感情では表せない絆というもの
1期と違い、重くシリアスな2期
2期である碧血録は和装から洋装へ変わります。これが切なく重い物語の終幕への近づきを予感させます。新選組が題材となっているだけあり、最終回までにはほぼ全主要人物が灰となってしまいます。敢えて皆生かしておくハッピーエンドにしなかったのは史実を曲げることなく基盤とし、その中で羅刹を織り交ぜ盛り上げているからだと思います。碧血録ではほのぼのとした日常は少なく、とにかくシリアス展開が多いです。ほとんどの回で涙が出てきます。土方が背中で泣いているシーンは名シーンに入ると思います。土方の隊士達に対する思いや隊士の土方への信頼が伝わります。皆の志を受け継ぎ戦へ向かう事の重荷を上手い具合に千鶴が癒してあげられているのも見ものです。恋愛よりも信念、志、武士としての生き方をより強調させているのは乙女ゲームから派生したアニメにしては大変珍しく、やはり名作だと思います。
絆と志
薄桜鬼では恋愛の美しさや楽しさよりも人と人の絆を扱っているように思えます。故に千鶴という存在が薄くなってしまっているのが残念ですが、それ以上に男女関係無く人と人の絆の強さを教えてくれます。
紛い物でも貫けば誠になる
碧血録の最大の名シーンである風間千景と土方歳三の最後の戦闘は物語の題名にもなっている「薄桜鬼」の意味がわかる瞬間です。ずっと羅刹を紛い物だと見下していた風間がラストで土方を認め、紛い物ではなく「薄桜鬼」と名付けた時にはこのタイトルは、この物語は土方の物だと実感します。また、土方が生きているのか灰になってしまったのかがわからない終わり方をしますがこれは視聴者それぞれの解釈で良いと思います。今までの流れからいけば灰になってしまったという説の方が濃厚ではありますが、せめて土方と千鶴だけでも報われて欲しいというのが本音です。紛い物でも貫けば誠になるというメッセージは現代を生きる人々にとって背中を押してくれる物だと思います。
挿入歌、EDのタイミングの良さにも注目
もうひとつの注目ポイントに音楽があります。薄桜鬼の曲は基本的に物語に合うように作られています。曲を流すタイミングが最高です。沖田が灰になって終わった回が特に印象的でした。剣が地に刺さっているのが見えたと同時にEDが流れるのですが、切ない、悲しい、悔しい、といった感情が音楽によって余計溢れ出してきます。ここでそんなの流したらしばらく引きずるよ…という気持ちにさせられますがそれが制作サイドの狙いなのかもしれません。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)