ちよっと大人になった気持ちになりました
これ、アニソン?
一番最初に驚いたのは、なんと言ってもアニソンとは思えないお洒落なOPとEDです。当時、まだ小学校を卒業した私にとってはもの凄い衝撃でした。もちろん、『キャッツアイ』などもアニソンとは思えない程お洒落だったのですが、『シティーハンター』の場合、「大人の男」という感じだったのです。OPの、「愛よ消えないで」を歌っていた小比類巻かほるさんは、その時既に「HoldOnMe」が大ヒットしていた実力派で、高音の中にある力強さが作品にピッタリでした。その華やかな映像と同時に流れて来た彼女の歌声に私の目は釘付けでした。そして、EDである「Getwild」は当時ほとんど知られていなかったTMNETWORKが歌っていて、小室哲哉さんがシンセサイザーを操る姿にはかなり驚きました。そして、この「Getwild」は現在でも多くの方がカラオケで歌っている程の大ヒット曲となりました。更に、アニメのOPとEDが同時にトップ10入りするという、当時ではかなり珍しい事が起きました。華やかなメロディーのOPと違い、ラストシーンにかぶさるように始まるEDは物静かで、「これがハードボイルドというものなんだぁ」と思わせてくれました。歌詞の中に出てくる「一人では解けない愛のパズルを抱いて」という所ではいつも冴羽さんの孤独が感じられました。こんなにストーリーとピッタリとハマる主題歌はないと、今でも思っています。そして当時の私は少しだけ大人になったような気持ちになっていました。
大人の男性
新宿駅東口にある伝言板。そこにXYZと書いておけば、必ずシティーハンターが何でも解決してくれる。というのがこのストーリーの大切な軸です。これがなければ、この話は始まりません。冴羽さんが依頼人にカクテルを傾けながら、XYZの意味を語ります。カクテルと同じ意味である「もう後がない」というその言葉の意味に、彼の覚悟を感じました。もう後がないという程追い詰められた人々を自分が救い出すというその覚悟は、その後のアクシデントで分かりました。少女を人質にした男が、人通りの多い路地を背にした時に、彼は自分の手の甲をクッションに愛用のコルトパイソンを放ちます。その躊躇わない決断力に、彼が普通のヒーローとは違うという事に気づかされました。彼は、裏の世界の人間なのです。そして、警察ですら相手にしてくれない人々にその腕を使います。時には暗殺の依頼も引き受けるのです。この世界は綺麗事ではすまないのだと教えてくれているようでした。そして、何よりも忘れられないエピソードは、冴羽さんの相棒である槇村秀幸の「死」でした。槇村さんがいつから冴羽さんのパートナーとなったのかは分かりませんが、二人は絶対の信頼関係で結ばれていました。槇村さんの妹である香さんも加わり、これから賑やかになる筈だったのに、彼はある麻薬組織によって殺されます。その日は、香さんの二十歳の誕生日だったのに、です。そして、槇村さんは冴羽さんに香さんの出生の秘密を託していきます。それは、冴羽さんだからです。冴羽さんが誰よりも信頼出来るから、指輪と共に秘密を託したのです。きっと自分の口から伝えたかったはずなのに。そして、兄の死を知った香さんは今度は自分が冴羽さんのパートナーになると決めるのです。そして、やはりその理由は冴羽さんだからでしょう。何も語らなくても、彼の優しさや孤独は伝わったのです。それにしても、槇村さんの事で気になるのは冴子さんの事です。警視庁時代から「月とスッポン」と呼ばれた二人はパートナーであり、恋仲でもありました。一時的に冴羽さんと三角関係にあったらしいのですが、それらのシーンが全く見られなかったのが残念です。二人がどんな風に警視庁で活躍していたのか知りたかったし、せめて二人が並んで歩いている姿だけでも見たかったな。
今見るとかなり豪華な顔ぶれです
冴羽撩役の神谷明さんは、誰もが知る有名な声優さんで、『シティーハンター』の大ファンだったそうです。当時の神谷さんは、『キン肉マン』や『北斗の拳』で主役を務めていた神谷さんは、実は冴羽撩役の候補から外されていたそうです。しかし、原作の大ファンだった神谷さんがスタッフと話し、この役を射止めたのだとある番組で話していました。スイーパーとしての顔と、女性好きで明るい顔を交互に演じられるのは神谷さんだけだと思います。香役の伊倉一恵さんも、ボーイッシュで負けん気が強い香の声に良く似合っていたと思います。しかし、驚くのはいわゆるザコキャラです。名前を拝見すると、山寺宏一さんや、田原アルノさん、それに神代智恵さんの名前までっ。今ではとても考えられませんが、山寺さんが男AやBを演じていたなんて驚きです。こうして見ると、『シティーハンター』という作品は本当に豪華な顔ぶれだったんだと思います。
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