未完の大作 - ダシマスターの感想

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ダシマスター

4.504.50
画力
5.00
ストーリー
4.50
キャラクター
4.50
設定
4.50
演出
4.50
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1
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未完の大作

4.54.5
画力
5.0
ストーリー
4.5
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.5

目次

トレース疑惑で休載

本作に描かれている料理が、他サイトの写真をトレースした疑惑で休載。
正直なところ、本編の内容がおもしろかったので、写真くらいいいじゃないかと
思うところも…(実際にはいけません)

ヤタ・ダイゴ氏との出会い

高原承子とヤタ・ダイゴ氏との出会いは、高原承子が偶然入ったごくごく
普通のカレー屋さん。おいしさに魅了され、後日再訪するも、その時に食べた味ではなかった。

そこから高原承子はヤタ・ダイゴ氏を探し、終いには就職していた会社を退職し
ヤタ氏のマネージャーの仕事を始めることになる。

実際にはヤタ氏の好まないような仕事を受けたり、自分の友達の助けをしてもらったりと、
きちんと仕事はできてたのかな?というのもわからないけど、ヤタ氏への膨大な量の
依頼の中を、高原承子にすべて任せるあたりは、ある程度の信頼感があったとは思う。ただし、どこからその信頼感が生まれたというか、芽生えたのかは、イマイチわからないかも。

出汁の奥深さを知ることができるマンガ

ヤタ氏の作る料理は、基本どれも出汁が一番大切ということが押し出されているマンガ。
実際にカップ麺に使うお湯を出汁に替えたりするだけで、とてもつなくおいしくなる、
というエピソードもあった。

出汁はその時々で違い、出汁だけでなく、紅茶を淹れる水の硬度にまで追求されていて、
読んでてとても勉強になります。

途中までは依頼された仕事を受けていくという内容だったのですが、だんだんとヤタ氏の
過去がわかってきて、兄弟での確執になっていき、実家の料亭を誰が継ぐのかという話に
なっていくので、実際には、今後続いても出汁についてはおろそかになっていき、
人間関係のグダグダなストーリーになっちゃっていってたのかも…と思うと、ちょうどいいところで終わったのかな、というような気もしないでもありません。

それでもヤタ氏と高原承子の今後はどうなるのかなー、とかは気になるところ。
実際、トラブルというか、いたしかたない状況で承子の実家に泊まったりしていたし、
承子も一人の男性として、まんざらでもなさそうな感じを醸し出していたので、きちんと
完結されていれば、この二人の未来もわかったんだろうな、と思うというか、
まぁ、話の筋としてはくっつくよね?という感じでしょうか。

ただ、あの二人がどんな風に付き合っていくのかとか、そういうことに関しては、
想像すらつかないので、作者がどのように考えていたのかは、めちゃくちゃ気になります。

料理の内容に関しては、最初の頃こそ出汁にこだわり「命が宿った」的な感じでしたが
だんだんと出汁からは遠ざかっていって、ただの料理対決になってしまっていってはいたし、
実家の有名料亭の裏山を売る売らないとか、レシピのありかとか、前述もしていますが、
内容的にはグダグダになってしまっていくので、トレースなんかしてないで、4巻くらいに
まとめて終わらせちゃえばよかったのに、とも思います。

話が進むほど内容は陳腐になっていくし、もうどうでもいいかな、くらいにはなっていきますが
物語の序盤の出汁への思い入れについては、今読んでも、十分におもしろいし、
実際に出汁を作ってカップラーメンにしてみたりとかは試しましたが、たしかにおいしかった。

ヤタ氏については謎が多くて、実家を飛び出して欧州で仕事をしていたらしいけれど、
具体的にどんな仕事をしていたのかは不明だし、日本では知る人ぞ知るみたいな感じだし、
本人はラーメンが好きで、ラーメン屋さんに並んで食べてみたりなど、よくわからない人です。

そう言われてみれば、ラーメンに関する話も多かったかも。
カップラーメンの話も然り、山奥の旅館のラーメンの再現とか、そう言えば、その話で
わたしは香茸というきのこを知ったりしたし、料理の再現ができるという点では、すごい人
なんだろうなとも思います。

と、いろいろ思い出しながら書いていくと、ヤタ氏って意外と薄っぺらい人間だったのかな
とか思わずにいられないような気もしないでもないです。

承子については、最初のカレーがおいしいというだけで、仕事を辞めてマネージャーになるとか、
いやいや、それはないでしょう的な感じもないわけでもなく、仕事の選び方も適当、
クライアントにケンカをふっかけてみたり、ある意味トラブルメーカー的な存在?

味覚に関しても、ものすごいというわけではなく、人よりもちょっとおいしいものが好き?
くらいだし、いいところと言えば、天真爛漫さとかそういうところ?

それでもヤタ氏の心を動かすなにかは、作者的にはあったんだろうな、でもそこについては
さほど触れられないまま終わっちゃったな、と。

このマンガで一番気に入っていたのが、絵がキレイなところ。
クセのある絵でもなく、好き嫌いもあまり分かれないかな、とか、グルメマンガにありがちな
微妙なエロとかなかったし。

重ね重ね、続いていればどんな風になっていっていたのかは気になってやまない作品です。

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