お得意のドタバタラブコメディー
前作を彷彿とさせるドタバタ具合と走り書き
相変わらずのスピーディーなボケ。スカッとしますね~ヒロイン、ヒーロー関係なく、ボケとツッコミはやりすぎ感あふれるものばかりでした。しかもまた生徒会だし。今回はヒロインのほうが生徒会長(キング)になってしまい、そのまま仕切っていくことになってました。そして他の3人がサポート役。このままだと普通なんですけど、ここがケダモノ高校だっていうことで特色が出されています。それ以外は何ら変わらぬ学校生活…いろいろなイベントごとに、呉羽が人間であることがばれぬよう、4人の関係性を少しずつ深めていきます。案の定、右京と呉羽、蝶々と茅の組み合わせで走っていきますが、蝶々の想いがかなわぬのはちょっと…胸が苦しくなりました。蝶々のほうがだいぶ美人だったし、呉羽の魅力って…一生懸命でガッツのある、人間のようでケモノのような思考をしているところくらいかなーって思っているので。正直なところ、茅ともけっこうお似合いだったし、腹黒い加減もお気に入りでした。右京と蝶々、呉羽と茅でも全然よかったな…っていう個人的な希望です。
全体として、コメディー感がけっこうな量になっており、もう少し長編にして粘っても普通に楽しめそうでした。人間になるっていうのが出るとは思ってもなかった展開でしたね。普通に人間としても生きていけるんじゃないかっていうことを安易にも考えていました。動物たちの人間への憧れってあるんですかね?知能はほしいかもなー。
ヒーローは相変わらずの俺様で
右京はとにかく口が悪い。思い通りでないとすぐ拗ねるし、いじわるもやりたい放題、まったく表情に呉羽好きー!感が出てこないし、何を考えているのかさっぱりわからない…第一王女のこともあって心閉じまくってたのもあるだろうけど、性格悪いなーという印象です。かっこいいのかわるいのか、ケダモノの耳・しっぽがあるとなんか肩透かしをくらった感じがしてしまいます。そこ言ってしまうとダメなんですけど、耳・しっぽがあるだけで随分と景観が変わるもんですね。また、もう少しさーなんかイベント起きてもよくない?と思ってしまうんです。全体を通して、いかに4人が親交を深めて仲良くなっていくかが大半占めているため、ラブはほとんど見えてきません。どちらかというと、「お互いが持つ孤独の部分を、ケダモノらしくどう慰めあい励ましあい、生きていく糧とするのか」っていうことが、学校の数々のイベントを通して考えさせられていく形ですね。個人的には早くツンデレのデレの時期に入らないかなと期待して待っていたので、付き合うようになって、逆に右京がタイミングを探しているのが萌でした。そうそう、ニヤニヤできるところを見せてほしかったんだよ。強引なだけじゃダメなんです。かわいいところも見たいのです。これが女の性ってやつですよ。もちろん、俺様モードも大事ですよ?時には迷うこともあるので、そこは引っ張ってほしいなって思いますから。いろんなギャップを見たくてしょうがないのです!
なんでケダモノだったんだろう…
ここでね、ちょっと疑問なんですけど…なんでケダモノだったのかっていう根本のところ、気になりませんか?別に普通にちょっと金持ち学校の奨学金制度でタダで入ることができたよーそこで生徒会の人に気に入られて、いろんなこと経験して…という流れでも違和感がなかったわけですよ。それだとよくある話になってしまいますが。それをなぜケダモノ高校という特殊な設定にしたのか?
これは予測でしかないんですけど、ケモノ、特に狩りをするやつらって孤高・孤独イメージですよね。そこに、人間世界での孤独環境を対比させる。そして、お互いが一緒に生活したら、お互いがお互いの傷を癒すようになる。そんなセラピーみたいなノリが含まれているんじゃないかなーって思いました。ラブよりは友情・仲間がメインの物語であると感じましたしね。食事には生きるか死ぬかの勢いでがっついたり、おいしい獲物がいたら飛びついたり。これらはコメディー要素ですけど、ケモノ行動の中でも「裸で一緒に寝る」っていうのが、いいなーって思ったんですよ。お互いを信用しきっている・温めあえる。わかりやすいコミュニケーションであると感じました。
そこから、何も持っていなかったところ自分の手元に大切なものが出来てしまった時、どういう風に行動することがいいのだろう?と悩んだり、がんばってみたり、戻ったり。ケモノにも縄張り争いや種の存続のための悲しいこともいっぱいある。人間にだってそう。地球で生きてる限りは似て非なるものかなって思えてきます。そうすると、なんかうじうじ悩んでるのが馬鹿らしくなってくるし、やることやって自由に生きようって気もしてくる。
メッセージ性の高い言葉にはぐっとくる
福山先生の特色と言えば、登場人物たちの心情を言葉に落とし込んで表現してくれることですね。例えば、大きいところで行くと、タイトルのモノクロにも象徴されますね。
くるくるくるくる クロの中にシロが舞って まるで まざりあうみたいに
というように、白いウサギである呉羽が、黒いケモノの集団との共同生活をしていく中で、仲良くなっていくこと、深く理解しあうようになっていくことを表現していると思います。呉羽の孤独感、自分だけ辛いんだって思っていた狭い世界から、右京・蝶々・茅それぞれの境遇も知っていくことで、世界が広がって見えていく。「一緒に」ということがキーワードとして何度も登場しているように、一人じゃないよっていうことがこの物語の軸になっていますね。親がいなくなろうが、家がなくなろうか、確かにそこに生きていて、自分を知ってくれている仲間がいる。大丈夫だよ、どんなことがあっても乗り越えていこう。前向きな言葉が読者を元気づけてくれています。
明日は どっちだ?
生き方に迷う若者にとっては、まさにこの通り。というか、大人になったっていつでも明日はどこへやらって感じで、なんかもう予想のできない荒波をどう乗り切っていってやろうかっていうのが共感できますね。嫌でも明日はやってくる。わからないなりに、迷いながらも突っ走っていってやろうじゃないか!という4人の姿は微笑ましくたのもしい姿でもありました。
4人仲良しそのままを望みましたが…
できれば仲良く最後まで、いい感じにまとまってくれたらよかったんですけど、記憶がなくなっちゃいましたね…今までがギャグ先行で、おもしろおかしいことばっかりだっただけに、ちょっと悲しかったな…やはりファイナルに向かっていくには、いいことばっかりというわけにはいかないかー…ただ、二人のラブ!というよりは、4人で!っていう友情がメインだったように思うので、個人的にはそれほど衝撃が走ったわけではありませんでした。途中で卒業に関しての話題は十分出ていたし、あーそうなるのねっていうぐらい。誰かと関わる時の戸惑い、関わりたいという想い。それぞれが意地っ張りで不器用な奴らでしたが、
最後に右京の友達想いがみれて、4人がそのまま元気でいれて、うれしいなーって言うのが一番です。結末ではどうなっていくのかがあいまいな終わりにされていたので、不完全燃焼な気持ちも少しありました。しかしそれはそれで、いつまでも続いてってくれたらいいなという希望のもと、いい終わりを迎えたと言えるのではないでしょうか。
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