってきて良かったです。
ミッキーは元ヤンキーながら、頭が良くて冷静で、皆のストッパー的な存在です。しかし、それに反する熱い面や、深い優しさも持っている。
そんな人間性を感じる事ができ、好感を持てました。
基本的に明るいバカが多い風愛友のメンバーの中で、個性のあるヤンキーという印象を視聴者に与えました。
また、岩田さん演じるチョコは、みんなの前では明るいバカ、という感じですが、カラオケ店の店長として苦労している様子や、人妻と不倫関係にある等、裏では生活に疲れているというか、擦れてしまっている様子が伺えるキャラクターだと思います。
そうした、なかなかEXILEのメンバーのイメージらしくないキャラクターを、岩田さんは時に悲哀も感じさせながら、演じていたと思います。
また、謎の少女、日花里を演じた桜田ひよりさんは、子役ながら目の離せなくなるような演技をしていたと思います。
日花里は誰かに追われたり、連れていかれるシーンが沢山あるのですが、「捕まっちゃう!逃げて逃げて」とテレビの前で思わず白熱してしまいました。
捕まってしまったり、脅されたりした時も、本当に可哀想に見えて、「早く助けに来ないかなあ」とハラハラ、ドキドキさせてもらいました。
日花里の演技が棒読みだったり、中途半端だったとしたら、例えEXILEの面々が頑張っていい演技をしていても、白けてしまうようなストーリーだったと思います。
桜田さんは、重要なポジションで大活躍だったと思います。
また、ヤクザの田川を演じた塚本高史さんも、すごくカッコよかったと思います。ドラマ「タイガー&ドラゴン」でもそうでしたが、ヤクザ役をやらせるとカッコいいと思います。下っぱから幹部まで演じ分けられますし、演技達者だなと思いました。
次回が気になるストーリー
また、キャストの好演だけでなく、ストーリーも面白かったです。
物語は、冴えないサラリーマンの希一が、記憶を無くした謎の少女「日花里」を保護する所からスタートします。
日花里はどういう訳か、ヤクザや警察から追われていて、最初は面倒事を避けていた希一も、だんだんと放っておけなくなります。
1話では昔友人だった田川を敵に回し、2話では昔お世話になった警官、赤城に裏切られるなど、希一達には辛い展開が次々と待っています。
また希一は過去に、地元では有名なヤンキー集団「風愛友」に属していました。しかし、理由があって、その仲間達とは疎遠になっていました。
日花里の事件をきっかけに、そんな過去の仲間達との断絶に向き合い、信頼関係を回復していく課程も、熱くて良かったと思いました。
やっぱり王道が一番面白い
ピンチの時に助けが来たり、都合良く情報をくれる人物がいたりして、物語はわりとご都合主義な展開なのですが、あまり気にせずに楽しめました。
希一のセリフも熱いものが多く、ともするとクサくなりがちですが、心がこもったセリフだからか、嫌な感じはしませんでした。
例えば、希一が拳銃を向けた赤城を説得するシーンでは、結構長めのセリフがあります。
それで一度悪の道に手を染めてしまった赤城が、そんなことで改心なんてするのか?という感じもしますが、希一が言うと何となく「赤城も心を動かされるかもな」という説得力があり、不自然ではないのです。
「少年漫画的な王道」をいくストーリー展開、演出は、やっぱりストレートに面白かったです。
視聴者のツッコミの無いよう、成立させるのはなかなか難しいですが、うまくハマると、やっぱり見ていて気持ちがいいですね。
希一の「負けたと思わなければ、それは勝つまでの途中だ」というセリフは、いい言葉だと思いました。
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