謎が深まるばかりのストーリー展開にワクワク - 終わりのセラフの感想

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終わりのセラフ

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キャラクター
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謎が深まるばかりのストーリー展開にワクワク

5.05.0
画力
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ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
5.0
演出
4.5

目次

小説っぽいなーと思ったらやっぱり

最初の入りは、なるほどヴァンパイア系ね、血を吸う・吸われるの関係からどう脱却していくかって言う話ね、と安易に考えていました。読めば読むほど深まる謎。優一郎の過去が百夜孤児院の子どもたちの悲劇だけでなく、まさか「終わりのセラフ」の被験体として実験させられていたという悲劇、そして小さなころから悪魔の力を宿していたということなどなど…出るわ出るわ新しい要素…!読み進めるほどに味が出て、謎を解きたくなっていくストーリー展開です。小説っぽいなーと思ったら、やっぱり小説版あるんだね。ストーリーや謎解きの面でも、小説版と漫画版をリンクさせて読み進めたほうが深まるらしい。それでもとりあえずは漫画版で終わりのセラフ実験の顛末をしっかりと見るのが先かなと思いますね。

何となく集められた闘うためのチームメンバーたちも、実は「終わりのセラフ」の被験体の集まりだったので、これまた優秀な人材ってやつが集められるべくして集められているというつくり、ますます今後が気になります。日本政府の中でも、吸血鬼の中でも、謀反やらなにやら勃発しまくりで、何が正義で何が悪なのかもわからない。ただ確かなのは、このシノア隊のメンバーとミカエラだけが信じられる唯一のメンバーであることだ…終盤ではこの中の誰かが変わってしまうのではないか、実はスパイでしたというオチがやってくるのではないかと今から不安で仕方ありません。みんないい人だから、どうかそんな悲しいことにはならないでほしいんですけど…こういう展開の時は、なんでこの人が…!っていう人が裏切り人物であることが多いので、心配ですね。グレンはすでに裏切りが発覚していますが、二重人格という厄介な状況に陥っているので、これはまだジャブ程度でしょう。

優ちゃんとミカ

この2人、やっぱり主人公だなと思いますね。その熱いキャラクターはもちろん、強さの表現、かっこよさ、キレイさ、すべてがばっちり。ミカエラに関しては、吸血鬼として蘇生されてしまったということ以外、子どものころと何ら変わっていないところがあるような気がしますが、優ちゃんは全然違う。徐々に鬼になっていっているのか…??鬼に近づくたび、五感が研ぎ澄まされ、強力な鬼の力を発揮できるようになり…果たして、アシュラと優一郎のこの優しき関係性をもってしても、鬼に飲み込まれてしまうようなシチュエーションが今後発生するのか?絶対そうはなってほしくない・二人で手に手をとり対峙するべき本当の敵を倒そうと誓うところまでが見たい。それでも、飲み込まれてしまうでしょうね…そこでアシュラがどうするのか。妹であるクルルもひそかに実験していた「終わりのセラフ」。兄を生き返らせるためなのか、それともまったく違う何かのために行っていたのか…?それによって、今後どうなってくるかが決まると思いますね。あ~早く謎が解き明かされないだろうか!気になって仕方ないのですよ!

個人的には、このBL臭はわりと嫌いじゃないですね。絶対そっちにはならないとは思うんですけど、絵的には優ちゃんが攻めでミカは受けで決まりかな。本当に絵が素敵なので、徐々に鬼化していく描写とか、吸血鬼として生きるミカの姿とか、かなり美しいです。ちょっとアシュラがかわいすぎるかなーというのが嫌なんですけどね。もっとこう、怖い感じにしてくれないと、強そうじゃないじゃん。

ミカエラを蘇生させることは1000年前から決まっていた?

これは、まだまだ謎の部分ですから憶測ですけど、吸血鬼の側も昔は人間だったとかなんですかね?長い年月の中で、人間がはびこってきたけれど、人間は鬼からも吸血鬼からも恐れられている。何も知らない人間ばかりになった世の中の地下でも、実は水面下で禁忌の研究はされ続けてきた。人間は恐ろしい。何よりも怖い。欲望にまみれながら愛も語る。矛盾した存在。この表現もまた特徴的で、小説っぽいなーと思ったところです。謎めいた言葉の意味が全然わからないのって、けっこう嫌いな人からすればかなりストレスになるんじゃないだろうかと推測されますが、楽しくもありますよね。

特に、この「終わりのセラフ」という漫画では、ようやくその核心に迫ろうかというところまできている。展開がそんなに遅いわけではないのですが、回収する伏線が多いので、かなり丁寧に描かれているんですよね。後から修正されて加えられたというのでもなく、つじつまは合うように描かれているし、今後の展開がどうなるのやら…という演出も秀逸。さすが、小説、漫画、アニメと出たらいいなというところを網羅しているだけあるね。

優一郎が主にメインの主人公として描かれているので、一番のキーになるのは優一郎かなと予測していましたが、ミカエラもかなり重要なポイントになる様子。人と鬼との闘争というよりも、人が蘇生という禁忌の術を介して生み出してしまったものとの闘いをしながら、それでも術を求め続ける欲望が潜んでいそうです。

グレンの罪と罰

グレンは…すっごい強いと思ってました。だけど、弱さと優しさがある。いったいどっちなんだと思っていたら鬼に体を乗っ取られている時間と、グレンという人格が存在する時間と、二分されているらしいじゃない…!あまりに自然でわからなかったよ。だけど確かに、明らかに人格違うなーと思うほど怒ったり放置したりするときと、助けてくれる時とが分かれていたんだなと後からわかって納得!これも織り込み済みだったのかと思うとびっくりな演出だわ。そして、8年前の人口を10分の1にまで減らした人体蘇生は、実はグレンが起こしたものだった…嘘なんじゃないかと思って信じてきましたが、どうやらこれは確実な様子ですね。ちょっと悲しいけど、あのグレン隊のメンバー全員、死んでしまったところを蘇生されたんだね…覚えてないけど…自分の罪に苦しみながら、それでも今追っているものって何なのか。最愛の恋人・真昼を自分の鬼呪として持ち、乗っ取られたり戻ったりしながら、何を思っているのか…

フェリドは真昼のほうと手を組んでいたようだし、わからないことだらけ。フェリドの思惑も、クルルの思惑も、予想できるようでまだまだできません。ナンバーワンの吸血鬼の行方も知れず、吸血鬼という存在の意味すらもあいまいで、果たして何と戦っているのかもわからない…人って怖い。疑心暗鬼の世界だね。そこで何を信じ、どうやって生きていくことが自分たちを生きやすくしてくれるのか…雄一郎たち、シノア隊、グレン隊の見つける答え、楽しみで仕方ないです。

終わりのセラフの謎

死んだ人を蘇らせたい。尽きることのない人間の欲望には恐れ入りますね。でもやっぱり、生きていなければみれない世界があまりにも多すぎる。少しでも長く、この世界に生きていたいと思う。性というやつですな。

ここまでの感じだと、人はもう何千年と過ちを繰り返しながらここまで来てしまったような気がしますね。人は減っても、時間が経てば戻って、でもまた何かが起きて減って…脈々と研究し、見つからない答え・あるのかどうかもわからないことを探し続ける…最後には、みんな人間になっちゃうんじゃないかって気もしていますが、共存する道を選ぶとかもありそうだし、すべてを失う道も残ってそうだし…ハッピーエンドになるのかどうかもまだわからない。悲しい未来も予想できますが、これからの展開が気になってドキドキしっぱなしです。

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他のレビュアーの感想・評価

まだまだ出てくる始祖たちとのバトルに注目

単純じゃない設定が面白い出てくる相手はヴァンパイア。相容れない存在なんだと思ってた。でもどうやらそうではなく、人間とヴァンパイアははっきり言ってそっくりだ。長く生き続けられるかどうかの違いくらいしかない。ヴァンパイアの中でも、人間の中でも、欲望が渦巻いて、それぞれが信じる道へと必死で走っている。希望は優一郎とミカエラがどんな存在よりも固く信頼しあっていること。彼らなら、何かをやってくれる気がする。読めば読むほど、それぞれの思惑・苦しみが交差して、みんなが救われる道がないと気づかされる。優一郎とミカエラは、単純に百夜孤児院で悲劇に遭っただけではなく、「終わりのセラフ」の被験体であったことも明らかになり、優一郎にはさらに悪魔の力をもとから宿していたこともわかったり…複雑さを極める。15巻までは発売されているが、まだまだ全部は明らかではない。悲劇はグレンによって引き起こされたように描かれている...この感想を読む

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『終わりのセラフ』それは…

そもそも『終わりのセラフ』とはなんなのか…そこからして、謎が尽きない作品です。明確化されているのは、終わりのセラフが実験だということと、百夜教が実験を行っていたこと、優とミカエラはその被験者であったであろうこと、クルルツェペシもそれを求めていること、などが挙げられると思いますがそこから全容はまだまだうかがい知ることも出来ません。私としては『終わりのセラフ』は兵器で、優とミカエラが揃うことで完成されるもの、そしてそれをグレンがすすめた実験によって歪められた形が作中で表現されている優の人間ではない部分の暴走なのではないかと思います。だから不安定かつ不完全な存在で憎悪を剥き出しにしていると、そう考えています。君月の妹が天使のような形で登場していましたが、ああいったある程度安定した挙動が『終わりのセラフ』のひとつの成功例なのかも知れないと思いますし、そうであればなおのこと今の優の状態は不安定な...この感想を読む

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