妄想女子用のアダルト作品 - Sex=love2の感想

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Sex=love2

3.503.50
画力
4.00
ストーリー
3.00
キャラクター
3.25
設定
3.00
演出
3.00
感想数
2
読んだ人
2

妄想女子用のアダルト作品

3.53.5
画力
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.5
設定
3.0
演出
3.0

目次

少女向けギャグ作品とアダルトの中間的作品

この作品は、アダルト指定されているようだが、連載されていたCheese!は高校生から社会人向けの漫画雑誌だったせいか、若干未成年への配慮を感じる作画になっている。

タイトル通り、男性主人公の涼も女性主人公の久美子も、セックスのことしか考えていない描写が多いものの、アダルト作品としては過激描写が作画面では控えめであり、快感フレーズなど、未成年でも読者がいる作品と基本は同じで、ややセックスの比重を若干多めに描いてある作品という感じである。

何より、アダルト作品にしては久美子の外見が見ようによっては小学生のようにも見えるし、性格設定があまりに幼稚で思慮がない。天然と言ってしまえばそれまでだが、まるで世間を知らない子供が性に溺れてしまったような感じで、そこに可愛らしさを求めるかセクシーさを求めるかで、女性読者の共感も分かれそうである。

男性主人公の涼は例にもれず年齢不相応に外見は大人びているが、今回は久美子の実家の方に財力がある設定で、涼は外見だけカッコいいただの性に溺れる高校生である。強引な展開が魅力の一つである新條作品だが、この作品はあまりに展開が強引でもはや小学生向けのギャグの領域になっている部分もあるため、どういう層をターゲットにしているのか少しわかりづらい作品である。

あまり教師と生徒の立場が生かされていない

教師と生徒という禁断の恋には、周囲にばれないようにとか、好きなのに相手を拒絶するなど、色々我慢を強いられ、切ない物語が多い。この作品では導入として最初は涼と久美子の関係が生徒と家庭教師という事になっており、大学卒業後に久美子が涼のクラスに赴任してくるという展開なのだが、漫画とはいえ、両想いの教え子のクラスに赴任してくるというのは、非常に展開としてご都合主義すぎやしないだろうか。学校が公立だったため、あまりの偶然にそう感じる。公立の場合自分の思い通りの学校に赴任されるとは限らないからだ。

それなら、最初から担任だった先生に恋をしてしまったという展開の方が理解できるし、かえって涼の学校を最初か私学にした方が自然だったのではないだろうか。

しかも久美子も涼も、一応は周りに関係がばれてはまずいという気持ちはあるようだが、涼のライバルの生徒皆人や、父親が送り込んだ刺客の教師武田にも関係を隠そうとする気があまりなく、倫理観に乏しい。

新任教師なのに生徒の涼と安易に同棲してしまったり、校内で性行為に及ぶシーンなどは、単純に性行為を繰り返す二人というシチュエーションに酔いたい人には楽しめるかもしれない。しかし、先生と生徒であればそうしたいがそうできないという葛藤はつきものだし、その中で愛情を獲得していく過程が面白いのに、倫理面において背徳的行為だという感情は二人には皆無のため、これなら生徒同士の先輩後輩でも良かったのではないかと思ってしまう。

若干酷評だが、好きになるきっかけもほとんど一目ぼれで端折られてしまっており、手っ取り早くセックスを描くために適当な設定がされているだけという、男性向けのアダルトビデオ的要素があり、ストーリー性を重視する女性には物足りなさがある作品である。

ラストは何か意味があったのだろうか?

久美子の実家の財力で、最後は涼と久美子が私立高校に転校、転出する展開になっている、父親が最終的に涼を認めて二人を応援するというラストになっているようだが、武田の裏切り行為が許せないにしても、いきなり父親が学生の涼を認めるのも唐突過ぎるし、同じ学校で教鞭をとって涼のそばにいるなら、英才教育のためとはいえ転校する必要があったのか疑問である。

新條作品では比較的生かされてやすい、片方が金持ちである王道設定が、どうもこの作品ではうまく機能していない。久美子にしても、金八先生に心酔し、親の反対を押し切って教師になったのに、公立での沢山の教え子を簡単に切り捨てて、涼一人のために私学へ転職したようにも思え、職業意識より本来恋してはならぬ未成年の教え子の方が大事なのかと、やや人柄に失望してしまう。

このラストの大胆な展開が、必要だったのか疑問でならない。

久美子が元々涼の担任教師で、倫理観のしっかりした普通の女性教諭というシチュエーションの方が、同じ性描写を描くにしても紆余曲折や切なさが描けて良かったように思う。結局は、久美子も涼も思慮深くないおバカだったために、所かまわず欲情していて、その性描写が目的の作品なので、二人はいつも一緒にいないとだめなのだろう。やはり設定が甘いアダルトビデオの様な作品、という印象で読了してしまったのが残念である。

あり得ない展開が売り

一方で、新條作品には、あり得ない大胆シチュエーションが売りなのだという見方もできる。

快感フレーズや覇王愛人などの作品も、唐突な出会いからシンデレラストーリーまっしぐらの展開であり、長丁場の作品ほど立場の違いからの葛藤や苦しみ、切なさは詳細に描かれているものの、基本は非現実的なストーリーが多い。

アーティストや大金持ちとの恋や、Sex=love2のように、若い新人教師と超イケメン男子生徒という設定も、妄想が大好きで、細かい背景などどうでもいい!という人には、存分に楽しめる作品だと思う。

漫画には、非現実の世界に読み手を放り込んでしまう面白さがあっても良いと思うので、そういう意味ではこういった、あり得ない、という作品もアリなのではないだろうか。

ストーリーとして何が言いたかったのか?など深く考えてしまうと酷評されがちな作品ではあると思うが、そういうことを一切考えないのであれば、エンターテインメント性は高い作品だといえる。 

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