懐かしいけど新しい
リメイクの成功例
大抵、リメイクものを見るとガッカリする事が多いんです。設定そのものを変えられちゃったり、キャラクターデザインも豪華なんだけど、ただそれだけ。とか、かつてを知っているファンからすると、「こんなんじゃなかった」という物ばかりです。この『キューティハニーF』の元々の作品である『キューティハニー』も、今から40年以上前に放送され、私も小さい頃に再放送で見ました。「ハニーフラッシュッ」の掛け声と共に衣装が弾け、再び戦闘服になるという変身シーンは当時ではかなり刺激的でした。その『キューティハニー』がリメイクされるというので、私は期待と不安にドキドキしながら放送を待ちました。として、結果としては大成功でした。前作は男性目線で描かれている気がしたのですが、今回はキャラクターデザインを少女マンガ家の飯坂友佳子さんにお願いしたそうです。飯坂さんといえば、『バトルガール藍』などで知られるマンガ家さんで、私はこの方の作品が大好きでした。ハニー達も前回はもっと大人に見えたのですが、顎のラインも丸くなったり、瞳が少女マンガのようにキラキラと輝いて、以前よりもより女の子向けに仕上がりました。特に早見青児や黄昏のプリンスの外見はいかにも女の子受けしそうなイケメンです。そして、肝心な変身シーンは思っていたよりもセクシーでした。やっぱり、『キューティハニー』といえばこのシーンがなくちゃね。あらゆる面で、この作品はリメイクの成功例と言えるんだと思います。
愛の光りを持つ乙女
ハニーのセリフ通り、この作品のテーマは「愛」だと思うんです。「愛」にはいろいろな形があります。人工生命体であるハニーを我が子として大切に育てた如月博士の「愛」。世界的犯罪組織であるパンサークロウから必死にハニーを守り、ただ親子は静かに暮らしたかっただけなんだと思います。しかし、逃げ切れる訳がない事も彼は知っていたんだと思います。ミセスビーに連れ去られた猛は、ハニーだけは何とか救おうとします。血の繋がりなどなくても、二人は確かに親子だったのです。そして、そんな父親を救おうとハニーは、謎の青年(黄昏のプリンス)からもらったハート型のチョーカーと指輪を使い「愛の戦士」であるキューティハニーへと変身するのです。結局父親を助ける事は出来ませんでしたが、彼女はキューティハニーとして戦う決意をしました。やがて、私立探偵をしている早見青児と親しくなったり、親友の夏子達と過ごす事でハニーは彼らを守りたいと願います。これも彼女の「愛」なのです。しかし、たくさんの「愛」に囲まれたハニーの前に一人の美少女が現れます。それが、ハニーの双子の妹である如月聖羅です。彼女はとても孤独です。幼い頃にパンサークロウに攫われ、誤った知識を吹き込まれ、父親やハニーをずっと恨んでいました。そんな聖羅を説得するハニーですが、聖羅の耳には届きません。ですが、心から慕うプリンスゼラ(黄昏のプリンス)にも冷たくされ、彼女の心はボロボロだったと思います。やっと父親やハニーへの誤解が解けると思った頃、聖羅は自分の憎しみと戦います。そして、彼女は自分の命を投げ出して憎しみを消し去りました。もし、最初からハニーと暮らしていれば彼女にだってたくさんの「愛」が得られたはずです。そう思うと、哀れでなりません。そして、ハニーはとうとうパンサーゾラとの決着を着ける事にします。この世にある全ての物を欲しがるパンサーゾラに自分の全てを注ぎ込みます。そして、その「愛」の力でパンサーゾラを見事に消し去ったのです。ハニーが青児の腕の中に飛び込んで行った時に、また新しい「愛」が始まるのだと思いました。
バラの次はユリ?
ハニーのピンチにさりげなく現れ、彼女に的確なアドバイスを与えて去って行く。初めて出会った時が黄昏時だったので、ハニーが勝手に「黄昏のプリンス」とアダ名をつけましたが、彼は結局何だったのでしょう?ハニーにチョーカーと指輪を渡しておきながら、パンサークロウのプリンスゼラだなんて、あんまりすぎます。それに、ハニーにはなぜあんなに優しいのに聖羅にはあんなにツレナイ態度を取るのでしょう?ましてや最終回真近で改心って。一体全体彼は何者なのでしょう?それに、前番組が『美少女戦士セーラームーンセーラースターズ』だったからでしょうか。黄昏のプリンスはなぜかユリの花を持っています。それって、タキシード仮面様の真似なんでしょうか?それに、改心したプリンスは、パンサーゾラが消えた後、どんな生活を送っていたのでしょう?全てが謎な所がプリンスの魅力なのかもしれませんが、何か良い所だけ持っていかれている気がして、青児が可哀想だなと思います。なぜなら、何となく、ハニーの心はやっぱりプリンスに傾いているような気がするのです。やっぱり女の子はいくつになっても王子様が大好きなのですから。
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