ぶれずに1つの曲を大切に歌っていくスタイル - ひとりぼっちはさみしくての感想

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ひとりぼっちはさみしくて

3.503.50
画力
4.25
ストーリー
3.00
キャラクター
3.50
設定
3.25
演出
3.00
感想数
2
読んだ人
2

ぶれずに1つの曲を大切に歌っていくスタイル

3.53.5
画力
4.5
ストーリー
2.5
キャラクター
3.5
設定
3.0
演出
2.5

目次

爽やかな少年少女たちの夏って感じ

大好きな歌を奪われたら、もう自分には何も残ってない…

と言ってみる女子高生。何も残ってないっつーか何も作ってないんだよ!と言いたい。そんな気持ちは私だけだろうか。

歌手になりたいのに目指すことすら親に許してもらえなかった詞央。地味女になり詩をただ書いてるだけの毎日。そんな詞央の詩がクラスメイトである高樹直にばれてしまったところから、物語は始まる。高樹からすれば、「なんで自分のやりたい気持ち押し付けて生きなきゃならないの?」と思う。詞央は「自分の親に悲しい思いをさせてまでやることじゃない。」とか言ってる。ここはね、素直に高樹に賛成の1票を与えたいと思う。親が何を言ったって、何ができるかは俺たち次第。やれるだけやって、見返してやればいいんだ!という青い気持ちは大事だと思う。いつまでもその気持ちを忘れずにトライし続けることが絶対大事だよね。

とは言ってみたものの。お金を親からくすねて持って行くのはちょっとね…いただけないものがあるよ高樹。家出して東京へ!ってのも、捜索願出されて終わりになりそう。追いかけたい夢のことは、土下座してでも正直に伝えるべきで、それをまったく理解しようとしないような親なら、そこはもう第三者を交えた協議でもしたほうがいいと思う。真剣だからこそ、シビアにね。得意なことを活かして行動する、その行動力は素敵だし、何歳になっても忘れないでトライし続けてもらいたいなと思えた。

いろいろとつっこんでみる

作者である千葉コズエさんにとっては、これが初の長い連載になったらしい。ときどき表情と行動が合ってない場面や、その言葉おかしくない?ってこともあった。それでも絵が綺麗で、恋より夢へ向かってる感じが清潔感を与えた気がする。地味な女の子をイケメンな男の子が羽ばたかせる。むしろ、男ってそれができてこそ男だよね。女は男のために綺麗になってこそ女って気がする。

クラスで詞央が浮かないように宣言してみたり、無理矢理東京へ連れだしたり、高樹はまー自由人。周りがどう言おうが関係ない、という人物だ。でもそういう人間って大事だと思う。何かが起こる時は、そういう人のリーダーシップがきっかけになることが多いからね。何となく何かを始める人よりも爆発的な影響力を持ってる。犯罪方面でなければ実に貴重な人材だ。ただ、封筒に羽を入れて届けたり、「片翼じゃ空は飛べないぜ」って…そういう言葉のチョイスは勘弁してほしい。かゆい。うまく表現してると見せかけている印象になってしまう。

詞央の父親も、軟禁するなんてひどいわーそれはやっちゃいけないわー…そしてそれを心配していても何もしてくれない母親。これがまずい。父親ばっか守ってたって仕方ないんだぞ!と早めに気づいたほうがいい。

いろいろとツッコミどころは満載だったが、田舎から出てきた地味な女の子でも、東京で輝く道を見つけられることもある。要はやる気と、どう行動したかにかかっている。それが小中学生にきっちり伝わればいいなーと思うね。

詞央の謎の行動派必見である

詞央の憧れであった高樹。自由に何にも囚われず空を飛んでいるような男が高樹だった。そして、東京へ飛び立つ勇気をくれたのも高樹。詞央にとっては恩人に当たるだろう。なのに、東京の初っ端、ストリートライブをやっていた連中と一緒に歌って楽しくなっちゃった詞央。デビューにつられて電話をかけ、高樹を置いていくという…謎の行動があった。こいつはいったい…何をしているの?高樹あってこそだったはずなのに!

我に返ったのも高樹のおかげ。あのくっさいセリフを思い出させる、片翼のペンダントを持って現れた高樹を見て、一緒じゃなきゃ嫌!とか…おーい詞央のせいですけど。高樹ももうちょっと怒れや。なんでそのまんまなんや!もう少し厚みをもって話しあうとかないんですかね~子どもの仲直りだったわ。もう高校生だろうに、詞央は社会的な成長が遅れちゃったんだろうね、と思う。地味に生きていると、人との関わり方を忘れて勝手に傷ついたりするんだよね。

詞央をもらおうとしたバンドのボーカルも、バンドの他のメンバーの顔を早く見て!と言わざるを得ない。早く気づけ。空気を読め!それでも日本人か!と言いたくなる。デビューしたかったんだろうね。それはわかるよ。そうこうしているうちに親から強制送還をくらった詞央。それでも、東京に家出するということを経験してみて、どこにいようが、誰かに何かを届けることはできるってわかったみたいだった。それは大きな成長だったと思う。

子どもの育て方を考えてみる

何でもかんでも教えようとしたらダメなんだよね。それが正しくて、他は間違っていると学習してしまうことになり、柔軟な人間にはなれない。逆に何も教えなければ、どんな方向に傾いていくかが全然わからないし、関わる環境ですべてが決まってしまうことになる。叱りすぎてもだめ、褒めすぎてもだめ、子どもって…難しすぎる。でもやっぱり、子どもが何を考えていて、どうしたいと思っているのか、それを知って方向付けをしてあげるのは親の仕事だろうなと思う。それは、道にレールを敷いてあげるってことじゃなくて、迷った時にしるべになるものを提示してあげるってこと。お前なんかにできるわけないって決めつけるようなことだけはしたくないよね。常に、子どもには可能性が満ちているから。

だから、話し合って、1つずつ、恥ずかしがらずにさらけ出していけってことなんだろう。親だからって気恥ずかしく思っていると、お互いに何ももたらさないことになる。日ごろからお互いの存在に感謝する。そんな当たり前のことができるように、小さなころから教育ってもんをやっていきたいよね。

さすがに詞央のお父さんみたいに娘を部屋に閉じ込めたりはしない。と思いたい。そして、お母さんみたいに見て見ぬふり状態をする人にもなりたくない。基本的にはいつでも子どもの見方であるように、親は努めてそうありたいものだ。親がいなければ子どもは生まれていないわけで、子どもがいなければ今の両親たちの人格はできあがっていない。持ちつ持たれつってやつよ。

3巻で読める手ごろさ

ラブは極力抑えて、詞央が自分の夢のために本当の努力を始めるまでの出来事を、大事に描いた作品だと思う。3巻で読めて、ちょうどいい内容かな。爽やかで、青くて、一生懸命な高校生っていうのは、何度読んでいて気持ちがいいものだよね。

高樹との出会いのきっかけになった「自由の翼で」の曲を最後までテーマとし、まとめてくれたなーと思う。この先何があるかはわからないが、大人になってもいい関係を築いてくれていたら嬉しい。強い気持ちで行動することが、誰かの心を動かすことにもつながっている。それは間違ってないし、どれだけ年を取ろうが変わらないものだろう。

1人ではわからなかったことが、2人になった途端に急に広がりを見せる。そこから人との関係性がどんどん拡大していくんだよね。1人でいるうちは全然なくて、2人になったらもう無限大。自分らしく生きていけばいいんだと思うよ。夢を叶えたいとがんばる人へのエールになっているこのお話。読めば風が吹き抜けて、優しい気持ちになれる作品だ。これ以上の続きはないだろうけど、絵も気に入っているし、これからの作品でどんどん磨きをかけてもらいたいなーと感じた。

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1つの曲に込めたメッセージを最後まで

夢を追いかける少年少女歌を歌うことが大好きで、歌手になりたいと願いながらそれを隠して生きている詞央。屋上でたまたま書いていた詩をクラスメイトの高樹直に見られてしまった!そこから、詞央は自分の夢と向き合ってそれを真剣に追いかける旅を始める…!ラブはおさえめで、詞央が夢を叶えるために高樹くんに背中を押されてがんばるストーリーになっています。親に押さえつけられているからなんだよ、おれたちなんだってできるだろう?そんな若さ光る作品ですね。高樹くんに触発されて、家出をして東京へ行ってみることにした詞央。一度夢を追いかけることを親から全否定されていた彼女にとっては、またとないチャンスだったことでしょう。高樹くんみたいな、自分から動いて何かを得ようと努力できる人っていうのは、とても貴重なんですよね。大人になると、余計にそういう人間が貴重であると気づきますよね。悪く言うとウザく、良く言うと芯が強くてブ...この感想を読む

3.53.5
  • betrayerbetrayer
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