老眼鏡紳士パラディーゾ
今まで無かった萌え要素
草食系、肉食系、俺様系、細マッチョにショタ。今まで様々なイケメンが乙女の心を鷲掴みにしてきた。
しかしそれはどれも若者限定である。乙女に恋心を寄せられるのはいつもピチピチの若いにーちゃん達であった。
もし仮にオッサンやジーサンが出て来る恋愛物などあったとして誰が読むんだ?
シワシワのジジイや加齢臭漂うオヤジが壁ドンしたって読者も面白くないし、作者だって描いていて「ぐえ……」とかなるんじゃないか?
しかし、そんな概念をぶち壊した作品がある。
「リストランテ パラディーゾ」
今まで少数派だった熟年萌えの女子は勿論、歳食ったオヤジなんか眼中に無いわ!漫画の世界でだけでもピチピチのイケメンを拝ませてよ!と思っていた人も彼らの魅力にくらくらするだろう。
魅力的なキャラクターと舞台
物語はニコレッタとクラウディオの関係のもどかしさに読者がやきもきするような恋愛物ではありがちなパターンなのだが、なんせ、クラウディオは熟年紳士
(年齢はハッキリ出て来ないのだが50代半ば位?)とりまく登場人物も良い感じに枯れた熟年男女。
しかも舞台はイタリアで異国情緒を堪能しながら作者の日本人離れした小粋な絵柄も相まって独特の
心地よい世界観が溢れる。
クラウディオの元妻ガブリエッラ(しかもニコレッタの母の親友)も出てきて泥沼の三角関係になると思いきや、そうはならず、ならば何も障害は無いじゃないか!いけー!ニコレッタ!と思うもののクラウディオはどっち付かずの対応。
これはモヤモヤする。しかしそこが良いのだ。
主題は家族
この作品の魅力はニコレッタとクラウディオの関係だけではない。
カゼッタ・デッロルソで働く人々の過去やキャラクターがまた良い味を出す。
つまみ食いのモグほっぺが愛らしいジジはオーナーのロレンツォと片親違いの兄弟で、様々な確執を経てちょっと変わり者のソムリエとして活躍している。
口うるさいルチアーノはいつもニコレッタに苦言を呈するが、心配性のお祖父ちゃんのようで見ていてほほえましい。現に彼にはフランチという可愛い孫がいて、この子にもツンデレ(?)だ。
フランチもニコレッタも彼の毒舌の裏に潜む優しさに気付いているのがほのぼのとする。
この作品が熟年紳士と若い女子の恋愛を絡めてあるのにいやらしくならず、いつもどこかほっとする空気が流れて居るのは、登場人物が皆家族のような位置付けになっているからだ。
まさにこのリストランテ カゼッタ・デッロルソは登場人物達の、そして私達読者のカゼッタ(小さな家)なのだ。
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