大野くんは好きだが怪物くんは嫌い - 映画 怪物くんの感想

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映画 怪物くん

3.503.50
映像
3.00
脚本
3.00
キャスト
3.50
音楽
3.00
演出
3.00
感想数
1
観た人
1

大野くんは好きだが怪物くんは嫌い

3.53.5
映像
3.0
脚本
3.0
キャスト
3.5
音楽
3.0
演出
3.0

目次

嵐だから見るんです

アニメの実写化映画は、あまりおもしろさがないパターンが多いが、これもその1つ。アニメの世界観を表現しようとがんばってCGを使っているが、いまいちチープな雰囲気は否定できない。嵐の中でも大野くんは好きなので、ファンとしてはやはり一度は見ようかなと思うが、2度目3度目はないかもしれない。嵐メンバーの出演するドラマや映画はだいたい主題歌が嵐担当になる。それが新曲だったりするとチェックしたくなるから困ったものだ。嵐ファンであることを利用されてしまう。嵐の曲、楽しんだよ。

ストーリーは、怪物くんがデモキンに勝利し、ついに王位継承を迎えるところから。いざ王になろうというとき、怪物くんのわがままに振り回されてきた国民が大反対。プッツンブチ切れした怪物くんはまた人間界へと脱走してしまうのだった…。まず物申したいのは、せっかく王になる!ということでドラマを締めくくったというのに、映画ではまた振り出しに戻すこの不思議。びっくりだ。

そして、日本を目指してカレーの国ってどういうこと?カレーの国っていったいどの領域に存在するの?化け物でもなければ人間でもない系?世界の構造がよくわからない。

一番納得いかないと思うのが、映画を作るより、カレーコラボ商品に手間がかかったんじゃないか?というところ。しょせんはセブンイレブンとのコラボパンを売り出したかったってことなのではないかと疑っているのだが、どうなんだろう。売れっ子アイドル大野くんの影響って素晴らしい。

細かいところまでCGでもいいからどうにかして

怪物くんの映画は、子どもとどうぞ。ストーリー性や奥深さ、表現力を楽しむよりは、ギャグ路線で面

白おかしくみるのが楽しい作品だ。ただ、20億円というバカでかい金額を投入したわりには、凝ったCGがないのが残念だ。背景使いまわし感が出ている…そして、あえてそうしているのか分からないが、ドラゴンが生きてないのがよくわかる作り。せっかくのいいシーンが…台無しである。一番のネックは、王国の民があまりに少ないこと。新しい王が今ついに…!という場面でブーイングの発生する王国ってどういうこと?なんて物語のつくりより、エキストラ足りねーよ!ってのが嫌だった。もしかしたら、特殊メイクするのにすごいお金がかかるのかもしれないが、それならCGでどうにかつくっておけばいいし、偉大なる王が誕生するかもしれないのに、人間界と比べた時の安っぽさが尋常じゃない。子どもには分からないかもしれないが、みてるとだんだんシュールなコントに思えてきて、くだらないときに出る笑いが生まれた。怪物ランドよりはカレー王国のほうがきらびやかでよかったね。

多くの人が「ん?」となっただろうが、カレー王国での怪物くんたちの動向がすべてスクリーンに映されていた、というもの。演説から最後に至るまで、すべてだ。坊ちゃんのがんばりを見て改心する国民…と言いたいのだろうが、国民の数は少ないし、全部見てるって暇人ですか。

ドラキュラは好き

キャラクターで一番好きなのは、とりあえず怪物くんを置いておくと、ドラキュラの八嶋さん。あの…顔がいいよね。ギャグがよく似合う顔であるし、チェ・ホンマンと上島さんコンビをうまくまとめてくれてて、怪物くんをいつも動かしてくれていると思う。もう46歳らしいが、若い。

元々の設定では、ドラキュラは人間界での吸血を禁じられているためにトマトジュースを飲んでいる、という設定だったが、ドラマや映画ではトマトジュースがむしろ好物に。子ども的にも受け入れやすい設定である。そして、もともとのようなオカマキャラではなく、ルー語をしゃべるキャラに落ち着いているのも、八嶋さんによくハマっているようだ。

この作品でも、ドラキュラは本当にいい働き。ヴィシャールによって姫も念力も奪われてしまってどうしようもなくなった怪物くん。「もう怪物ランドに帰る」とか言い出しても、ドラキュラたちはカレー王国のために姫を助けに走る。いい王様にはいい側近がいるってのは本当で、ドラキュラたちがいたからこそ、怪物くんは誰かのためにがんばれる子に育ってくれたのだ。子どもたちには、怪物くんを支えてくれている側近の大切さを知ってもらいたい。

余談だが、怪物くんが実写になったあたりは、ちょうどチェ・ホンマンが格闘技でどんどんテレビに出てきているとき。流れに乗って俳優を起用するのに、相当お金をかけたんじゃないだろうか。飛行機の側面に怪物くんがいたり、本当、ジャニーズって偉大だよね。

ウタコとヒロシで良くない?

カレー王国の姫と王子様。ウタコとヒロシじゃん。なぜ、わざわざ別の配役にせずに彼らを同じように起用したのか…?ウタコとヒロシなしでは怪物くんを語れないと思うのだが、同じキャストでは混乱するでしょう。ドラマでバイバイしたウタコとヒロシにまた会うなら、それなりにデカい出来事が必要だっただろうし、むしろそうしてくれたほうがおもしろかったのになーとすら思う。それに、カレー王国という別の地でも、怪物くんたちががんばって、ウタコとヒロシがいなくたって、進んでいけるんだ!って証明するほうがかっこいいと思うんだよね。同じキャストでウタコとヒロシが出ちゃったら、そういう雰囲気にならないじゃない。ウタコとヒロシに似てる人じゃなかったら、本気出せなかったかもしれないじゃない。それなら、人間界のウタコとヒロシとの新作で良かったのになーと思うのである。

あと、インド人なんだし、とりあえず肌を茶色に塗っとこうかって安易。川島海荷ちゃんのかわいい感じが台無しじゃないか。

また、「ワガママ」は責任を持って貫くことではない。責任を持たずに好き勝手やることである。子どもに全然違うことを教えないでもらいたい。ワガママではなく、頑固とか、他に言葉があるだろうよ。ワガママは信念があるような意味とはまた別次元だし、ここでは使えないと思うよ…。

怪物くんってそうなんだよ

怪物くんはワガママな生き物。そういうキャラなのである。そこを否定しちゃうと物語が成り立たなくなると思うのだが、そこが批評の対象にしている人もいるようだ。子どもに悪影響でしょうとか。要は、「どんだけワガママでどうしようもない奴でも、やっぱり最後にたどり着くのは人としての優しさを持ってがんばれるかどうかだよ」と教えてやればよい話で、別にいいと思うんだけどね。そこまで気にしなくても。

パパの七光りで生きてきた坊ちゃんは、なんだってできるような気になる。そこで野に放たれて、苦労しながらも、他人に対する優しさとか、どうしようもない状況になったときでも弱き者のために強き者の前に立つことができるかどうかを一生懸命覚えていく。怪物くんはどうしようもなくワガママだが、ドラキュラたちお供の者に支えられ、友だちに支えられ、最後にはちゃんと正しいものを選び取れる。完璧じゃなくたって、これから大きくなっていけるだろうってことを国民の前に示すことができた怪物くんだったのである。若くして天才的な者ばかりがいる世の中ではないし、みんなで王様らしく育ててやろうじゃないってくらいでいればいいんだって思うんだよね。

つまらないと言われたせっかくの3D映画。怪物くんにそこまで求めてもしょうがないし、シュールさを楽しんでもいいと思う。子どもには、怪物くんが成長途中だということを教えてやらないとね。

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