子どもだけじゃない、実は全世代が欲しい魔法のリボンなるもの
ひみつのアッコちゃんの復刻版のような印象だった本作について、低年齢向け少女アニメの命題や、また小学生女児たちの心をつかんだ要因は何だったのか等考察してみました。
とにかくおもちゃを売らなければいけない少女アニメ
りぼんやなかよしなど小学生女子向けの月間漫画雑誌からのアニメ化作品って、時に原作とすっかり変わってしまうくらいに、ストーリーが改変されてしまうことが多いですよね。
具体的にはとにかく商品として販売できるような光や音が出るアイテム(女児向けおもちゃ)をたくさん作中に盛り込み、とにかくたくさん売らなくてはいけないという命題です。
同じくりぼん出身の漫画赤ずきんチャチャなんて、魔法系グッズをたくさん作るために原作にはない変身→悪と戦う的な構図が取り入れられていて、これはほとんど違う作品じゃないかと驚きました。
姫ちゃんも例外ではなく、原作にないハートステッキやら魔法のパレットやらたくさんアイテムが増えていたなあと思います。
ただ、わたしはその戦略にまんまとのせられていて、おもちゃが欲しかったと当時思っていた小学生だったんですけどね。
こういうのって、原作ファンはどんな気持ちなのだろうといつも思っていました。
視聴率も取らないといけないし、何よりとにかくおもちゃを買わせないといけないし、アニメ化も色々と大変ですよね。
わたしも欲しい〇〇!女児たちの願いを詰め込んだ魔法のリボン
この魔法のリボンの存在によって視聴ターゲット層である小学生女児たちの欲しいものが浮き彫りになっているように思えました。
<魔法アイテムでわたしも欲しい〇〇!女児たちの願い3つ>
1.親友
魔法のリボンを通して出会ったエリカという、主人公そっくりの女の子。
秘密の依頼を自分に託し、いつも自分のピンチを気にかけてくれ、本音で話せる間柄のお姫様。
にこいち、という言葉が最近ではあるそうですが(二人で一つのような意味です)小学生女児たち、まだ異性とのにこいちが歓迎されないお年頃の女の子たちにとって親友、誰かの特別で一番の友達というポジションはすごく気にかかるものだったように思います。
〇〇ちゃんと△△ちゃんは一番仲良しなのだとクラスメイトに知らしめるために、お揃い持ちをしてみたり、グループ外の友だちと仲良くすることを禁じてみたり、なんとかにこいち関係を維持しようとします。
このくらいの年齢の女の子たちにとって何より怖いのは仲間はずれであり、「自由に好きな人と〇人組になってください」と言われたときに余らないための命綱だったように思います。
そしてもちろん親友関係といっても、そこはまだ人間関係を学び始めたビギナーさんたちの集まりなので、自分にとって都合の良い友だちが一番好きといったシンプルなつながりであったりします。
当事者たちの理想とする親友関係がなかなか思う通り成立しないからこそ、主人公とエリカさんの関係に理想を重ねると思われます。
2.好きな人との両想い関係
魔法のリボンで直接惚れさせるわけではありませんが、クラスで一番モテモテ、顔よしスポーツ万能という超人気男子は、徐々に主人公に惹かれていきますよね。
小学生女子たちにとって、ちょっとお姉さんたち(中学生くらい)の両想い関係なんて本当にあこがれの的だったと思います。
3.かわいらしさ
本作で象徴的な赤いリボンの存在ですが、これが赤色だったのは大成功だったと思います。
いわゆる女の子色というとピンク色ですが、そこをあえて赤色、大人の女性の色気や気の強さ、何かが起こると注意喚起させるようなハラハラ感をイメージさせる色、何よりインパクトがあり画の中でとても映える色ですね。
今までボーイッシュだった女の子に突如与えられた女の象徴である赤色、そしてリボンという女性的アイテムで、一気に女子力が上がるわけです。
子どもだけじゃない、実は全世代が欲しい魔法のリボン
成人女性が、本作の「誰にでも変身できる魔法のリボン」を本気で心から探しているというシチュエーションはあまりないと思いますが、いたって普通の自分がある日誰かから貰った特別なモノで特別な日常を手に入れてしまう!というシンデレラストーリーは、案外、多くの人が知らず知らずのうちに期待してしまっているのではないでしょうか。
魔法のリボンではなくても、例えばパワーストーン系のお守りブレスレットなど、これを買って宝くじが当たりました、などという文言と一緒によく広告で提示されていますよね。
またそこまで露骨でなくても、新作のブランドバッグだってそうだと思います。
何かしらのモノを手に入れることで、今までの自分よりステータスを上げられるかもしれない、何か違う自分になれるかもしれない、と探し求めてしまい、今まで買ってきたものが家の中に山積みであろうともまた手を出してしまう、ということはよくあることかと思います。
モノでなくても、宗教などもそうかもしれませんね。
ちょっとした何か、それを手にすることで、一瞬で、今の生活からキラキラワクワクした世界へ行けるのかもしれないという期待。
小学生女児だけではなく、全世代の女性が(男性も?)多かれ少なかれ持っているものではないでしょうか。
ただ現実には、やはりそういうことは珍しく、魔法の力ではなくて自分の毎日の積み重ねで、行きたい方向へ人生の舵を切っていくのですけどね。
以上、姫ちゃんのリボンについての考察でした。
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