心に強く焼きつく作品
雰囲気作りが秀逸
一家が引っ越しした家はホラーハウスだった。というところから物語が動き出すのですが、ホラー映画にもある特有の仄暗い不気味さが滲み出る構図演出にいつも驚かされます。絵の好き嫌いは別れますが決して画力がないわけではなく、本当に作品の雰囲気に合っていて、これでこそホラーと思う作画です。ただ、少しグロテクス表現もあって怖かったりビックリしたりするので、苦手な方も多いかもしれません。
混乱と絶望の中での祖母と主人公の掛け合いがすごい
念願のマイホームを買った父、家が広くなったと喜んでいる子供たち。これから家族7人で楽しく暮らそうと思っていた矢先、家に棲みついた悪霊の仕業で父が亡くなり、姉が亡くなり、次々と家族が犠牲になっていき、最終的には主人公と祖母だけになってしまいます。最初みんなが生きていた時は少しとぼけたおばあさんだったのですが、家族が次々と謎の死を遂げていくので、これは異常だと思ったのか、孫を守れるのは私だけと思ったのか、おばあさんが覚醒します。主人公と同じ学校の霊感が強い女の子も味方になってくれるものの、もはや打つ手はなく、ただ死を待つのみかと主人公が絶望するのですが、おばあさんが孫を叱咤し、幽霊に弱みを見せるな、気を強く持てと励ます姿がかっこいいです。特に煙草をふかすシーンは最高にかっこいいです。ひとつ気になるところは、幽霊の女の子が生前家族と距離を置いていたのに、突然家族に襲いかかり、逆に家族の手によって殺められるシーンです。家族を殺そうとする動機が曖昧だなと思います。ニュースを見ていても不思議な殺人事件は多くあるので何とも言えないですが、少し無理やりすぎかなと感じました。
復讐開始!人間が一番怖い
家族を連れていかれた仕返しとばかりに、おばあさんは幽霊と関係のある家族に復讐するために行動を起こします。結構めちゃくちゃな事をしてるんですが、裏には家族のいろんな感情が隠れていたりして、スッキリなどんでん返しがあるので見ていて清々しいです。力強いセリフと構図にも圧巻です。展開もスピーディですが、バランスがとれていてとても見やすく読みやすいです。おばあさん強しです。全てが終わった後の夕焼けの感じや、ちゃっかり女の子と主人公のいい感じのシーンなんかもあり、物哀しくもほっとします。全2巻という短い中に、このお話を描かれてることがまずとても驚きです。でも急展開すぎることもなく綺麗にお話をしめるので素敵だなと思います。
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