人間と妖の恋
出逢った意味
幼い頃から妖怪が見えるとゆう境遇から
あまり友達のいなかった主人公・実沙緒。
隣のお屋敷に住む烏水匡はそんな実沙緒をいつも守ってくれ
いつしか実沙緒の初恋の人となるが
「いつかまた迎えにくるから」とゆう言葉を残し
匡は実沙緒の元からいなくなってしまう。
月日は流れ、匡のことなど思い出となって過ごしていた頃
実沙緒は16歳の誕生日前日に匡と再会することとなる。
そこで知らされた、自分の体質や匡の本当の姿。
実沙緒は16歳を迎えたとき、彼女の血を飲めば寿命が延び
彼女の肉を喰べれば不老不死となり
彼女を花嫁にすれば一族に繁栄をもたらす
100年に一度産まれる妖のエサ「仙果」だとゆう
特別な体質だとゆうことを知らされる。
そして匡はその「仙果」をねらう妖の一族「天狗」であることを知る。
「仙果」や「天狗」などとても現実離れした話だし
もし自分がそんな体質だったら…なんて考えたこともないけれど
初恋の彼が突然現れて、
「俺もお前を狙う妖の一人だ。」
「だが俺は違う、お前を守るために天狗の里から帰ってきた。」
「だから俺と結婚しろ、そうすれば安全だ。」
だなんていきなり言われても人間不信もいいところ…
なんて感じの再開から始まるお話。
最初は妖なんかと一緒になんてならないと
突っぱねていた実沙緒でしたが
「仙果」である実沙緒が好きだったのではなく
好きになった実沙緒が「仙果」であったがために
彼女と一緒になるためには当主にならなくてはいけない。
兄である祥から当主の座を奪うため天狗の里に帰ったこと
そして当主となり実沙緒を迎えにきたことを聞き
少しずつ惹かれていった実沙緒と匡は互いを想い合う関係に。
想いが通じ合った二人でしたが、問題は山積み。
実沙緒の血や肉を求めいろんな妖に狙われます…。
そこで実沙緒を奪おうとしてきた狐一族である葛葉修平は
匡が絶対に許せない「実沙緒を傷つける」行為をしてしまう。
匡が下した決断は葛葉を殺すこと。
それを目の前で見ていた実沙緒は
この先も匡と一緒に居るためにはいろいろなものを犠牲にしながら
生きていかなくてはならないのだと覚悟を決めるきっかけにもなった。
様々な困難を乗り越えて
ある日、父が昔世話になった寺の息子・頼光が実沙緒の家へとやってきた。
彼は幼い時に妖に襲われて頭に大きな傷を負い妖を恨んでいた。
そんな時、実沙緒が匡と付き合っていることを知り、
匡を攻撃、術をかけ匡を殺そうとする。
その術は匡の体力を奪い続け、死に至らしめていくものだった。
その術解くためには、匡と実沙緒が肉体関係を持ち
実沙緒からエネルギーをもらうとゆう方法しか残されてなかった。
唯一、300年前に仙果の嫁取りをしていた葛葉一族が記した
「仙果録」には、お腹の子に精気を吸われた仙果の娘は
出産と同時に死亡したとゆうことを知っていた匡は
実沙緒と関係を持つことを頑なに拒んでいたが
実沙緒は匡を助ける為、匡とこの先も生きていく為
二人はひとつになった。
16歳になったと同時に、自分の「仙果」の力を狙う人々に
狙われ、騙され、傷を負っているはずの実沙緒
でも、匡やその臣下である八大天狗の皆や温かい家族の愛情を
いっぱいに受けて、一生懸命に匡を支えようとしているまっすぐさ
とっても泣き虫な実沙緒だけど
「あいつの涙は一生懸命戦って流れた汗みたいなものなんだよ」
と匡が言っているシーンがありますが、
それをちゃんとわかっている匡の実沙緒への愛情、
そして実沙緒自身、本当に強くまっすぐな人間だなと心打たれました。
決心
実は匡と同じく、ずっと実沙緒を想い続けてきた匡の兄である祥。
本当はただ自分のことを見て欲しかっただけなのに
どうして自分ではなく匡なのだとゆう想いから
歪んだ愛情表現しかできなかった祥。
最終的には強制的にでも自分の物にしたいとゆう行動から
匡に殺されてしまう。
そんな悲しみから二度目の肉体関係を持ったその後
実沙緒のお腹には新しい命が宿った。
だが、「仙果録」の内容を知っている匡にとって
実沙緒の妊娠は実沙緒を失うと同じ意味であり
堕胎するように実沙緒を説得する。
沢山の困難を乗り越えて、
匡とゆう愛する人との間にできた新しい命
「また来年も、この桜を一緒に見ようね」
「今度は三人で海に来ようね」
そんな些細な約束さえも果たせないと知っている実沙緒だけど
彼女は子供を産むことを決めた。
本当に彼女は強い。
どんなに辛くて悲しい決断だったのだろうか予想もつかないくらい。
実沙緒の決意を聞き匡は
「子供を産んでも死なない方法」を探しはじめた。
そしてついに、出産の時…
産まれた子供は「颯」と名付けられた。
無事に産まれた「颯」に対し、動かなくなった実沙緒。
そんな実沙緒に匡はキスをした。
誰もが“別れ”のキスだと思っていた。
だがそれは“別れ”なんかではなく匡は自分のエナジーを
実沙緒に与え続けていたのだった。
そして3日目の夜、奇跡が起こった。
目を覚ました実沙緒…
涙を流した匡は後にも先にもこの時だけだった。
自分の死をわかっていても、匡との間にできた子供を
絶対に産むと言った実沙緒。
「実沙緒が居ない世界なんていらない」と言った匡
形は違うけれども、お互いをこんなにも愛し合っている二人。
人と人が互いに思いやる気持ちに
天狗や人間なんて人種や系統なんて関係ないってこと、
互いを必要とし、支え合う心、
実沙緒に対する匡の変わらぬ愛情と
それに応えようとする実沙緒の強さに
涙がとまりませんでした。
人生でこんなにも人を愛することがあるのだろうか
もしそんな人と出会えたのならば
その人を大切にし、全力で愛したい
そう思える作品でした。
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