ありきたりのオンパレード - パーフェクト・ローズの感想

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パーフェクト・ローズ

3.003.00
画力
4.00
ストーリー
2.50
キャラクター
3.00
設定
2.50
演出
3.00
感想数
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1

ありきたりのオンパレード

3.03.0
画力
4.0
ストーリー
2.5
キャラクター
3.0
設定
2.5
演出
3.0

目次

確かに絵はかわいい

お嬢様学校に通う“のばら”は、その学校の理事長の娘。風紀委員として毎朝校門の前に立ち、スカート丈やらなにやらを正す役目を持っていた。委員というか、勝手にやっている気がするんだけどね。地味なのばらが蒼馬たち4人のイケメンたちによってメイクされ、ヘアアレンジされ、コーディネートされ、アクセで飾られる…華やかなかわいこちゃんになるので、絵が巧いなーって思いました。

男の子のほうも、まぁ美形ぞろい。美晴と蒼馬は似ている系統でしたが、俺様とフェロモン漏れドSで属性は違う2人。違いはわかりやすかったですね。美晴のほうがどっちかというと花が飛んでいる感じ。確かに属性を絞るとしたら、この4つに集約されるよね、とは思う。俺様系、ドS系、不思議・年上系、小悪魔系。そしてたいていは俺様系の主人公、戦隊ヒーローもので言うレッドを結ばれてしまうのだ…。ありきたり。いつも思うけど、なんで俺様系に落ち着いてしまうんだろうね。気持ちをストレートに伝えられるところ、ツンデレキャラ、がむしゃらに大事にしてくれるところ…全部くっつけていくと、やはりレッドの偉大さを感じずにはいられない。小悪魔くんとくっつくことを願ってしまう漫画もあるけれど、やっぱりレッドとヒロインがしっくりきてしまうマジック…漫画読みすぎだからなおさらだろうか。

単行本は表紙の絵がとにかく素敵なんだよね。のばらのほほえみが美しいのもそうだけど、バラが綺麗で、色とりどりの色彩が美しく仕上がっている。第3巻に関しては4人のイケメンたちが勢ぞろいでのばらが絡みつかれている感じがよく出ていた。

俺様野郎が落とされる

お嬢様学校のすぐ隣が南館男子校。品行方正な女子校とは裏腹に、なかなかにやんちゃな男子高生たちが集まっている様子。その中でも4人はとりわけイケメンで、特定の彼女は作らず、常に他校の女子からちやほや…意外にも、4人ともピュアなのがおもしろいところ。普通はチャラ男をそろえるものだけど、1か月以内に比名のばらを落としてみせる、と言いつつやり方はいたって普通で、まっすぐな感じ。特に蒼馬は美容師になるために高校は出ておきたいから、どうにか女子校と合併させてくれ!っておい真面目か!見た目によらないピュアさと、4人の仲の良さ・信頼関係がすでに整っている感じ。こういうのは長編の少女漫画にはならないよね。紆余曲折が少なくおさまりすぎる。

オとすと言いつつのばらにオとされることとなった蒼馬。しかも最後のほうまで全然認めないし、美晴がかっさらおうとしたりしても気づいていない…鈍感ちゃん。美晴はきっとそれもわかってて、蒼馬や崇人、雪千嘉たちが高校を卒業して夢を叶えたいって思っているのを知っていて、蒼馬に揺さぶりをかけたのだろうから…友達想いのいい奴に囲まれて、実に幸せ者なヒーローだった。のばらは男に免疫がなさすぎるし、すっかり虜になっちゃってもう思うツボだよなー…もう少しひねって、何かが起きればいいのにね。「心に響く言葉」があると言う読者もいたけれど、そんなに多いわけじゃない。ただ、「かわいくなりたくて努力する女の子がかわいいんだ」というご意見には激しく同意。なんでも努力なんだと思うからね。

どうせなら4人で取り合え

美晴と蒼馬の取り合いになっていて、雪千嘉と崇人が蚊帳の外だったのが、イケメンの無駄遣いだなと思う。「家政婦さんっ!」みたいに、どこまでもヒロインにきゅんとしちゃうイケメンパラダイスにしちゃえばいいのに、敢えてそこに突っ込まなかったのは、少しは他の作品との違いを出そうとしたのか、それとも単に3巻で終わる目安がついていたからなのか…。すぐうまくいく流れは何ともいけ好かない。先の読める展開はおもしろくないし、ドラマティックな何かが欲しい…。「嘘つき王子とニセモノ彼女」くらいの王子のひねくれ具合があってもいいんだけどなーと考えてしまった。美容師になりたいんだ…!という夢を早々に出し過ぎちゃったかな。

もし雪千嘉あたりといい雰囲気になるのだとすれば、かわいいと思っていた男の子についつい笑顔を振り向いたら、オオカミになった彼が反撃を開始する…という流れがよくありそう。もしくは、かわいい男の子はかわいい魅力をフルに生かすことで、女の子の母性をくすぐりハートをゲット・うまくいったとクスっと笑うのである…という小悪魔展開も考えられる。雪千嘉はかわいい上に優しくて、この漫画の中では本当にかわいいだけの男の子。それじゃーちょっと落ち着きすぎなんだよね。

美晴はやはりどの漫画でも悲しい思いをすることになるというか…こういう気の回る頭のいい人って損な役回りを与えられることが多くて、本当にかわいそう。どう考えたって、たぶんヒロインの気持ちを先回りできるのは美晴のようなキャラクターなんだけど、ヒロインはたいてい自分の心がときめく相手しか選ぼうとしない。…ときめき求める危ない女より、ほんわかおっとり・落ち着く相手をいじめ倒せるといいね。

理事長が謎

理事長がまさかのぽっちゃりおじさん。目は少女漫画で見た目のフォルムが非常に残念。ギャグにしかならないだろうなーってその通りだった。というか、理事長の一存で隣の困っている学生たちを引き取らないというのは、教育者としてはまずい。自分の娘しか見ていない理事長なんてまずすぎる。

他のお嬢様方が南館高校の人と楽しく過ごせたから、合併させてあげてほしいって家出。お父様というお父様にお願いをする。でも理事長は意地で譲りたくない…とかアホですか。せっかくのイケパラも、こういう設定・ストーリー展開があると非常に萎える。そこには何かしら後ろ暗いものを描くとか、妻に関する何かをいれるとか、最後だけめちゃくちゃカッコいい男になって理事長が帰ってくるとか。単純にイケメン楽しむだけの漫画になり下がったらおもしろくないわけよ。のばらを溺愛しているっていう描写もいまいち少ないし、若干愛でているくらいなもの。自分が冴えなかったからひがんでいるだけじゃないか。それじゃー完全にりぼん止まり。奥ゆかしい漫画には昇格できない。

崇人がもう少しぐいぐい来てほしい

個人的な希望としては、崇人だね。痒い所に手が届くタイプは、もう少し重要なポジションが築かれてもいいのに…と思う。メイクする男子も萌ポイントであるし、何よりあの瞳…男女問わず黒目の多いキャラクターは実にタイプだ。彼のような人が俺様なキャラからヒロインをさらってくれるような、そんな展開がぐいぐい来てほしかった。せっかくのイケメンがサブ扱いのままになってしまうのは悲しいこと。3巻という短さでは伝えづらいかもしれないが、美晴は男子メンツの味方であり、崇人はのばらの味方だったかなーって思っている。

最終的には、丸くおさまったわけだけれど、イケメンの無駄遣い感と、深みの無さ、ありきたり感が残念だった。かわいい絵だと思うし、キャラクターをたくさん出すならそれだけモブにならないような使い方をしていけばいいんじゃないのかなー。蒼馬のケンカの過去、美容師の夢を考えてそれをやらない、しかし昔の馴染みに出くわす…の流れが予測できすぎて、むしろ裏切ってほしかった。しかも、出くわした後の引っ張らなさと言ったら…悲しいマッチョだったね。どちらかと言うと、蒼馬は蒼馬っぽくないよね。美晴は名前によく合ったキャラクターだから、崇人と蒼馬の名前が反対だったんじゃないかなーという風に思う。

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