ハーレム漫画というだけじゃない推理戦
あれ?いい話系?
まず1巻読み終えて素直に思ったのが、「ワケあり女子と不良だけど根は優しい(易しいともいえる)山田のハーレム」漫画だなっていうことでした。白石さんと山田くんがキスで入れ替わりつつ、7人の魔女みたいな女の子とのトラブル・恋愛、学校の問題をどんどん解決していくっていうことを予想したわけです。山田はテストで白石さんという才女のおかげでいい点をとれるようになることで自分も勉強するようになるのかなーとか、白石さんは山田のおかげで学校での居場所を見つけて、どんどん二人はいい感じに…って考えていました。結果、まったくそんなことはありませんでしたけど。普通に魔女という名の変な能力だけ持った女の子が敵みたいに出てきまして、次々と襲い掛かってくるわけですね。しかも、入れ替われるのは山田くんと白石さんの二人の間だけではないという事実。もう入れ替わり放題なわけです。いったいどこへ向かっているのか…?
この「山田くんと7人の魔女」は週刊少年マガジンの連載ですけど、雰囲気的には週刊少年ジャンプの「ニセコイ」に近いですね。ニセコイは出てくる奴らみんな主人公好きになってますけど、山田くんもそんな感じです。そしてファンタジー要素強めでそれほど少女漫画!っていう雰囲気も強くない。なんかうまーく間をとって誰でも読めそうだなーと思えてきますね。恋愛ともいえるし、少女漫画でいうところの「愛だの恋だの」(辻田りり子先生よる作品)みたいな雰囲気。学校の諸問題に真剣に向き合っていく感じが似ています。トータル的に、男の子は全然かっこよくなくて、女の子がとにかく特徴強めでみんなかわいいので、そこは男の子の欲をくすぐる設定にはなっているかなーと思います。なんかキスシーンが妙にエロスを感じるんですけど…気のせいかな。全然濃厚でもないのになんでだろう…。
意外にも推理戦
びっくりするのは、以外にも推理系ってところですね。あいつ、あんなに女嫌いだったはずなのにいったい何があったんだ…?これはいったいどうなっているんだ…?謎が謎を呼び、推理していくんですね。でも解決方法は実に古典的。これもまたウケる要素だなと思います。だって山田くんには力が強いこと・ケンカが強いこと・意外にもハートが強くて根が優しい奴であること…しか能力がないもんね。キスで入れ替わって見てくれを変えても、行使できる力は実に単純。それで魔女たちも改心させられていくわけだからなんかロマンあるよね。何か特別なものを持っていなくたって、これだけのことが男にはできるんだぜ!みたいな応援が込められている気がしてきます。
あれだけ頭が悪い設定であるはずの山田が、妙に勘がいいんですよ。え、なんでわかるの?と思うほどの観察力、勘、人の気持ちを敏感に察する能力が備わっている奴です。くだらないはずなのに、地味に応援したくなってしまっているこの事実。恐るべし。
単純な人間関係のトラブル解決にとどまらず、朱雀高校全体を巻き込んだ魔女たちの秘密にどんどん巻き込まれていく超常現象研究部の面々。堂々とキスして入れ替わる空間を得るために活動を再開しただけのつもりが、事態はどんどん転がっていき、魔女を見つける部活へと変貌していきます。まさに超常現象を研究する部活。旧校舎に部室があったという時点で、こりゃーなんかあるなーと思っていたらそのまんまだった。
ツンデレ白石さんと山田くん
ま、普通に白石さんと山田くんをまともにくっつけてほしいです。要所要所で、ちゃんと白石さんのフォローに回っている山田くん。そしてツンデレだけど山田くん以外とキスしようとしなかった白石さん。この通り、進んでいってくれれば万事どこでも終了できると考えられます。白石さんが行動を起こすときは、どれもいきなりのような気がするけれど、ちゃんとよく考えたうえにメリットがあるようになっていて、そこがうまいですよね。バカな周りの奴ら・特に山田くんにはわからないというね…
山田くんがみんなに忘れられてしまった時はうわーって思いました。一気に悲しい展開、誰とも打ち解けられなかった山田くんが唯一存在を許された超常現象研究部の面々、あらゆる生徒たちに忘れ去られて、これはさすがにシリアスな展開になったなー…ってしょんぼりしてしまいましたよ。それでもめげないあたり、山田くんはバカだなーアホだなーそして愛らしいなーと思いました。なんだかんだ、この能力、白石さんとの出会い、魔女たちとの出会い、協力者との出会い、いろいろなものをもたらしてくれていたわけじゃないですか。こりゃーもう終わりも近いかな…
って思っていたら終わらないっていうね。いったい何だったんだろう、この杞憂は…。いや、もうこの際終わってもよかったんだけど、いったい何巻まで出るの??
な…長いよ…
だいたいね、7人の魔女って言ってたじゃん。だったら7人の魔女が登場したら終わりでしょ?それがまた新たな7人の魔女が出るって、おい、どうなっている?長いってこの物語。やはり人気があったので新たな女の子を出してほしいみたいな要望もあったんでしょうか?何度でも山田くんのハーレムは繰り返されるわけですね…まだ卒業していないし、卒業するときに何らかのアクションがあるのかもしれないですけど。27巻、28巻と、まだまだ先は見えませんね。女の子のキャラの数だけ、いくらでも山田くんたちの悩みは続くわけです…それにしても、作者さんはアイディアがよくここまでたくさん出るよな~…
ちょっと話は変わりますが、山田くんは生徒会秘書へと出世を遂げている状態で、これって最初から考えたらすごいですよね?不良でどうしようもなかった奴が、一人の女の子救って、部活入って、いっぱい女の子救って、生徒会入って、学校全体の改革にすら携わるところまでやってきた。夢があるね~キスで入れ替わりながら学校で起こる不思議を解決し、その力はいつか消えて本当の意味での善人に…という彼の人生更正プログラムが見えてきました。というか、彼だけではなく、迷える子羊たち全部の更正プログラム。それがこのシステムである気がしますね。このまま頂点にまで上り詰め、いつの間にかイケメンになって神格化される勢いすら感じさせます。
朱雀高校はいったいどうなる?
まさかとは思いますけど、また7人の新たな魔女が…って言ってくるのかな?同じ学校で描かれているし、そろそろ飽きも見え始めた今日この頃です。アクションファンタジーとかではないし、どっちかというと女の子ばっかりの漫画を楽しみたい男の子向けの作品である気もしますが、山田くんがどこまで上り詰めてくれるのかは気になるところですね。はたして朱雀高校はこれからどんな結末を迎えるのでしょうか…とりあえずラストは盛大に今までにつくりあげてきた関係性、知恵、信頼と友情とか、そういうものを総動員して解決へと導いていってほしいですね。
山田くんに縁がなかったあらゆることが、必要に迫られてどんどん絡まり、ついには中心に山田くんがやってきている。ただのハーレム漫画でなく、ある高校男子の成長と山田くんや共に活動する部員の面々と生徒会、魔女たちとの頭脳戦も楽しみつつ、女の子も楽しむという漫画。それがこの漫画でしょうね。ってそこまで考えずに読んでる男子が多そうなんですけど…そう考えて読んでいると、案外と誰でも読める話だと思いますね。
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