人間観察の宝庫
男運の悪さピカイチ!
この作品は4コマと思えない秀逸な起承転結で構成されています。主人公江古田ちゃんの独自の視点で世の中に物申す感じが、あるあるネタというより、言われてみればそういうことあるなと納得するものばかりで頷きながらあっという間に一冊読了してしまいます。江古田ちゃんは、いつも鋭い目線で世の中を見ている割に仕事はフリーターで金欠と隣り合わせの生活をしていて、自宅では全裸で過ごしたり等、余りしっかりしていませんし、だらしないです。特に下半身はゆるゆるで、こんなに貞操観念のない女性がいるのか?と、読んでいると、何度もガッカリするオチに出くわします。しかし、ガッカリなオチでは必ず、ワンナイトラブやセックスフレンドから受けた雑な扱いを経て人生の教訓を得てるので、とても前向きです。勿論、学習せずに何度も何度も最終巻まで繰り返すのですが、読み手のこちらもたんだんとそのオチに慣れてきます。回を重ねるごとに、こんな相手とも?という男性と床を共にしていたり、彼女持ちの浮気症の男の二番手となり、本命の彼女になれることを密かに願う健気な一面も垣間見えます。切なくて、笑えて、教訓に共感できる不思議な世界観です。男運の悪さ故に男という生物の低俗さを観察しきれています。例えば、大口叩くような男に限って小物で自信がなかったり等、江古田ちゃんはしっかり分析できています。それなのに、次々としょうもない男が寄ってくるのはなぜなのかというと、江古田ちゃんはとても心が弱く、それが故に惚れっぽく、生活がだらしないのもあり、異性関係も自堕落になっているように見えます。江古田ちゃんもそれなりに葛藤しているので、そこが彼女の魅力でもあるのですが、生活のだらしなさが全てに直結して男性受けが悪くなっているのは間違いないと思います。安定した職について、つまらない飲み会に参加せず、浪費をやめて、綺麗な身なりで過ごし、不平不満を言うのをやめれば、絶対に男運が上がると思いますし、江古田ちゃんもそのことに気付いているにも関わらず見て見ぬ振りしているように見えます。きっと、なんだかんだ日々の生活を楽しんでいるので先延ばしにしているのでしょう。他にも、生々しい女性ならではの下ネタ部分も、同じ女として共感できる方は複数いらっしゃると思います。尻軽で誰でも寝てしまう部分は勿論共感できませんが、繊細な女性のセックスでの感じ方等、数をこなしてるだけあって分析が的確です。江古田ちゃんは、この分析力をもっと違う方向に生かせば絶対に幸せになれるでしょう。
猛禽ちゃん
江古田ちゃん達の天敵のような存在である猛禽は、かわいくて、やさしくて、フワフワして、乳がでかい、男ウケのいいモテ女です。なぜ、猛禽かというと、狙った獲物は逃さない肉食的な要素を皮肉って名付けています。作者様もきっと、猛禽ちゃんの被害者なのでしょう。彼女らはあからさまかぶりっこをしても、男性に気付かれない高度なテクニックを持っています。男の低俗な部分を逆手に取って、手の上で転がすのです。所詮男っていうのは、女性の優位に立って、頼られたい性分なので、右も左もわからない女の子を誘導したいのです。が、誘導しているつもりで、実は手の上で転がされているのです。猛禽ちゃん達のゾッとするテクニックは、相槌のうまさやハードな下ネタにも顔を赤らめながら寛容に応じるところ、そして嫌いな男にも思わせぶりな態度をする。ここまでくると、女優です、なかなかできるようなことではありません。私は無理です。それに気付き、江古田ちゃんが指摘しようものなら、男性陣は全力でかばいます。猛禽ちゃん達は、何をせずとも男性陣に自動的に守られる術まで習得しています。当然といえば、当然なのです。江古田ちゃんのようにズボラ全開の身持ちのしっかりしてない女性より、不平不満一つ言わない中身も外見も可愛い女性は見ていて和みます。たとえ、本性が腹黒かったとしても、それを隠す数々の演技はなかなかできることではありません。同性としては絶対に友達にしたくありませんが、尊敬の対象ではあります。
あらゆるバイト
江古田ちゃんは、東京砂漠で生き抜くために、数々のバイトを掛け持ちしています。昼間は派遣のOL、夜はお水、他にもヌードモデルやフィリピンパブ、ショーパブ等のハードなバイトも行なっています。どのバイトも高給そうなものばかりなのですが、江古田ちゃんは、ボロアパートに暮らし、オンボロの服を着て、いつも金欠です。なぜなのでしょう。作中では、浪費してるシーンもありませんし、全く贅沢していません。飲み会参加頻度は高いかもしれませんが、バイトも詰め込みすぎなので、飲み代に消えているとも考えられません。目指す夢もありませんし、男に貢いでいるシーンも見たことがありません。稼いだお金の行方はどこへ?これは、解けない謎です。作者様に教えていただきたいです。
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