猿飛佐助三世、参上。 - SIII猿飛三世の感想

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SIII猿飛三世

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キャスト
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音楽
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演出
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感想数
1
観た人
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猿飛佐助三世、参上。

4.54.5
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
3.5
演出
3.0

目次

猿飛佐助、見参!

とある深い山の中にひっそりと存在する忍の里。そこには真田十勇士の一人として名高い祖父・猿飛佐助の孫にあたる佐助(伊藤淳史)がいた。太平の世に生きる道を見失い日々楽天的に暮らす天真爛漫で少しおバカさが愛嬌の忍者、ある日里に訪ねてきた高波藩家老・梅宮主膳の一人娘のお市(水川あさみ)に惹かれ一緒に京へとお供をすることに…初めて憧れの地、京へとやってきた佐助だったが数々の困難を「秘伝七術」で乗り越え忍者として、大人として成長していく中、生き別れたと思っていた父親の存在を知る。

このドラマは2012年の秋ドラマとしてNHKBSで放送された時代劇。原作がない初のBS時代劇である今作の共演者は他にも柳葉敏郎、浅野ゆう子、堺正章などの演技力の高い役者が揃っている。時代劇という枠であっても所々でコミカルなシーンがあったり程よくアクションもしっかりと入っていてお堅い時代劇が苦手でも充分に家族で楽しめるといった作り。特に主演である伊藤淳史の愛嬌さがほっこりさせてくれて堅苦しいイメージの時代劇とは良い意味で程遠く、コミカルだけではなく自らの宿命に葛藤しながら迷っても強く成長していく青年を演じている。彼自身初めてのアクションに挑んだドラマであるが小柄故に軽い身のこなしは忍者という役にとても合っていた。忍者を題材とした時代劇は中々珍しいのでは?全8回では物足りない面白さだった。

猿飛佐助は存在したか?

忍者といえば、服部半蔵と霧隠才蔵と猿飛佐助。この三人がとても有名で詳しくは知らなくとも名前くらい知っているという方が多い筈。服部半蔵といえば都市伝説なんかでは実は忍者を引退後は俳聖・松尾芭蕉になったなんて言うのも有名どころ、では猿飛佐助は?猿飛佐助はどうやら立川文庫の作者達が作り上げ小説などに登場するようになった架空の忍者。甲賀流忍者であり三年間の修行後真田幸村に迎えられ猿飛佐助幸吉と名付けられる。同じく真田十勇士の伊賀忍者・霧隠才蔵とはライバル、大阪夏の陣で敗退後真田幸村と共に薩摩へ落ちのびた。というのが初めて猿飛佐助が世に登場した際の設定となっている一方で実在説というのもある。

江戸時代の大阪ではすでに庶民の間で猿飛佐助は語り継がれていた、という説がある。豊臣秀吉が金ヶ崎の戦いで退き、しんがりを務め浅井朝倉軍から逃れ京へと向かっている道中、猿飛仁助率いる三千人の盗賊が襲ってきた、その時豊臣の部下であり佐助とは旧知の仲だった男が盗賊をやめて豊臣と共に天下を取らないかと説得、それに応じた猿飛一族は以来豊臣秀吉の天下取りの陰の力として支えた。そのことから猿飛佐助は猿飛仁助の子孫であると考えられている。もしくは猿飛仁助をモデルに猿飛佐助が作り上げられたという説もあり、架空説・実在説共に沢山の意見が飛び交っている。

どちらにせよいつの時代も「忍者」というそもそも存在していたのかしていないのかさえも真実が分からない謎のベールに包まれた影の存在は誰しも虜になってしまう魅力があることは確かだ。忍者が登場する小説やドラマ、果てはゲームでもその存在は未だに人気である。水の上を歩き空を飛び変装もお手の物、奇術師のような存在…その存在に心くすぐられ憧れてしまう。花の江戸時代に存在したかもしれない「忍者」という存在が、猿飛佐助が存在したかどうか…議論し合うほど実は誰しもその存在に恋い焦がれている。

青年から大人へ、恋と友情と宿命と

題材が「忍者」というだけに少々子ども向けっぽい、そんなことは一切なかった。演技派役者たちが揃っているというところもあるけれど全てがバランスよく入っているという感じだった。時代劇というだけあって設定は大阪夏の陣から三十六年後。徳川幕府が揺れ動いている江戸時代。佐助とお市の友達以上の関係で恋人までは発展しないもどかしさ、忍者と武家の娘という身分違いの恋や佐助を追って里から下りてきた同じく忍者で佐助の友人二人、父の存在、強敵の出現…そして迷っている自分自身への葛藤、忍者としての成長を描きながらもその中にはシリアスもコミカルさも入り混じっていてバランスよく作り込まれている。このドラマが放送時に主演の伊藤淳史は既にアラサーに入ってはいるけれど昔からの童顔な顔立ち、低身長で小柄さが青年と言っても違和感なく寧ろ微かに大人を感じながらまだ青年の殻を破れていない年頃に見える。佐助が密かに片想いを募らせるお市役の水川あさみもコメディからシリアスな演技まで幅広く演じられる女優、今回も武家の娘でありながら少々おてんばな所も見せてくれる娘を演じている。大人から子どもまで楽しめる時代劇というのは珍しい、子ども向けに寄せ過ぎずだからといってお堅い時代劇でもない、BS時代劇という枠が出来たばかりに放送したこのドラマは意外にも面白かった。個人的には偶に見返したくなるようなドラマである今作、愛嬌があり良い人で気弱な役を演じることの多い伊藤淳史のまた新しいキャラクターが癖になる可愛さ、何度見ても中々ハマってしまう。

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