昭和のタブー漫画、しかし意外と人情系 - THE レイプマンの感想

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THE レイプマン

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
3.50
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昭和のタブー漫画、しかし意外と人情系

3.53.5
画力
4.0
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
3.0
演出
3.5

目次

タイトルはあからさまだが問題シーンは意外に少ない

この作品は人権団体によって連載を止めざるを得なかったほどの作品なので、そのタイトル通り、と言わざるを得ない。一見ヒーローものの様な名称だが、クライアントの依頼を受けて(大義名分上は正義の鉄槌のために)ターゲットの女性をレイプするというタイトルの印象通りの展開である。

この作品は昭和時代、子供の目につくところにもこのレベルの作品があったという資料としては興味深い。昭和50年代には、書店でも子供が容易に手に取れるコーナーで普通に販売されていたため、問題になったのだろう。現在の成人向けの漫画としては、意外に問題描写は少ない。

一話完結型の作品だが、一話30ページほどの作品で、レイプシーンは数ページほどであり、しかも大ゴマの多様で相手の女性が抗う間もなくことが済んでしまう。作中、クライアントの事情やターゲットの周辺の問題などを掘り下げた、レイプとは無関係の人情描写の方が圧倒的に多い。タイトルが衝撃的なものの、実際には日常の様々な人間模様の方が主題になっている。

シナリオは女性が作っている?

この作品はシナリオが愛咲けい子という女性名の人物が担当している。しかし、一説によると愛崎けい子氏は男性らしい。女性名にしたのは、もしかしたら、女性の人権団体などの風当たりを最初から予想し、女性の視点も踏まえて作られた作品なのだと、PRする意図があったのだろうか?と思ってしまう。

そのせいか、敵対する憎らしい女性などのレイプを依頼するクライアントが同じ女性であることも多い。

不謹慎だが憎めない描写もあり

タブーな内容を扱っている割に、この作品は間の抜けたところがあり、2013年に実写映画化された、あんど慶周氏の「究極!!変態仮面」を彷彿とさせるギャグ要素がある。レイプシーンも、本来犯罪でありにもかかわらず、女性を強姦しているというよりは更生させるための鉄拳制裁の様な不可思議な描かれ方をしており、この作品にエロ描写ばかりを期待して読むと、かえって肩透かしを食らうのではないだろうかとすら感じる。

しかも散々レイプを生業にするという裏稼業をしておきながら、最後はレイプマンの本業である教師の仕事で人事異動が決まり、それを機に廃業してしまうというなんとも普通のサラリーマンの副業の様な終わり方なのだ。(もっとも人権団体の抗議があって連載が続けられなかったかららしいが)

作品の最後に、レイプの対象になってしまった女性と同名の方にお詫びするシーンも、作者の悪気のなさを感じ、性のタブーを漫画というエンターテインメントでどれだけ表現できるか、あえてチャレンジして撃沈してしまった作品という印象である。

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