偉人クローンを題材とした作品
偉人のクローン化
もともと好きな作家さんではあった。
新しい作品がでているな、と思ったら、なんと偉人のクローンが題材である。
現代よりもっと昔に活躍していた偉人・・・ナポレオン、ナイチンゲール、ベートーヴェン、エリザベス女王等々。
耳にしたことがあるもなにも、世界史を習っていればなんとなく聞いたこともあるし、今やゲームの登場人物としても名前を使われるほどである。
その中で、生まれ変わりやタイムスリップでなく。クローンが前提とした話。
とても興味深く、気が付いたら手に取っていました。
クローン問題
クローンといえば、現代では動物のクローンなどいくらでもみられます。
ましてやそれが、人間のクローン、ましてや過去名を馳せた偉人のクローン。
キャラクターたちはみな、現代を楽しむ高校生にしかみえず、○○のクローンだからとそのオリジナルを越えなければならない(音楽家であったクローン・ベートーヴェンは重責に一度首つりさえした)という定期的な発表会以外は得に変わらず普通の男子、女子でしかなかった。
しかし一巻にして問題がどんどんなだれてきて大波乱。
読者である自分も、クローンなのだとしたら人間でも関係なく、クローンとして生きなければならないのか。このキャラクター達はどのように自身がクローンであることと向き合うのか、それとも・・・
と、最終巻まで目が離せませんでした。
大衆に姿を現した偉人のクローン
物語が進むうちに、メディアへの露出が際立ってきます。(クローン・ヒトラーVSクローン・ナポレオン)
その動向を探りあい、クローンたちをどうするべきか悩む主人公。主人公ははじめはあんなに頼りなさげであったのに、自分の役割と向き合ってからの勇ましさはとてもかっこよかったです。空回りしても。
やたらとクローン・ヒトラーにからまれる主人公も災難だなあと感じることも。
でも最後の最後、主人公の決断によりすべてのクローンに自由が渡された。
生まれてから外界に触れず育ったクローンたちが、いきなり自由にしてくださいと言われてきっと戸惑うのだろうと思ったけれど。
一読者である自分も、もやもやしつつも最良の決断なのかなあと納得。
序盤に転校(?)していった、クローン・マリーの現在もわかったところで、自分のオリジナルと同じ道で生きなくとも、今の自分がしたいことをやらせてもらえているマリーはとても生き生きとしており、こちらも和みました。
一世代前のジャンヌも何気に社会に溶け込んでいて、びっくりしたり。笑
今のご時世で人間のクローンなど批判の嵐でしょうが、この作品は定められたレールがあるけれど、みな各々の好きな人生を謳歌すべきなのだと(雑な解釈ですが)そう伝えたいよう思います。
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