序盤でおそらく全部語りつくされたと思うがこれからの展開も期待
人間の黒いところってあえて書いたほうがいいと思う
このお話は映画化もされているけれど、めいと大和の良さは完全にマンガで読むべきでしょう!これは確実だと思います。悲しい気持ち、うれしい気持ち、実写じゃわからない細かいところがマンガだとストレートに伝わってきます。
いじめってすごく繊細な問題だと思うんですけど、今までそれをテーマにしたマンガっていっぱいありました。この「好きっていいなよ。」は、少女マンガの枠の中で、恋をして変わっていくめいと大和の姿を描いているわけですが、背景にいつもいじめがあります。被害者と加害者、傍観者の姿もそうだし、めぐみに関しては常に注目の的とされてきた苦悩とそこからの這い上がりとか、そのリアリティといったらすごいものがあります。どんなストーリーも人とどう関わって生きていくかってことにつながっていると思うんですけど、ここで出てくる人への嫉妬だったり、いじめの姿がまさにそのへんの学校にも当たり前のように転がっている題材ばかりで共感度がとても高いんですよね。人を想う・想われるときに、絶対的に綺麗なものに憧れるけど、歪んでいる気持ちすらも当たり前に認めてもらいたいって思うじゃないですか。そして、人にどういわれようが、いいものはいいし、悪いものは悪い。受け入れられないことだってたくさんある。それでも気持ちが前向きだったら、自然と仲間ができて、信じられる人ができて、自分も相手に信じてもらえるような人間になろうってがんばれる。そのあたりが上手に表現されていますね。
めいの人間性が素敵
めいは、決して何か人に悪いことをしたから嫌われたのではないけれど、いじめの標的になった。小学生ほど、理由ってくだらなくて、でもよいことの限度が分からないし、悪いことの限度も分からないから、下手したら残酷な方法に出ますよね。まさにめいの小学生時代の描写がそうだなと思います。そしてめいは人を信じることをやめたんですよね。関わることを一切絶った。いやいや、信じられる人もいるよって言う人もいるけど、どこに?って思うことありますよね。この気持ちは本当にわかるというか、大人になるほど、誰を信じたらいいのかって全然わからないです。こどもみたいに正直じゃなくて、日本人の大人は体裁とか気にして本心全く出さず、本音と建て前をもって話しかけてくる、本当に悪魔のような人もたくさんいます。だから、心を閉ざす。誰も信じなければ苦しむこともないってね。ただ、関わることをやめると、楽な分、世界はぐっと狭くなるんです。人の世は、人に関わることによってしか広がらないし、それによってしか自分が人間として大きくなることができないんだよなーって気づけないです。本当は優しくて、誰よりも思いやりがあって、ただ正しく生きたいだけなのにって思っているめい。そんなめいが大和のおかげで壁を壊して広がっていく感動。これは共感せずにはいられないところです。もともと素敵な人だから、絶対誰かを幸せにできるんだって思わせてくれるし、自分もストレスフルな毎日の中でもそうありたいと思わせてくれます。個人的には、「何年分もの女の子が満ちていく」っていうことばが、世界の広がっていく感が伝わってきて一番思い出深いシーンですね。
大和の人間性のリアルさ
大和は、めいがいじめられっ子だったから、自分の過去の海とのトラウマもあって、絶対かわいそうだなとか考えてたんですよね。それがあの有名なめいの回し蹴りで全部吹き飛んで、なんてかっこいいんだろうって思えた。これってすごいうまい表現だと思います。いじめられていた子に対して、助けているつもりで傍観者だった自分の過去を悔いる罪悪感、哀れみ、全部吹き飛ばしてくれました。めいが決して弱い子なのではなくて、まっすぐに一本の道が通っているって感じさせてくれて、大和も一目ぼれで。これは大和の過去編がわかるところまで読まないと深読みできないところですけど、振り返るたび、だから回し蹴りだったんだなって思えます。
大和は学校一のイケメンという設定だけど、心は幼くて、めいを確実に必要としていますよね。そんな弱さがよりイケメンの哀愁を引き立てるな~どんなに輝く人にも人が知らない何かに悩んでいたりするものですけど、大和の場合は本当に繊細な部分ですね。根幹は相当ヘタレだけど、イケメンだから許されているような気もしないでもありません(笑)。悩みが女々しい感じもありますし。まぁめいへのぞっこん具合は本当に微笑ましいというか、キュンとしますね。独占欲がすごいから、ついそんなに独占されてみたい!と思ってしまいますよね~。
ミスコンのくだり、最高だと思う
ミスコンで、めいは自分にできる最高の準備をしていきます。何が何だかわからないけれど、初めて人より上に、大和の横へいきたいと欲を出す。そしてがんばっても叶わない壁がある。そりゃ現役読者モデルに勝てるわけないわ。むしろ勝てたら一気に読む気失せるわ。でも確実にね、めいという人間の素敵さがミスコンで広がりましたもんね。近場の友達じゃなくて、学校という大きなテリトリーの中で輝きました。めいががんばることが誰かのがんばる気持ちを応援したり、反感もあったり、応援もあったり、それでも“自分”というものがあれば、助けてくれる人が必ずいるよって思わせてくれました。結果的に、大和は1位でめいは3位で、いじめっ子がそこまで駆け上がっただけすごいことだけど、それでも1番になりたかった…大和を取られるかもしれないっていう焦り・醜い気持ち…自分が憎いと思っていた気持ちに自分自身が直面して戸惑う気持ち…いろんな気持ちすべてをひっくるめて、それでも大和に愛されているということ。愛されていいんだということ。それが分かって進んでいく。これが山場ですよ!!本当にね。この二人の絆が何より強まったと言えるでしょう。
大和はめいじゃなくてめぐみとデートすることになったけど、完全にめいのことしか考えてないってわかる。素敵だ…めいも大和も、自分の大切な人が幸せであるようにって思える素敵な人なんですよね。うらやましい限りです。
これからの話
めいと大和の仲は強固なものになって、あとはそれを取り巻く周囲の人たちのエピソードが満載ですね。気持ちも見た目も素敵になっためいに好意を持つものもあらわれるし、海が自分から好きになるんじゃなくて他の人から好かれたり、今まで知らなかった気持ちにどんどん出会っていく。これからは高校を卒業したら…とかそういう進路の話で、しっかりしてる人ほど、自分の夢もしっかりと描く。だから大切にしたい人と天秤にかけざるを得ないときだってきっとある。自分にとって何が大切で、どう生きていきたいかとか、相手の気持ちがどうとか、たくさんたくさん考えなきゃいけないことがあります。どういうふうにその気持ちを向き合って、素敵な人間になっていくのか、見どころでしょうね。
高校生っていいですよね…できれば高校生くらいまでにたくさんの自分の感情と出会っておくべきですよ。そうじゃないと大人になってからだと受け入れがたいことって多いですから。自分の綺麗な部分だけじゃなくて、汚い部分も全部わかって前を向くっていうね。社会に出てから直面する悩みって、すごい強烈なものが多いから、それを自分の力にするために、若いうちにの経験が大切です。そんなことを考えさせてくれるお話です。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)