時代ものなのにオリジナリティも忘れてない
今までの作品と一味違う
渡瀬さんの作品で時代ものと言えばふしぎ遊戯が一番印象深いので今回もそんな感じの本格的な時代ものなのかと思ったら全然違いましたね(笑)最初の始まりのところから何となく違うなとは思ったんですけどね。どことなく現代にあるものも出てくるというか純粋な時代ものではないんですけど、どことなくこんな感じもありだなみたいな?こってりした時代ものも好きだけどコメディ感があるのも好きなので結構何度も読み返しましたね。それでも違和感がないというかそういう世界観なんだと思ったらスムーズに読めました。というかギャグ要素が強くて渡瀬さんの作品の中でダントツのコメディ漫画だと思います(笑)
しかもなんといっても江戸の表記がEDOっていうのがツボでした(笑)でもそれだけじゃなくてちゃんとシリアスなところもあるし、恋愛の要素も盛り込まれているのでただのコメディ漫画じゃなくてちゃんとした物語として成立してましたね。
キャラの個性が強い
この本に出てくるキャラってみんなそれなりにキャラが強いというか一人ひとりちゃんとした個性を持っているのでどのキャラも好きなんですよ。特に沙門が一番好きですね。最初は駆け落ちするただのモブキャラかなーっていうくらい頼りないというかなんというかそんな感じがしてたんですけどね。先頭になったら強いっていうギャップに驚かされました。まさか服を一瞬で切り刻んじゃうほどの実力の持ち主とは普段からはとても思えないですもん。ただ眼鏡がないとてんでダメっていうのもまたギャップの一つですよね。にしても眼鏡ないと顔も何も全然見えないとか悪すぎですよ(笑)
そこまで行ったらもはや狙っているのかとしか思えませんもん(笑)でも物語が進んでいくうちにその頼りなさもどこへやらでどんどん頼もしくなっていってヒーローらしく成長していきましたね。桜桃も最初はものすごく男勝りで負けず嫌いな女の子で人に頼るってことを知らない子だったのに沙門と出会ったおかげでどんどん女の子らしくなっていきましたね。人に頼る大切さも沙門と一緒に時間を過ごすことで気づいていったんですね。沙門も桜桃と関わることで自分に足りないものに気付いたりしてお互いにいい感じに刺激し合って成長していく様子がよくわかる構成になっていたと思います。
金剛丸への愛が伝わってくる
桜桃の相棒でずっとそばにある金剛丸の存在はやっぱり桜桃にとって大きいんですね。金剛丸が盗まれた時の桜桃の様子がすべてを物語っているような気がしました。それもそうですよね。生まれた時からずっとそばにあったのにそれが突然なくなっちゃうんですもんね。そりゃ気分も沈むし、やる気も何も起きなくなるくらいまでなっても仕方ないですもんね。でも金剛丸の能力もすごいですよね。人の悲しみを吸って能力を発揮するっていうのがなんていうか今までの武器にないものを感じましたね。
にしても金剛丸がなくなった時の桜桃に対して沙門が言った「俺がお前の金剛丸になってやる」っていうセリフがほんと好きですね。というかもはや普通に告白しちゃいましたよね。桜桃もこれはさすがにちょっとどきっとしちゃいますよね。金剛丸が唯一と言っていいくらいの心のよりどころだった桜桃にとってこの言葉はちょっと意表を突かれたというかそんな風に言ってくれる人はいなかったから余計に響いたんじゃないでしょうか。私だったらいちころですね(笑)
愛とは何かを考えさせられる
フィリップが出てきた回は色々わちゃわちゃしてたけど深い回でもありましたね~。桜桃が日本の大和撫子だと思って一目惚れして花嫁にしようとしてたけど本当の理想の女性がそばにいるってことに気付いた時にはなんか胸が温かくなりましたね。自分にとっての理想が何なのかっていうのかがよくわかる回だったと思います。桜桃も沙門もこれをきっかけによりお互いの存在について意識するようになったんじゃないかなって思いますね。まさか漫画でこんなに深く考えさせられるとは思いませんでした。自分にとって大切な人って意外と身近にいるものなんですね。でもそれに気づかないでほかの人を追っているのって贅沢なことなんじゃないかと思います。気付かないからしょうがないんじゃなくてそういう人こそ自分のことを誰よりもその人自身のことよりも考えてくれてるんじゃないかなって思うんです。だから恋愛って難しいんですよね。親に決められた相手っていうのに抵抗があるのはしょうがないにしてもちゃんと相手のことを分かってからでも遅くないですもんね。知る前から拒絶するのは相手にとっても失礼ですから。結果的にフィリップはそれに気づいたからきっとこれから幸せな家庭を気付いていけるでしょうね。
もう一つの金剛棒の存在
金剛棒は一本だけだと思ってたのにまさかのもう一本あったっていうのには驚きましたね。しかもそれは怒りをエネルギーにして力を放つっていう桜桃の金剛棒とは真逆の存在でしたね。そしてまぁ、この持ち主の千代が一癖あるキャラなんですよね。金剛棒の秘密と引き換えに沙門をよこせだなんてなんて女だと思いましたよ。それが桜桃にとってどんなダメージがあるかっていうのを分かっていてやったんでしょうね。だから最初の千代の印象は最悪でしたよ。どの漫画にもいるんですよね。こういうちょっと性格の悪い女の子って。でも読んでいくうちにそんなこともないのかもしれないと思いましたね。確かにちょっと性格に難ありみたいなとこはあるかもしれないけど、根は素直な子だっていうのが分かったので、ちょっとイメージが変わりましたね。
そして何より桜桃のお父さんらしき人が出てきたときにはちょっといい感じに物語がクライマックスって感じがしましたね。両親に会うことをずっと望んでいた桜桃にとってこれはめちゃくちゃうれしかったと思います。お父さんらしき人も優しそうな感じの人だったからこそ桜桃も疑うところがなかったんじゃないでしょうか。だからその分騙されていたと分かった時の悲しみは今までのどの悲しみよりも深かったんですね。それによって金剛丸は真っ白になったけど、それが金剛棒の本来の姿なのかもしれませんね。ずっと両親に会いたいけど会えない桜桃の悲しみがずっと金剛丸に入っていたのかもしれません。だからそれがなくなって白くなったんでしょう。
なにより両親に会えなくても沙門や峰吉たちもいますしね。桜桃は1人じゃないからきっと大丈夫なんじゃないかなと思います。それに最後の最後の沙門が桜桃にキスするシーンなんかもうこの2人はなんだかんだいってラブラブになりそうだなと思いましたね。悲消屋稼業に関しては桜桃が沙門を振り回しそうだけど、恋愛面に関しては沙門が桜桃を振り回しそうですね(笑)
そういうのに全く免疫のない桜桃にとっては沙門からされることはどれも新鮮で、どきどきしっぱなしでしょうね。心臓がいくつあっても足りなそうですけど、沙門はきっとぐいぐい行くでしょうね。見た目に反して肉食系男子な感じが漂ってますからね。そして関係はないかもしれませんが個人的に物語後半からイケメン度がアップしたような気がするんですよね。なんていうか頼りがいが出てきて男らしさに磨きがかかったっていうか。だから余計桜桃はどぎまぎしそうですね(笑)
でもそんな二人も微笑ましくていいんじゃないかと思います。
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