トトリを観て、推理ドラマについて考える - 実験刑事トトリの感想

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実験刑事トトリ

4.004.00
映像
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脚本
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キャスト
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音楽
4.00
演出
4.00
感想数
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観た人
2

トトリを観て、推理ドラマについて考える

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

三上博史の魅力

主人公・都鳥博士刑事(通称トトリ)は、もと動物学者ということで、一風変わっています。推理物の元祖「シャーロック・ホームズ」の時代から、名探偵は「変人」「人の話をきかない」「わがまま」「傍若無人」・・・と相場が決まっています。ということで今回のトトリ刑事も「変人」なのですが、これが非常に難しいところです。どの役者がやってもうまく「変人」になるわけではありません。相当の「演技力」と、「カリスマ性」「神秘性」そして「セクシーさ」が必要となります。「古畑任三郎」の田村正和しかりです。その点、三上博史はすべてをクリアしています。彼くらい「名探偵(変人)」をうまくこなせる役者は日本にはなかなか居ないのではないでしょうか。

相棒・安永哲平刑事の関係

それからトトリと、後輩に見える先輩・安永哲平刑事の関係もユニークです。他のドラマなら間違いなく後輩なのですが、ここでは先輩です。ですが推理力、観察眼ともにトトリより劣っています。「シャーロック・ホームズ」の時代から、名探偵のわきには必ず相棒が居ます。ホームズならワトソン医師です。なぜそういう相棒が必要なのかというと、あくまで主人公は天才である探偵なのですが、物語の視点としてその天才の視点を使うのは面白くないからです。なぜなら天才だからです。それよりは天才のわきにいる「凡人」、つまり私たちと同じ目線の人物、そういった人の目線で、事件や名探偵の行動、推理を描くことで、よりドラマが面白くなるわけです。

構成

ドラマの構成としては、先に挙げた「古畑任三郎」に近いと思います。まず視聴者に犯人が誰かを知らせる。そしてトトリが捜査にやってきて、その犯人と対決。最後は勝利する。1時間でまとめる推理物としては、一番ベストな構成だと思います。というのは、犯人あて(事件が起きて、容疑者が複数いて、探偵役が推理して、「犯人はあなたですね」というパターン)だと、とても1時間じゃ収まりません。それよりも犯人と探偵役の対決に焦点を当てて、どうやって犯人の牙城を切り崩すかという、その一点に物語を絞ったほうが、話もぎゅっとコンパクトになり、濃密なものになります。それに視聴者的にも、謎ときに参加しやすいと言うか、推理小説に昔からよくある「視聴者への挑戦」のような面白さも味わうことができます。ということで、今回の「実験刑事トトリ」も、ベストな構成を選んだといえます。

演出、音楽

まず音楽がスタイリッシュでかっこいいです。最近のNHKのドラマは完成度が高く、音楽もジャズとか、いろいろ凝ったものが使われていて、作品の世界観をうまく作り出しています。とにかくおしゃれです。

それから演出も、とても分かりやすくなっています。分かりやすすぎるくらいです。劇画ちっくといえます。というのも、物語の主役は、推理ですので、分かりにくい人間ドラマ的な部分、複雑な人の感情はないほうがいいわけです。というわけで、演出もとても適切なものと言えるでしょう。

あと、これは演出とは少し違いますが、登場人物を最低限にしているところもセンスがあるといえます。話がとっちらからずに、濃密になる手助けをしている感じです。

警察署内の刑事部屋のセットもとても簡素なもので、あまり美術的にも頑張っていませんが、それが逆に好感が持てます。このドラマで頑張るところはここじゃない、トトリの推理、変人ぶり、犯人との対決なんだと言う意思表示といえます。

動物学者という設定

この動物(行動)学者という主人公の設定が、このドラマの肝です。これがほかの推理ドラマとはここが違うぞと言う「売り」なわけですが、じつはこのドラマの「おしい」ところは、この設定があまり効いていないところです。特にシリーズの後半になってくると、それが顕著で、作り手もその自らが作った設定に首を絞められているかんじさえします。謎ときの前あたりで、むりやり動物とからめようとしているかんじでしょうか。

以上、まとめとして

「実験刑事トトリ」は、出演者の俳優陣の魅力、物語(シナリオ)、的確な演出などなど、最近の推理ドラマのなかでは特に面白い部類(できのよい部類)に入るドラマといえる!

あと最後の推理に行く前に、やはりなにか欲しいと言うことで、トトリが絵を描く、というシーンがあるのですが、悪くはないのですが、それほど面白いとは思いません。ほかに何か、より良いものがあったんじゃないかと思います。

「売り」がそのまま「弱点」にもなるというのは、皮肉な話ですが、この手の名探偵物にはつきものかもしれません。先述の「古畑任三郎」のように「ただの刑事」ということで行ければ、それにこしたことはないということです。奇妙な設定がその後の製作過程でスタッフたちに重くのしかかっていきます(とくに脚本家の肩に)。

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