初恋同士の気持ちの揺らぎをそのままに - 僕達は知ってしまったの感想

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僕達は知ってしまった

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初恋同士の気持ちの揺らぎをそのままに

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
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3.5
演出
3.5

目次

ケンカってしょうもないよね

ことりと雪斗は、お互いに超絶不器用。雪斗のほうは顔がよくてモテてきたから、今まで女の子なんてそんなものだと思っていたのでしょう。恥ずかしがる女の子が逆にツボにはまり、さらに思い通りにならないことりちゃんが気になってしょうがない様子。しかも、梶という苗字、誕生日、血液型…何から何まで一緒。男の子ってけっこうロマンチストだから、こういうの、うれしくて舞い上がっちゃうよね。運命の恋じゃね?みたいな。一方のことりは、人見知りで人づきあいが上手にできないのに、なんで雪斗は私なんかにちょっかいかけるのかな?って思ってる。うんうん、地味女はそういうネガティブ思考で展開される。そして、お互いに本気だと分かってからは、もうラブラブが…と思いきや普通にケンカしていったん破局。しかも原因がよくわかってない。ただお互いに何となくすれ違いが起きて、ちゃんと話し合うこともせずに、ぎくしゃくして終わったーって…なんだそりゃ。どちらか一方の性格が違くて、リードするほう、なんだかんだ意見の言えるほうがいれば和解しやすいと思うんですけど、ことりと雪斗の場合はお互いが恥ずかしがり屋で意地っ張り。なんでわかってくれないんだろうって自分ばっかり…そんなんじゃ終わっちゃうよ。相手を大切にできなきゃ恋人にはなれないんだし。

そして結局、ヨリを戻すというね。付き合うまでが長い、付き合ってから長い、破局して別の人探す、いろいろな道があるけれど、破局してヨリ戻すっていうのはけっこう勇気がいるよね。それくらい、お互いが大好きじゃないと無理。どちらか一方でもマイナスだったら復縁ってできません。それからもつまらないケンカやわだかまりがたくさんありましたが、結局はそれがお互いをよく知るための機会にもなっていたりして、この二人には必要だったんだろうなと思えました。

この話は当て馬いらず

このラブストーリーにおいては当て馬いらずでした。お互い想ってるのに、考えてることを正直に言えないでぐるぐるして、ほんと似てるよこの二人。ファーストキスがどうとか、元カノがどうとかあったけど、結局はちゃんとお互いにぞっこんだってこと、再確認する材料って感じでした。横取りは絶対起きないわーっていう性格の取り巻きどもが多かったですしね。美しかったのはことりの唯一の友達であるナツメさんくらい。この子の悩みは本当に胸打つものでしたね。自分がモデルをやっていることで、なかなか友達ができなかったり、できても本当の自分が目的ではなかったり…そんな彼女がことりという友達を持って生き生きとしていく姿、これは素敵でした。男子は爽やかいい人系のあべっちがいたけど、イラスト的に主要キャラまでは上りつめてこないだろって程度。やっぱり当て馬いらず。

原田さんという悪い女や、雪斗のお兄さんという人、雪斗にべたべたと付きまとう人…いろいろいましたけど、ケンカの原因がなんかあまりにもバカっぽくて、笑っちゃうものばかりだったなーと思います。ネックレス壊れちゃったの言えなくて…付き合っているって自信が持てなくて…恥ずかしくて…あーなんだその悩み。ほっといても大丈夫な気がするよ。上からにやにやと眺めていたいなーと思うレベルの出来事です。それは悩みなんかじゃない。ノロケと言うんだよ!

ことりと雪斗のバカップルぶりが最後までふんだんに

2回目のキスのとき、電車だったと思うんですが、いや、ギャラリーは?って思いました。さらっと流してるけど…閑散としてたの?周囲がどうでもいいくらいフォーリンラブってちょっとあほっぽい。でも二人っぽくもあるわけです。わき目もふらず君だけが大好きだ!見てるこっちが恥ずかしい!

そして、なんで髪染めたんだい雪斗くん。それが誠心誠意ってことにつながるなんて、ずいぶん安易だね。というか髪の色は全然関係ないよ。というか、そうやって目立つ行動を平気でとることをどうにかしないとことりちゃんが飛んでっちゃうよ?それでいて黒板に名前書かれたりひそひそ話のネタにされるときは怒るなんて…ずいぶん勝手な奴だな。だったらひそやかに営め。しかしそれがわかっていないのが雪斗の馬鹿なところであり、愛しいところであると言えばそれまで。憎めない奴ですよねーほんと。

最後の文化祭のときなんて、なんで付き合ってるのにもう一回改めて付き合ってくださいって言うわけ?目立ちたがり屋の雪斗君。大丈夫だよ、他にことりちゃんをがっつり見ているフラグはどこにも立っていないのだから…!そこで返事を返しちゃうあたり、引っ込み思案だったことりちゃんの成長を感じたけれど、いや、恥ずかしいんですよ見ているこっちが。初夜までの道のりもなっがい長い。そしてマイルドに終わっていった…最後の最後まで、かっこよくは決まらない二人。でもそれがことりと雪斗の恋愛なんだなーってことで自分を納得させました。

友だち作れない女の子ってよく題材になるよね

しかし、お友達の少ない女子、または少ない男子って、ハブられてそしていつの間にやらでっかい魚を釣っている…っていうテーマが多くないですか?派手な子よりも大人しい子のほうが好かれやすいっていうのは日本人的思考ですよね。結局は大和なでしこが一番いいねんって言われているような気がしてきます。かわいい男子なら女子にとってみれば「母性本能をくすぐる」という言葉に表現されるように、庇護欲をそそります。実際には…かなり難しいことだったりしますよね。何も言えないんじゃ何も伝わらないし、孤立していくの当たり前です。それを解決したいと思うなら、やっぱり行動に出るしかないです。性格だってコミュニケーションだって、努力してできるようになるもの。行動した奴しか答えを得られないのが社会だから。逆に言えば、これは大逆転を狙える女子・男子がこの世にはたくさんいるってことですよ。華々しい光にも影がある。影にも光がある。すべてにチャンスがある。ことりちゃんの恋路を眺めながら、そんなことを思いました。踏み出す勇気はくれている気がします。人生いろいろ。「あ…」とか「う…」しか言えなかったことりちゃんでも飛べたのですから、何とかなるよ!人間関係!

恋して女子はきれいになるし、男子はかっこよくなる。誰にでもチャンスがあるんですよ。相手に好かれたいための求愛行動が美しく着飾ること。クジャクと同じです。グダグダ自信がないだのなんだの言ってないで、恋しちゃいましょう。

ドキドキしすぎたあの頃を思い出させてくれる

初恋で、キスしたいなと思った時はどうだっただろうか、どうやったんだっけ、初めてはどっちから誘ったんだっけ…?なかなか踏み出せなくて足踏みしちゃっている彼らの姿を見ていると、ちょっと童心に帰ったつもりで自分も初心な気持ちだったころを思い出しちゃいました。お互いが初恋みたいなもので、何をするにも新しく、初めての経験ばかり。失敗したくなくて一生懸命考えて、結局失敗して空回り…それでも最後は正直になって、手に入れたかったものを手に入れる。あーでもない、こーでもないという二人のやり取りは、最初はケンカばっかりでウザいなーと思った時もありましたが、終盤のやり取りがすごくよかった。お互いを大切に付き合っていこうとするからこその悩みになってましたからね。最初の自己中はどこへやら。恋する中で立派に成長したなーと思いました。すっかり社会にもまれてすさんでたけれど、ちょっくら地元にでも帰ろうか。そんな気分にさせてくれる、初心な奴らのラブストーリーでした。

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イケメンだって恋には苦労しているのだ

くだらないことだって恋では一大事梶雪斗。茶髪でややロン毛気味の高校生。フレンドリーで男女問わずに友だちの多い彼は、顔がいいことからモテていた。女の子だって寄ってくるし、そりゃーキャラクターだっていいよね。そんな彼が恋したのは地味―な女の子である梶ことり。今まで関わってきた女の子はみんな積極的で、恥ずかしがったり言葉が出なくなっちゃったりしなかった。自分に興味を示してくれない子だっていなかったのだ。振り回して遊んでやっているつもりだったのに、いつの間にか俺のほうが振り回されている。気づいたら…ツボにはまって出てこれない。モテ男の恋が始まる。男は思っているより夢見がちな生き物。苗字も同じ、誕生日も同じ、血液型だって同じ…そんな共通点にドキドキする。運命なんじゃないか?って。困ったことに、雪斗もことりもかなりの不器用さん。ことりは不器用で臆病なタイプであり、雪斗は不器用だからこそ強引に突進す...この感想を読む

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  • kiokutokiokuto
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