おませな女の子の奮闘記 - 日曜日はマルシェでボンボンの感想

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日曜日はマルシェでボンボン

4.004.00
画力
3.00
ストーリー
4.50
キャラクター
5.00
設定
3.50
演出
4.00
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おませな女の子の奮闘記

4.04.0
画力
3.0
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
設定
3.5
演出
4.0

目次

自分なりの哲学を持つ女の子

主人公のジュリエッタは,つかみどころのないませた子ども。妄想癖とこうだ!と決めたことへの異常なまでの行動力,あらゆることに影響を受けやすく冷めやすい性格は,まさにフランス人の女性を絶妙に表現しているのではないだろうか。ってそんなにフランスのこと知っているわけでもないが。イメージ的にね?自由で、したたかでおしゃれで、強いイメージだよ。彼女の織り成す世界に共感した人はかなりいるらしく、あっさりと終了をむかえてからも続きを描いてほしいとの声が多い。

決めたら一直線。多少の逆境はものともせず,あの手この手で達成させてしまう。そして結果がどう転んだとしても,彼女はただでは起きない。シュールなときもあるが、必ず最後で楽しくまとめてくれる。ふてぶてしさと、かわいさがうまくコラボしている。

どこの国でも地味な子と目立つこはいるもので,フランスでも髪色とか,見た目とか,趣味とかで分かれるらしい。ジュリエッタはどこにも入らない不思議ちゃん部類と思われるが,根のやさしさや,感受性の高さが,周囲の同年代の子たちよりも少し上で,うわさで何かを判断するのではなく,自分の目で見て判断し,自分が肌で感じたことを貫ける意志の強さがある。たまに変な方向に暴走するのでもはや父親・母親も彼女にはタジタジ。自分の見た目をシビアにとらえているのか,それなりに自信を持っているのか…不思議な子である。まぁたぶん自分の魅力を信じているからこその行動だろうけど。その自信たっぷりな感じ,嫌いじゃない。いくら無敵なように見えても,全部ができるわけじゃない。実はできないと気づくことだってたくさんある。ただみんなに嫌われたくなくて,嘘をついちゃうときって誰にでもあることなんだよね。彼女を見ているとそういう悪くない嘘もあることを教えられているような気がする。自分の誇りを忘れずにいるところも,子どもっぽいところも,すべてが彼女の魅力だ。

いくつになっても私は私

ジュリエッタがすでに自分が女であることを認識できているのと同じように,もちろん周囲の女性陣たちもまた何歳になっても女であることを捨ててない。やらかしたことがあっても,あまりひきずらないのも魅力的。サバサバっとしてて気持ちがいい。自分に自信を持って,自分らしく生きていく。ちょっと美化しすぎかもしれないが,フランス在住の作者が感じた事はおおよそ当たっているんだろう。お国柄・文化って根付いているから,ほんの数十年なんかじゃ塗り替えられないよね。

彼女のママも,そりゃーいつも母でいられるわけじゃないよね。そういうとき,娘が言うこときかなかったりすると,ついイラついちゃう。それも若い証拠。その気持ちを我慢するんじゃなくて,暴走してでも吐き出すのが,自由でいいなーって思う。そういう場所を作ってくれているパパもありがたい存在だ。女に優しい!家では2世帯で住んでいる様子。嫁姑問題は万国共通存在するのかわからないが,少なくともジュリエッタのお宅ではそんな感じじゃない。それぞれが自分の人生を歩いている感じがして,関係はあるけど深入りせず,お互いを認め合っている雰囲気がある。これまた憧れてしまうね。

サブキャラのおかげでいい具合

ジュリエッタのお友達・マルタンがまたいいキャラで個人的に気に入っている。ジュリエッタのことめっちゃ好きで,気配りができる子だ。ぽっちゃり太めで若干地味なグループに入っているものの,気配りイケメンにきっとなれるはず。勝手ながらそんな未来が想像できた。

好きな子の頼みを断れない彼。それをいいことにクラスのモテモテ男子レミにそれとなーく探りを入れさせるあたり,ジュリエッタは罪な女。そしてそれを快く引き受けてしまうマルタンもまたおバカさん。まぁマルタンのほうがジュリエッタを理解しているし,ジュリエッタもまたマルタンのことを誰よりも理解しているところもあると思うから,最終的には落ち着くはず。彼のいいところは,冷遇されたとしても人を恨まないこと。また,自分の気持ちを優先させるよりも,大切な人が大事にしたいことなら,悪くとらえず認めてあげることができることだ。素直なんだろうね。包容力をわざと作っているわけじゃない。大人になったら絶対モテるよ!君の心配りに救われた人がいったい何人いることやら!

子どもだろうとも,考えている。子どもだからこそ感じることができる。子どもだからこそ,達成できる。ほっこりエピソードがちりばめられた中で,「マルタン」という存在は非常にでかい。女友達じゃなくて,男友達っていうのもまたいいよね。女同士の友情よりも少し大人びた雰囲気を醸し出せるし,かっこいい。

新しく弟ができるとき

さすがに弟ができるときは,ジュリエッタも乱れた。今までは自分ひとりだったから愛情がすべて自分に向いていたけど,それが弟ができたことで分散されたような…寂しい気持ち・残念な気持ち。本当に小さなころにできた・もしくは自分がもう中学生とか高校生になった段階でできた弟だったら,こんなにショックは受けないんだけど,8歳という微妙な年齢だから,自分の感情をコントロールできない日もあるんだよね。

それでもさすがのジュリエッタ。そういう複雑な感情もちゃんと言葉にできている…!気持ちの面で追いつかないところがあっても,自分が家族から愛されてないわけじゃないってわかっているんだよね。わかってるけど,寂しいもんは寂しい!私って意外とまだ子どもでめんどくさいのね…。いや、自分で気づけないもんですけどね。

全然関係ないけど、彼女は本当にパパとママの子どもだろうか…という想像もした。似てない感じがするんだもの。どこを組み合わせたら彼女ができあがるの?と疑問に思った。ちょっと物悲しいエピソードも入れている作品だから、彼女自身のことで何か心の揺らぐエピソードが出てくるのかなーと考えていた。でもそんなことはなかったから、若干拍子抜けだった面もある。「ジュリエッタ」という人格形成は,おばあさまから引き継いだのかな…あまり本編でご活躍がないから,非常に気になっている。弟ができたことで,よりジュリエッタのお姉さん心に火が付き,さらに大人の女性へ。姉弟っていいよなー。絶対優しい弟になる。

対等の関係

フランスのパリではなくて、南仏のほうに住んでいることもリアリティを感じさせる。作者がフランスに住んでいて直に感じたもの,現地の女の気持ちとその生活,空気とか,感情の表現の仕方とか,実に自然で,自慢するわけでもなく穏やかだ。フランス豆知識も知れて,おもしろい。泣かせる話よりも,クスっと笑わせてくれる話をよく集めた物語と言える。

子どもだからってバカにしたり,下に見たりするわけじゃないのは,脈々と受け継がれてきたフランスの文化なのかなーと思う。そりゃ漫画だからかもしれないけどね。ほっこり心あたたまる。日本語のセリフにところどころフランス語が混じって,時々読みにくいこともあったけど,それもまた味があっていいんだろう。

ほっこり系の漫画に共通するのは,主人公が必ず地味だったり,微妙な顔をしていること、それでも一生懸命で,真面目なところがあることだ。ストーリーの仕上がりは格別で,たいてい絵はそんなにうまくない気がする。絵がうまいだけがマンガじゃないわ。刺激的な漫画ではないけど,夜寝る前にそっと読んで,ちょっぴり笑って楽しむ,優しい漫画。だけど“日曜日”という要素があまり感じられなかったんだけどな…それはなぜなんだろう。

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