男は優しけりゃいいってもんじゃない
転校のくだりって必要だったのか
展開としてはかなり王道。なんかモサい人が隣の席で、モサくても性格が最高だってこと、自分が最初に見つけた。鳴海も桃花にだけは特別優しい気がする。それなのにメガネを外して髪をさっぱりさせたらあーらモテ男に大変身!という話。主人公の桃花は、自分にだけに見せてくれる姿や優しさがあると思い、告白。でも鳴海は北海道への引っ越しが決まっていて、告白はお流れになる…あれだけ仲が良いと思っていても、勘違いになることがあるんだ、と恥ずかしくなる桃花。
もう君とは会えないんだね…わーわーと泣く桃花。これ、どうやって鳴海は戻ってくるんだろう。遠距離恋愛の物語にでもなるんだろうか。
と、思っていたのに。転校なくなったんだよね…って。
おいおい、それはどういうことなの?転校が付き合えない理由だったんじゃないの?じゃ、桃花とも付き合えるんだろうって思ってたら、え?鳴海くん付き合ってる彼女がいたの?今までの盛り上がりはいったいなんだったんだ…これ、絶対編集部がつじつまどうにか合わせた結果だろう。転校より彼女いたほうがおもしろいだろって…「ストロボ・エッジ」じゃないか。完全に。この方向転換、最初読み切り作品にでもするつもりだったのが、続きが見たいって読者が多くてつなげてみたのかな…その後の話で、転校しそうだったという話は完全に消えてしまっていたし、いったいあのくだり何だったんだろうって今でも不思議である。
主人公たちがヘタレすぎて周りががんばってる
甘酸っぱい恋の話。お互いに大好き!間違いなく好き!なのにすれ違うんです恋ってやつは。桃花と鳴海も例外ではなく、ちょっとのことにもやきもちを焼いてかわいいんだかウザいんだか紙一重だった。
桃花の場合、お友達がちゃんといる。仲良しの女子3人組は絶対に味方で、いろんな話を受け止めてくれる。そこまではまだかわいいもんなのだが、かわいくて優しい桃花を狙う男たちが多すぎるのが若干受け付けない。阿久津、天野、ヒロキ、久遠…こんなに?鳴海も大変ね…鳴海は萌愛という元カノのみがネックになっていて、これだけ引っ張る。いかに女が執念深く怖いかがよくわかるわ…。正直なところ、阿久津のほうが分かりやすすぎて好きだった。カイリと付き合って本当にめでたい。相手を想って動けないくらいなら、動物的に一生懸命駆け回ったほうがいいんだって。こればっかりはいつでも真理なんだと思うんだよね。最後には理性捨ててかないとさ。
桃花が書いていたブログの読者は、鳴海を除けば天野が有力だった。しかし、ここまで話が広がってきてから新たな久遠が登場するとは驚きだった。登場人物また増やすの?って。最終的には鳴海にとっては天野が最大のライバルって話だったが、男が3人までは何とか耐えれても、4人目を超えるとさすがに「この女どうなってんねん」と言いたくなるのでやめてほしい。鳴海にとっては、桃花をブログの中で精神的な部分を支えてくれていた久遠が最もリスキーな相手だったっぽいが、どう見ても天野だろうよ。親友だからって安心してんじゃねーよ、と言いたくなった。
鳴海の行動は本気で罪深いもの
鳴海は本当に、何を考えてるの?という勢いでおかしい。長く付き合っている萌愛という彼女がいて、桃花を突き放したはずの鳴海。なのに、
もう鳴海くんと友だちでいるのやめる
と言われて桃花にキス!…おーいどうすんだよこれ!やさぐれやがって、桃花の気持ち置いといて独占欲丸出しで。そのうえ親友の天野が桃花に告ったらそのほうがいいみたいな…桃花をどうしたいんですか鳴海くん…
萌愛の立場になってみよう。確かに、萌愛はだいぶ見た目が悪そうだったよ。人にいじわるしそうな人間だったよ。でもさ、仮にも信用していた彼氏がよ?心変わりして別の誰かにキスしちゃったらしいって聞いたら…どう思うよ?相手のたぶらかした女どうにかしてやりたいって思っても仕方ないじゃない。鳴海がもっと早く萌愛を清算してたらまだよかったのに、同時進行ほどめんどくさいものはない。
萌愛のことを、本当の意味で「好き」なのではなかった・さらに萌愛もわかってて付け込んでいた、ということだったとしても、お互いに反省すべきところが多すぎやしませんかね。本気でぶつかっていく勇気もないくせに、姑息ないじわるは得意なんて。ヒロインの桃花にしてみれば願ったりかなったりですよ。鳴海はオトナで結婚してる場合に同じことやったら不倫だからね。マジで罪深いからね。そこんところ、一生忘れずに肝に銘じておいてほしいくらいだ。
天野が最高なんだよ
桃花のそばに、常にいてくれたね。ひそかに。桃花がつらいとき、嬉しいとき、近くで同じ感情を共有してくれる人だった。鳴海にもフォローを入れてくれて、2人を素敵な未来へ導いてくれた人だった。めんどくさいこと頭でごちゃごちゃ考えてて素直になれない桃花と鳴海を何度救ってくれたことか。天野なしにはこの物語は絶対に進んでいないのだ。
天野の行動は実にちょうどよく、積極的に挑みに行ってみたり、引いてみたり、我慢したと思ったら一直線に走って行ったり…絶妙なタイミングでよき働きをしてくれた。この先の人生成功するのは天野のように行動できる賢く空気の読める男だろうと強く思う。
しかも、彼のアタックは1回ではない。鳴海がいないときに確実に獲物を狙いに来る天野(そんな肉食獣ではないのだがタイミングが巧すぎる)。一途に桃花だけを思っていて、何よりも優先してくれて、桃花のやりそうなことを予測して動ける天野。どうにでもうまいことできただろうに、結局は親友の鳴海を裏切るようなことは絶対にできない。そんな彼がせつないんだかかわいらしいんだか。いい男って、損するようにできてるんじゃないかとすら思ったわ。
裏切りなきハッピーエンド
初恋が実って彼氏になる。そしてずっと続いてく…事を予感させて終わった恋物語。付き合うまでが相当大変だっただけに、この2人はもう一度恋するのは相当きついんじゃないだろうか。別れるの考えたくないけどね。毒が少なく、展開は読めるのに、なんか読んでしまう。やはり登場人物がかっこいい&かわいい人ばっかりだからだろうか。
ちょっとおかしいよねって思ったのは、ファーストキスをすでに済ませているはずなのに、気持ちのこもったキスは全然できない鳴海と桃花…いや、君たちもう済ませたんやし、すぐできるって。さすがにヘタレすぎるものいい加減にしてくれや!
うさぎの片想いはあっさりと両想いになったのだが、タイトルの通り泣かされることが多かったね。ブログでいっぱい泣いて、本人の前では強がって。いろいろ苦労はあったが、萌愛は嫌だし、この2人でゴールインでよかったと思う。
それにしても、地味にイケメンな人ってなんでカメラ好き設定多いんだろう。宇宙とかさ。一見地味なサイエンスを子どものように興奮しながら話す男の子にハマっちゃう女子多し。これは間違いない事実なのかも。好きな男の子の好きなことなら私も好きになりたいわ、っていうふうに考える女子が多いんだろうね。周りには言いづらいけど、自分にだけは本心をさらけ出せる。そういう関係性が仲を深めた者同士って感じがするんだよ。
「なみだうさぎ」はまさに万人受けする少女漫画。鳴海のおかしいところが気になるかもしれないが、地味メンの高校デビューだと思って見守ってやってほしい。
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