オンオフあっても全部自分
努力して手に入れた栄光
スイッチガール、流行ったよね。西内まりやが主役でドラマをやったこともあるが、やはりオフモードにおける仁香の手抜き具合は漫画が格別。今どき親父でもできないであろうおならを始め、古臭いパンツにメガネ、気合い入れてない髪型にジャージ姿、足で痒いところを掻いてみたり…漫画読みまくってゲーム徹夜でしまくって。これはもうそういう一種の女子なんだと思っておいたほうがいいと思う。実際、いるもの。外ではいくら着飾ろうとも、家の中は汚れまくっている女なんてざらにいる。男でガサツな人と几帳面な人がいるように、女の中にもガサツな人と几帳面な人がいるのである。常に大和なでしこ期待されても困るんじゃい。
外で嘘をつきまくっている分、家の中では正直に、あるがままにいたい。あるがままではきっと男にモテないし、友だちからだってちやほやされないって思っている仁香。だけど別に腹黒い奴ってわけではないんだなーこれが。一本の筋がきちっと通っていて、いいところがたくさんある。ギャルのカリスマ的ポジションを築いたのも、フラれたことをバネに、一生懸命努力してきれいになった証。オフモードのことは隠しつつも、不条理なことを放っておけない強さがある。さすがに女としてはちょっと下品だよな…っていう自覚もあるから、かわいいやつじゃないか。磨いて光る女であることに、もっと自信を持ったほうがいい。
毛抜きやよれよれパンツの件については、あらゆる女子がやっているはずで、あまり男子は夢を抱かないほうがいいと思う。お付き合いしたてのころと、時間が経ってからとでは、オープンでにできる幅は違う。オープンになるほど、心が近づいたと思っておいたほうがいい。
根っこが男前な仁香だから
そこがあるからニノだってメイカだって、唯一無二の友だちでいてくれるんだよ。メイカにはつらい目にも合わされたけど、仁香の心意気に感化されてなかよくなっちゃった。女を惹きつける女って、男にもモテると思うんだ。仁香は相手をコケにしたりとか絶対にしないし、世の中のエチケットがなってない人間にはどんな相手だろうとタンカを切る。その強さ、大好きだ。
女なんだからもっとこうしてくれ、男なんだからもっとこうしてくれ、とか期待せずに、ただその人を見てくれる人はいるもんだよ。というか、そういう人じゃなきゃ選んじゃダメ。別にスーパーの安売りに命かけているのだって、家族のことを想えばこそ。部屋が汚い事、オフモードがもはや別人格かってくらい親父なことも、やっぱり仁香という人間そのものだから…。全部知っててそばにいてくれたニノ、闘ったメイカとマサムネ、そして女として見てくれた新に出会えて、本当に仁香は幸せ者。ただし、それは彼女が筋の通った女だからこその話。ただガサツでめんどくさい女だったら理解されないから、人間磨きは忘れてはならない。
中には、女の子なのに男っぽいところに惹かれる男もいるらしい。俳優の佐藤健さんなんかはそうで、かわいい女の子が男勝りな言葉を使うときゅんとするとのこと。…でもあんなイケメン俳優目の前にして素を出せる女が果たして出てくるのか…?女はいつでも、どんな人相手にも、スイッチガールである気がするよ。
新の両親の気が知れない
あの母親…生々しい不倫現場を息子に目撃される母親、いったいどうなってんねん…!自分の家に呼ぶんじゃねー!やるなら外へ行け!大学時代から続いていたっぽいってどういうこと?!
そりゃーね、夫との夫婦関係が冷え切ったとき、女に戻りたいと思う母親はごまんといるだろうよ。でもさ、手を出したら終わりの覚せい剤と同じで、バレたら地獄行き。一緒に暮らしたいなんて言ってお涙誘って、許されようとやってくる母親がどうかしていると思う。
そして、父親。お前さ、母親と話はついているから後は新の自由だなんて、なんで言える?守ってやるとかさ、新の気持ちを確認するとか…向き合ってやる時間ってもんが必要でしょう?そういう自分たちの綻びから出てしまった問題を放っておくからこじれるんだよ。だいたい、妻に寂しい想いをさせているのも困ったもんだし、どこかに責任を求めるとしたら、お互い2人なんだと思うんだ。本当に気が知れない。せめて子どもがいない間柄だったらどうぞご勝手にと思う。
仁香が新と母親を和解させてくれたというか、ケリをつけさせてくれたよね。血のつながった母親を恨み続けることは、確かに苦しい。全部許すとか無理で、母親のあの時の気持ちをわかってやろうなんて無理でも、推し量ることはできる。そうやって、少しずつ穏やかになっていけばいい。仁香によって解き放たれていくイケメン新。仁香への気持ちは募るばかり…弱っている奴ほど、つかみやすいのよね。
マサムネの幸せが嬉しい
最初は仁香のことが好きだったマサムネ。メイカが仁香を陥れようとしてオフモードの盗撮から新の強奪から悪事を行っていたわけで、それに協力していたのがマサムネだった。こいつもちゃんと仁香を仁香として見てくれる男だったな…。半目っぽい表情とツンツン頭は好きになれなかったけれど、性格がお気に入り。
やっぱりニノとマサムネの関係が一番心揺れたよ。仁香に対しても全力投球だったマサムネ。仁香のことは、罪の意識・負い目を感じながらだったから、彼は辛かったことだろう。ニノに対して恋してからは、もうありったけの自分をぶつけてきた。それがニノに響くまで、本当に時間を要したからこそ、うまくいったときはひとしお。別の想い人がいたニノにとっては、マサムネの好意とそれに中途半端な対応しかしていない自分への罪悪感があった。そこからマサムネの大逆転が起きて、本当にうれしかったね。マサムネは仁香に失恋しているし、絶対次はつかんでほしい!って思って応援していた。新とも良好な関係を築くことができたため、もう一度仁香を狙うってことになったら萎えるところだったよ。内容の割合としては、スイッチガールの裏表の激しさ・それに伴う日常の波乱万丈が半分、新との恋物語が後半色濃くなって半分、という感じ。仁香は絶対崩れないから、やはり崩すなら新からだよね。
自分のオフをさらけ出すということ
自分の素をさらけ出して、全部カミングアウトしてでも新を失いたくない!そうして渋谷109前でオフモード全開をさらした仁香。…でもさ、確かにどこかでバレる事件があるのかなとは思ってたけど、わざわざ新を取り戻すためにカミングアウトという手段に出る必要はあったのか、非常に疑問なんだよ。新が仁香を手放した理由ってそこじゃないしさ。朝美だし。ビッグなイベントと無理矢理結びついた感じがする。
常に自然体でいることは大事だけど、外に出る時はそれなりに服装に気を遣ってみたり、メイクしてみたりするのは普通だ。自分のオフモードがあることは全然恥ずかしいことじゃない。普段の見た目から私生活すら美化して考えるような人より、その個性をおもしろいと思ってくれる人を選べばいいんだよ。飾る必要がないと思えば、余計なことを考えなくて済む分、相手を大事にしようって思えるし、最低限その人の前では常にかっこよくいよう・こうであろうと行動することが自然とできるんじゃないかな。
それにしても、くさやが好きで弁当に持ってくるという仁香の行動があったが、あれだけはかなり心配。歯磨きちゃんとしてるかな…ってめっちゃ気になってしまった。
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