緑くんが最初から怪しすぎた - ARISAの感想

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漫画レビュー数 3,111件

ARISA

3.833.83
画力
3.50
ストーリー
4.00
キャラクター
3.83
設定
4.00
演出
3.83
感想数
3
読んだ人
3

緑くんが最初から怪しすぎた

3.53.5
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
3.5
設定
3.5
演出
4.0

目次

双子の妹の苦しみを知るための闘いが始まる

ありさとつばさは双子の姉妹。3年前に両親の離婚で離れ離れになったけれど、文通を続けてお互いを想いあって過ごしてきた。久しぶりに直接再会することになった2人。まさか目の前でありさが自殺を図るとは…恐ろしいよ、姫椿中学校2-B。なんでも願いを叶えてくれる、なんてうまい話は絶対ないのに、次々に願い事が叶うから…エスカレートするわそりゃ。つばさはありさを自殺未遂へと追いやった王様を突き止めるため、自分の通っていた中学校はほっといて姫椿中へと潜入します。双子なので、まぁ外見上は気づかれないんですけど、ずいぶんとガードのゆるい設定…お父さん、そこ許しちゃっていいんですか?

一見、他愛のないお願い事だなとも思えるんですけど、その叶え方がすべてエグイ。誰かを傷つけて、2-Bのみんなだけが助かる方向へと誘導されていく。それが各国首脳の集まるサミットの爆破というところまで拡大するとは…びっくりだわ。殺人事件も起こしてしまったし、それでも罪の意識が出てこないのは、まさに傍観者効果やな~と思いました。誰か1人、絶対的な力を持つ者がいて、その人は絶対に裁かれず、なんでも叶えることができる…そんなのあるわけないじゃない。

そしてありさ自体も王様だったというのは確かな事実。最初はみんなを仲良くさせようと始めたことだったのに、緑のおかげでとんでもない方向に発展した。緑のせいだと言えばまぁそうでしょう。…でもね、テストの答案を盗もうなんていうところに至っていた時点で、もうやばいとは思いますよ。度が過ぎてます。ありさは被害者ではなく、間違いなく当事者であったと言える。そしてそれを止めるだけの力・勇気を持てなかった。そして自殺して逃げようってんだから弱すぎる。つばさにとってみれば、こんな悲しいことないよ…ありさは一人っきりで、心が貧しくなっていたからこそ、クラスの団結を求めてしまったともいえるでしょうね。

黒幕は明らかだったがそこに至るまではなかなか秀逸

黒幕は、もう始まった段階で緑だろうと思ってましたよ。明らかに優しぎるし、つばさだと気づいてもおかしくないのにありさとして扱っている。わざとらしすぎる。絶対いつか化けの皮がはがれると思ってました。で、案の定、緑だったっていうね。レイがけっこう長い間にわたっていろいろ活躍してたので、しばらく緑は影になってました。そして最終的には思いっきりダークな表情で軽やかに舞台へ降り立ちます。「悪の教典」もそうだけど、イケメンの顔がひっくり返る時って相当怖いよね。一番は、宗教じみた「王様」という存在を絶対のものとして崇め奉り、信じて疑わないという人間の弱さと信仰心が一番怖いけどさ。

まぁ、轟先生はいったいどうなったんだかわからないけど、人が生存していることがせめてもの救いですね。殺人もや引きこもりへ追い詰めるなどの行為、自殺や暴力沙汰などもあったけれど、ちゃんと生きている。ありさの親友毬子も、ありさに嫉妬するあまり逆に王様から消されてしまった静華も、逆によかったんじゃない?って思ってるけどね。転校しただけで済んだじゃないか。むしろこれから普通の生活ができると思うよ…!

ありさの演出がおもしろかったですよね。はじめ、自殺に追い込まれるほどの被害者だと考えられていたのに、実は首謀者だったとわかり、先行きを見えなくする。そして原因が2-Bだけでなくつばさにもあったというところで双子をつなげ、本当の気持ちを紐解いていく。ストーリーの展開が非常に良かったと思います。

学園内で巻き起こる狂気は他人ごとじゃない

学園内で起こってしまったこの悲劇は、本当に他人ごとじゃないんですよね。いじめの1つの形なんですから。SNSの流行した現代では、こんな風にネットの掲示板を活用する方法は朝飯前のはず。いつでも起こる可能性がありますよね。

たいていは、誰か一人を外れさせようとするとき、誰かがリーダー格になる。そしてリーダーの意にそぐわない奴は標的となる…。「ARISA」におけるリーダーは「王様」にあたるんですけど、誰にも正体が知られていない・でも確かに存在しているというだけで信じられています。確かに結果として願ったことを叶えてくれている誰かが確実にいるんですから、信じてしまうのはわかるんですけど、これって確実に2-Bのクラス内の人でなきゃ、こんなにタイムリーに反映できるわけないじゃないですか。そこで王様探しをしたり、逆らって動こうって思うやつが出てこない…逆らおうとしたもんなら即粛清だから、というよりも、自分のお願い事を叶えてもらうチャンスがあるのに、それを生かさない手はないっていう考えのもとに一人一人が動いているというのが一番恐ろしいです。自分の願い事のためには、誰かが犠牲になってもいいと思わせるこの所業。自分が楽になりたいという欲望って底なし沼ですからね。本当に怖すぎる。もちろん、お金を稼ぐとか、シビアな話になったときにはそういうのが原動力になるんでしょうけど、学校や人との大切なかかわりにおいては絶対に発動させたくないパワーです…画はかわいいのに、やってることがエグイわ~…

真鍋とくっつけばよかったのにな

少し話がそれるんですが、つばさと真鍋がくっつかないだろうか…とずっと待っていたんです。ありさに惚れている様子の真鍋も、つばさを知ってつばさを好きになってくれたら、お互いちょっと素行が荒めでいいお付き合いができそうじゃないですか!でも、後半に真鍋は頭を殴られて病院送りにされるというドロップアウトが起きて、すごい影が薄くなっちゃって…あ~期待したほどにピュアなラブが起きなくて本当に残念すぎた。ピンチのたび、救ってくれる真鍋、イケメンだった…。

ありさには、健がぴったりだよねって思ってました。ありさの気持ちをとかしてくれるのは、きっと明るい性格の持ち主だ!真鍋じゃなくて健だ!と信じています。つばさと健は本当に仲の良い友だちのまま、気まずくなることなくずっと付き合いを続けてほしい。そんなコンビです。つばさを取り合うとかじゃなく、お互いがお互いの好きな人(そうであってほしいという妄想ですけど)といい感じにまとまってほしかったな~…最終的にはありさとつばさのわだかまりをなくす形のハッピーエンドだったんで、よかったけど、やっぱり真鍋に幸せになってもらいたかった。

ラストに物足りなさあり

個人的には真鍋が幸せな気持ちになれるラストを迎えてほしかったんですけどね~…ありさとつばさの姉妹愛が深まるほうでまとめられちゃいました。もとからその方向であったはずだけど、少女漫画チックなところがどうしてもほしくなってしまった。事件解決・緑も改心して警察に捕まることになり、平穏が訪れます。

緑のこんな大それた犯罪に至った経緯が複雑でしたね~。双子の弟を虐待・ネグレクトで失った緑の悲しい幼少期。そこから母親への復讐を誓い、ここまでこぎつけた熱意。うーん、確かに狂気じみてもいるけど、結局は母親に見てもらいたくて、一番目立つ方法を選んだわけよね?母親が憎くてたまらない気持ちと、寂しい気持ちがごちゃまぜになってしまったような…憎悪なのか愛なのか、複雑な気持ちでここまできちゃったんだなって思いました。知能が高くても愛のない人間って怖い。人間っぽさっていうのは、いかに幼少期に愛をもらって育つかにかかっているじゃないですか。あらゆる犯罪は、家族環境がつくるといっても過言ではない。そんなちょっとせつない気持ちで「ARISA」は幕を閉じました。

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初っ端から犯人はばれている

双子コンプレックスつばさにとってのありさは自慢の妹。かわいらしくて、勉強ができて、お互いを大切に想いあえる気持ちのいい関係。両親の離婚で離れ離れになってしまったことで、文通だけの付き合いだったけれど、手紙の中に語られている話はどれも楽しかった思い出ばかりだ。久々に再会できることが決まり、ありさの家に招待され、そして…ありさはつばさの目の前で自殺を図るのだった。なんだこの展開。これほどかわいいイラストなのに、内容が怖すぎる。姫椿中学校でいったい何が…?まさかの推理サスペンス。しかも学校のクラスの中で巻き起こる、より陰湿なタイプだ。ありさが自殺未遂をするまでに追い詰めたのが何だったのか。それを突き止めるためにつばさは姫椿中学校2-Bに潜入し、ありさとして学校生活をしながら黒幕探しを始める。外見上は気づかれないだろうが、さすがに彼氏は気づくだろう…?しかし気づかれない。もはやこの時点で、犯人は緑...この感想を読む

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