変わらないのは良いけれど - 魔神英雄伝ワタル2の感想

理解が深まるアニメレビューサイト

アニメレビュー数 2,474件

魔神英雄伝ワタル2

4.004.00
映像
4.50
ストーリー
4.00
キャラクター
4.00
声優
4.50
音楽
4.00
感想数
1
観た人
3

変わらないのは良いけれど

4.04.0
映像
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
声優
4.5
音楽
4.0

目次

安定感はあるけれど

『魔神英雄伝ワタル』が終了してからというものの、私の心にはポッカリ穴が空いたような寂しさがありました。後番組である『グランゾート』も面白かったのですが、『ワタル』程の盛り上がりには欠け、正直ハマる事はありませんでした。そして、始まった『ワタル2』です。私は飛び上がる程嬉しくて、放送初日にはビデオもセットして見ました。芦田豊雄さんのデザインであるワタルやヒミコは可愛さも倍増していたし、新コスチュームも以前より引き締まった感じがして、映像には満足しました。また、星界山に向かう龍神丸がロケットにくくりつけられて「やぁ。ワタル」と片手を上げるシーンや、相変わらずのヒミコのテンションの高さなど、前作を上回る面白さはさすがの安定感だと思いました。ですが、斬新という点ではいささか物足りなさを感じました。まず、ワタルの武器が登龍剣から星龍剣に変わっただけだったり、当時ミニブームだったフリスビーを武器にするまでは良かったのですが、愛称が「フリフリ」というのも単純過ぎていささか拍子抜けでした。もう少しバージョンアップした作品が見たかったかな。

海火子の立場は?

一番気になるのは、この新キャラである海火子という存在です。彼は明らかに虎王を意識して作られたキャラクターでしょう。あの特徴的な赤い髪と漁師を思わせるコスチューム以外はまんま虎王です。生意気な態度と、ワタルをライバル視する所、ましてや本来の姿が星界山の皇子だなんて、何もかもが虎王の設定と同じです。ましてや途中からは虎王も登場する訳ですから、これでは似ているキャラクターが二人。という事になってしまいます。もしどうしても新キャラを登場させるなら、虎王とは全く別のキャラクターが良かったな。勉強は出来るけれど剣術は全く駄目、とか。ヒミコに対抗して、星界山のくノ一を登場させるのも面白かったんじゃないのかな。そして、もう一つの不満がクラマです。なぜ、彼は再び鳥の姿に変えられてしまったのでしょう。前作ではドアクダーによって姿を変えられたクラマが、元に戻る為にワタル達に近づき、やがてその友情に触れ、自らの危険も顧みずワタル達を助けます。そして、やっと戻れたのになぜ再びクラマを鳥の姿に戻したのでしょう?やっぱりこの姿の方が人気があるのでしょうか?途中で元に戻れるのかと思ったら、最終回でさえ元に戻れませんでした。唯一、愛を探すという試練の時だけ人の姿に戻っただけでした。いかに鳥の姿が好評であっても、私は人間の姿のクラマに活躍して欲しかったな。

まさか、あんなに泣くとは

中盤になってくると、次第にストーリーもギャグだけではなく、シリアス要素も多くなって来ました。愛を探すという試練では、キャラクター一人一人にスポットライトが当たり、色々なストーリーを見る事が出来ました。中でもシバラクの話しは、今までの彼のイメージを払拭するもので、正直驚きました。私は前作から、このシバラクというキャラクターがあまり好きではありませんでした。顔が大きいだけで特に剣術が凄まじく上手い訳ではないし、どちらかというと活躍するタイプのキャラクターではありませんでした。ワタルがなぜ彼を「先生」と慕うのかも分からなかったぐらいです。でも、この愛を探す旅で彼の過去を垣間見た時に、私のシバラクへのイメージは変わっていました。それなのに、この直後、彼は敵の手に落ちてしまいます。そして、予想通り洗脳されて悪の手先となってしまいました。私も、ワタル同様にショックでした。いつもいつも、ワタル達にイジられていたシバラクが、ニコリともしないのです。この時に私は、『ワタル』にはやっぱり彼が必要なんだと思いました。虎王が加わった事で賑やかになった筈なのに、そこにシバラクが居ない。それだけで寂しさを感じてしまったのです。そして、それはワタルも同じだったのだと思います。仲間の危機に剣を振り上げたワタルは、でも、寸前で止めます。涙をボロボロと零しながら、「出来ないっ」と叫ぶ彼は、もう幼い救世主ではありませんでした。そして、シバラクもまた、自分の心を支配する悪の力と戦っていたのです。彼だってワタルとは戦いたくないのですから。そして、ワタル達を傷付ける前に自ら斬られようとします。それが、師匠として弟子に出来る最後の仕事だと思ったのでしょう。そして、ワタルもまた、そんなシバラクの気持ちに応えたのです。倒れたシバラクに覆いかぶさるワタルの前に、戦神丸が現れます。倒れた主人をジッと、見つめる戦神丸は人間と同じように悲しんでいるようでした。戦神丸の力で蘇ったシバラクに泣きながら抱きつくワタルは、世界を救う救世主ではなく、普通の少年でした。そして、なぜシバラクがこんなにもワタルに慕われるのか分かった気がします。ワタルにとってシバラクは剣の師匠だけではない。人生の師匠だったのでしょう。たくさんの笑いと感動を与えてくれた『ワタル』と『ワタル2』は今でも大好きな作品の一つです。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

魔神英雄伝ワタル2を観た人はこんなアニメも観ています

魔神英雄伝ワタル2が好きな人におすすめのアニメ

ページの先頭へ